ライカ銘玉50mmおすすめ神オールドレンズ7本の作例156枚紹介と写りの特徴レビュー Leitz Leica
ライカ銘玉50mmおすすめ神オールドレンズ7本の作例156枚紹介と写りの特徴レビュー Leitz Leica。今回紹介する下記レンズは全て筆者が購入して試写してレビューしたオールドレンズだ。ライカ50mmオールドレンズの選び方と使ってみた感想は以下の動画で解説している。
レビューするオールドレンズ7本
ちなみに他にライカでコンピューター設計になる前のオールドレンズは下記の通り。
- 1936~1956年 Xenon 50mm f1.5 L 300g 1m
- 1939~1955年 Summitar 50mm f2 L 240g 1m
- 1956~1958年 Summicron 50mm f2 1st 固定 L
- 1957~1962年 Elmar 50mm f2.8 L 220g
- 1957~1974年 Elmar 50mm f2.8 M 220g 1m
- 1960~1963年 Summicron 50mm f2 固定 L 285g 1m
- 1960~1963年 Summilux 50mm f1.4 L 325g 1m
- 1969~1979年 Summicron 50mm f2 2nd M 260g 0.7m
ちなみに標準焦点距離が50mmと決めたのはライカだ。その理由はこちらの記事で完結に解説している。
カメラレンズの標準焦点距離が50mmの理由 Leitz社のLeicaが由来
カメラレンズの標準焦点距離が50mmの理由 Leitz社のLeicaが由来 カメラレンズの標準焦点距離が50mmの理由 ...
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント おすすめオールドレンズ
「ライカはエルマーに始まりエルマーに終わる」Elmar 50mm f3.5は1930年に発売され30年間に渡り製造され31万本の超ロングセラーとなった正真正銘の銘玉神オールドレンズ。うち58000本は1925~1932年の間にライカⅠ型(A型)のコンパー、ダイヤルリング モデルでルクサスライカの一部などに固定装着して販売された。数多くのモデルが存在する。
フルサイズ35mm判は通称ライカ判とも呼ばれるが、これは実用で使える35mmフィルムカメラを発明して普及させたのがライカだからである。映画用フィルムの18×24mmの縦を2倍にして36×24mmとして使えるように製造したカメラがバルナックライカ。写真サイズの標準アスペクト比3:2もライカから始まった。今日のカメラの原型となったのが世紀の大発明ライカ。だからライカは偉大なのだ。「ブランド品で高ーい!」「高いからすごいんだろう!」「ライカ使ってたら皆から注目されるし上手くなった気になるしSNSで注目浴びるからライカ使おう!」というのはバカの発想。
ライカL39スクリューマウントのElmar 50mm f3.5は1930-1959年にかけて約31万本製造された。当然ライカで最もロングセラーで断トツの製造本数。
Leica Elmar 50mm f3.5 旧エルマー とは オールドレンズ
1925年に製造された固定型Elmarはゲルツ社のガラスを使っていて旧エルマーと呼ばれる。一次大戦後のベルサイユ条約で軍へ納入できるガラス屋はCarl Zeissの子会社ショットの一社に限定されてしまい、ゲルツが製造するほとんどは群への納入で中小企業Leitzだけでは採算が取れず、ゲルツはやむなくZeissに吸収合併された。その為、ライツ社もガラスの変更を余儀なくされてショット社のイエナガラスを使用してエルマーを作ったが、レンズは当然若干の設計の見直しが行われた。これ以降、ツァイスのショット社のガラスを使用したエルマーを新エルマーという。基本的に戦後までライカはツァイスのショット社製のイエナガラスを使用している。
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント レンズ外観 オールドレンズ
新エルマー 50mm f3.5
旧エルマー 50mm f3.5
旧エルマー 50mm f3.5
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント 写りの特徴 オールドレンズ
エルマーの写りの特徴は横断する虹ゴースト、フレアー、分厚いピント面、モノクロの諧調が豊富で、通好みの描写。戦前のレンズとは思えない程の完成度の高さでカラーでもそつのない往年のライカらしい優しく柔らかい高描写が楽しめる。
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント 中古相場 オールドレンズ
中古相場は新エルマーが3万円台~入手可能で赤エルマーは若干高価。レアモデルや旧エルマーは10万円以上とさらに高額だが、新エルマーは製造本数が非常に多いため安価なので状態がいい個体を見極めたい。
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント レンズ構成図 オールドレンズ
レンズ構成は3群4枚Tessar(Elmar)型。絞り羽根の位置が違うだけ。
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント 旧エルマー 作例19枚 オールドレンズ
写りの特徴の詳しいレビューは個別の記事を参照。
Leica Elmar 50mm f3.5 Lマウント 新エルマー 作例18枚 オールドレンズ
新エルマーも鏡胴番号によっていくつか種類がある。30年間に渡り製造されたライカ一のロングセラーレンズの写りをご堪能あれ。ガラスたった4枚で描く、100年前に完成されたライカの世界観。
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント おすすめオールドレンズ
1930年に発売されたHektor 50mm f2.5はライカ初のハイスピードレンズでフォクトレンダーのヘリアー型のレンズ構成を改良してLeitz社のレンズ最高責任者Max Berek教授が設計した。3群6枚で全て2枚貼り合わせという非常に珍しいレンズ構成で、ライカではHektor 50mm f2.5とHektor 73mm f1.9にのみ採用されたレンズ構成だ。1930-1937年の間で9646本製造された。
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント レンズ外観 オールドレンズ
ヘクトール 50mm f2.5
ヘクトール 50mm f2.5
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント 写りの特徴 オールドレンズ
写りの特徴は作例を見てもらえばわかる通り解像力はさほど高くなく、薄いベールで被われたようなフレアーが発生し、発色は淡く幻想的な写りだ。2025年時点で96年前の1931年に設計されたモノクロフィルム時代の骨董品に近いオールドレンズなので、モノクロで本領を発揮する。白と黒の諧調表現は秀逸で、その味わい深い描写が堪能できる。
HELIARレンズは昭和天皇の御真影を撮影していて、昭和時代には営業写真館にも飾られ、豊麗な描写力から家宝として扱われるほど絶大な支持を得ていた。
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント 中古相場 オールドレンズ
中古相場は15~20万円程度。クロームとニッケルで価格に差はない。ピントリング全回転も存在する。
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント レンズ構成図 オールドレンズ
レンズ構成は3群6枚全群貼り合わせHeliar型。非常に珍しいレンズ構成。ヘリアーはフォクトレンダーのトロニエ博士が発明したレンズ構成。
Leica Hektor 50mm f2.5 Lマウント 作例23枚 オールドレンズ
貴重な歴史資料でもあるヘクトールの写りをご堪能ください。レンズ構成が独特なので唯一無二の写りが楽しめる。全然写らないから驚け。
Leica Summar 50mm f2 Lマウント おすすめオールドレンズ
Summar 50mm f2は1933年に発売されてライカ初のf2を達成したライカ初のダブルガウス型を採用したオールドレンズで、ハリウッド映画界を座巻した伝説のシネレンズ、英国のTAYLOR & HOBSON Cooke Speed Panchroのレンズ構成を模倣してMax Berekが設計したレンズだ。ちなみにスピードパンクロを忠実にコピーしたロシア製オールドシネレンズも存在する。
ズマールは当時の貨幣価値(2023年時点ドル換算)で$2000と高価なレンズで発売から約1年以上に渡りバックオーダーされ続ける程望まれていたレンズだった。Summarは1933年~1940年の7年間で123,000本生産された。ライカのガウスの祖はべレクのズマール。
Leica Summar 50mm f2 Lマウント レンズ外観 オールドレンズ
ズマール 50mm f2 L
ズマール 50mm f2 L
Leica Summar 50mm f2 Lマウント 写りの特徴 オールドレンズ
ライカのクセ玉の代表格で、滲みやフレアー、虹ゴーストが発生するエモい収差が魅力。前玉が非常に柔らかく拭き傷が付きやすい為、前玉のコンディションが悪い個体が多いが、それがこのレンズ本来の姿なので気にする必要はない。むしろあまりに状態がいい個体はどこかでレンズが研磨されている可能性が高く、本来の性能とはかけ離れた状態で、見た目は美品でも中身はジャンクということもあるので注意が必要だ。
Leica Summar 50mm f2 Lマウント 中古相場 オールドレンズ
中古相場は5~8万円で、クロームよりニッケルの方がやや高額。他にも先黒や固定鏡胴、ドロッペンなどのレアモデルは非常に高価だ。
Leica Summar 50mm f2 Lマウント レンズ構成図 オールドレンズ
4群6枚ダブルガウス型。ライツの50mmの6枚ガウスはズマールとズミクロン2ndと3rdだけ。
Leica Summar 50mm f2 Lマウント 作例22枚 オールドレンズ
ズマールはライカのクセ玉の代表格だが実はかなり高描写で緻密な描き方をする。ノンコート戦前ライカの味わいをまったりと楽しみたい。
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント おすすめオールドレンズ
1949年に発売されたSummarit 50mm f1.5はSchneider-Kreuznach(シュナイダークロイツナッハ)が設計してLeitz社が製造したと言われているLeitz Xenon 50mm f1.5の後継モデルで、Summaritの改良版がSummilux 50mm f1.4(貴婦人)。
Leitz社はCarl Zeiss社のSonnar 50mm f1.5に対抗してハイスピードレンズを作ろうとしたが当時のライツにその技術はなかった為、ドイツの名門シュナイダー社に依頼してレンズ構成はダブルガウス型を採用した4群6枚のレンズをシュナイダーのトロニエ博士が設計した。
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント レンズ外観 オールドレンズ
ズマリット 50mm f1.5 L
ズマリット 50mm f1.5 L
ズマリット 50mm f1.5 L
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント 写りの特徴 オールドレンズ
写りの特徴はピント面の滲みや虹ゴースト、グルグルボケが発生するライカ随一のクセ玉。Summilux 第一世代 貴婦人は1年間のみの製造で製造本数が少ない為30万円超えと高額だがSummaritはロングセラーで製造本数が多い為10万円前後で入手可能だ。
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント 中古相場 オールドレンズ
中高相場はレンズの状態によって8~18万円位と開きがある。長年に渡り改良を重ねて製造されたので写りの個体差が大きい為、外観にとらわれず試写して実際の写りや操作性を確認してから購入したい。
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント レンズ構成図 オールドレンズ
レンズ構成は4群7枚変形ダブルガウス型。このレンズ構成はライツXenon→ズマリット→貴婦人へと受け継がれていった。
Leica Summarit 50mm f1.5 Lマウント 作例21枚 オールドレンズ
ライカ黄金時代という時代柄もありレンズの作りも豪華で写りもNo1。大口径ということもあり滲みがハンパないが芯はしっかり残っていて線の細い描写。芸術的な絵画のようでクセ玉ライカの代表格。
Leica Summicron 50mm f2 1st 沈胴 Lマウント おすすめオールドレンズ
沈胴ズミクロン Summicron 50mm f2 1stは世界初の空気レンズを採用して1953年に発売されたライカ伝説の銘玉。当時の解像力テストで測定不能の数値を叩き出した。厳密には翌年に発売された固定鏡胴でテストしたらしい。沈胴とリジットで光学の変更があったとライツ社は公式に発表していないが、僅かな光学の変更はあったという噂がある。L39スクリューマウントは1953-1960年にかけて製造本数60680本。
Leica Summicron 50mm f2 1st 沈胴 Lマウント レンズ外観 オールドレンズ
ズミクロン 50mm f2 L 沈胴1st
ズミクロン 50mm f2 L 沈胴1st
ズミクロン 50mm f2 L 沈胴1st
Leica Summicron 50mm f2 1st 沈胴 Lマウント 写りの特徴 オールドレンズ
写りの特徴はフレアーや虹ゴーストが発生。ネットの噂や評判と実際の写りは違うことが往々にしてあるが沈胴ズミクロンも然り。開放の描写は非常に緩くてライカで一番使えないと感じた。オールドレンズマニアにとって収差は最大のおいしいご褒美だが、沈胴ズミクロンは見てられない位ひどかった。
当然個体差もあるだろうが、虹ゴーストが美しく表現されるスイートスポットが狭く、条件が限定されるのでスナップでサクサク撮れない。数段絞ってもあまり改善されずカメラを構えただけで画面全体にフレアーや虹ゴーストがガンガン発生して被写体のピント面を合わせるのが困難。
これが伝説の写りの正体。このように全然使えない伝説の写りを堪能したいなら沈胴ズミクロンをおすすめする。作例を参考にしてみてほしい。
Leica Summicron 50mm f2 1st 沈胴 Lマウント 中古相場 オールドレンズ
沈胴ズミクロンは製造本数が多いので中古相場は10万円前後で入手可能。リジットは10万円以上。
Leica Summicron 50mm f2 1st 沈胴 Lマウント 作例20枚 オールドレンズ
最初の6枚は撮って出しだが7枚目位からフィルム風にレタッチしてザラザラ粒子入ってる作例も数多くあるが雰囲気など参考までに。
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 おすすめオールドレンズ
Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代は1979年に発売された。コンピューター設計を取り入れたニュージェネレーション世代と呼ばれるオールドレンズで、厳密には筆者はオールドレンズとは思っていない。オールドレンズの定義について詳しくはこちら。
前期はカナダ製で指かけが扇形、後期はドイツ製で指かけがくぼんでいる。シリアルナンバーの位置も違う。最短撮影距離は0.7mでレンズ重量は195gと小型軽量で取り扱いしやすい。第二世代も最短撮影距離0.7mで重量は260g。
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 レンズ外観 オールドレンズ
ズミクロンM 50mm f2 3rd 第三世代
ズミクロンM 50mm f2 3rd 第三世代
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 写りの特徴 オールドレンズ
写りの特徴は黒の中の黒が写るレンズで、ライカの50mmズミクロンと言えば本レンズと言っても過言ではない。現行レンズ程カリカリせずに往年のライカらしい優しく柔らかい描写でモノクロでもカラーでも安定した写りでコントラストの付き方も良く、モノクロ撮影時は諧調が豊富で見ごたえがある。
虹ゴーストは発生せずフレアーは若干発生するが、現行のように過度な補正はされておらず自然な描写で好感が持てる。収差が強いオールドレンズは苦手だけど現行レンズのコテコテ描写も苦手という方にとっては非常におすすめできるオールドレンズ。
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 中古相場 オールドレンズ
中古相場は20万円前後。製造本数は多いが年々値上がりしている。なぜだろう。指かけがない第二世代もおすすめ。2ndは書籍に260gと記載があるが3rdは225gとの記載で実際は195gなので実際に計ってみないとわからない。
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 レンズ構成図 オールドレンズ
レンズ構成は4群6枚ダブルガウス型。コンピューター設計を取り入れているので見慣れないおかしな形状になってる。3枚目と4枚目が不格好だよなぁ。よく写るけど。個人的にはオールドレンズとは思っていない。時代は初代タムキューと同じ位。
Leica Summicron-M 50mm f2 3rd 第三世代 作例33枚 オールドレンズ
やはり一番近代のレンズだけあって高描写でコントラストが高い。
まとめ
以上、Leitz Leica ライカ銘玉50mmおすすめ神オールドレンズ作例でした。総括として、今回紹介したレンズはどれも紛れもない銘玉でライカの神オールドレンズといえる。それぞれレンズ構成が違うので写りも個性があって非常に面白い。あとは何を優先するか各々の好みによる。オールドレンズの選び方については以下の動画で解説している。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。