Leitz Summicron 50mm F2 Review作例 第一世代沈胴ズミクロン Leicaライカ
Leitz Summicron 50mm F2 Review作例 第一世代沈胴ズミクロン Leicaライカ。
ズミクロンというとよく写るというイメージが先行するが、初代沈胴ズミクロンは「程よく緩く程よく堅い」。初代Summicronは前モデル、いわば兄貴分であるSumitarの前群の1群と2群目の貼り合わせを分割して空気レンズに置き換えたことが革命的で世界初の空気レンズを採用したモデルだった。ズミクロンの登場により世界の50mmレンズのハードルが上がった。
第一世代Summicron 50mm f2 初代沈胴ズミクロン5cmとは
戦後ライカM3の発表の前年1953年にⅢf用としてSummicron 50mm f2が沈胴型のL39スクリューマウントとして登場した。そして翌年発表されたM3ライカと共にライバルであったCarl Zeissのコンタックスを圧倒的に引き離していった。日本の各メーカーもこれには勝てないとレンジファインダー機での勝負を諦め、一眼レフカメラへ移行していった。
初代(第一世代)沈胴Summicron50mm/f2は戦後のライカを代表するレンズで、1953年にSummitar(ズミタール)に替わり登場した6群7枚のダブルガウス型標準域レンズ。最短撮影距離は1m、最小絞り値はf16。
屈折率の高いランタンクラウンガラスを使用している。レンズ設計も一新して各収差が抑えられ、非常に高い解像力と色再現性を備えた銘レンズ。1960年頃から固定鏡胴になった。1953年~1963年の約11年間で約6万本が製造された。
固定鏡胴タイプは1956年にライカM型用に供給したものをバルナックライカ用にスクリューマウント化したものでレンズ構成は沈胴タイプと若干異なる。固定鏡胴型は1960~1963年に1000本程製造された希少タイプで状態がよければ中古相場で50万円以上。沈胴型は製造本数が多いのでよく見かける。
ズミクロン50/2は製造本数が多いので高性能の割に中古相場は10万円前後とこなれていて、コスパに優れたレンズといえる。また、90万代の最初期に製造された個体は放射線物質トリウムを使用したアトムレンズを使用していて、希少なのでやや高値で取引されている。
Summicron 50mm f2 初代沈胴ズミクロン5cmのスペックReview
- メーカー:Leitz
- 製造年:1953年(Lマウント)、1954年以降Mマウント
- レンズ構成:6群7枚ダブルガウス型
- 絞り値:最大f2~最小f16
- フィルター径:39mm(E39)
- 最短撮影距離:1m
- 重量:218g(実測値)
- 中古相場 8~15万円前後
- 製造本数:57980本
Summicron 50mm f2 初代沈胴ズミクロン5cmのレンズの外観Review
撮影機材カメラはSony α7Ⅳで撮影機材レンズはCanada Leitz Elmar 65mm f3.5 makro Visoflex。
沈胴ズミクロンを持った感じは金属製の鏡胴と質のいいガラスがぎっしり詰まった感じがして小さい割にずっしりと重みを感じる。レンズの重量はアダプターなしで218g、焦点工房のヘリコイドアダプター合わせて305g。
佇まい。
ちょうどいいサイズ感。
この頃のライカのレンズの作りはとても精工。
レンズ前玉が大きい凸球面。フード?オールドレンズにはフードやフィルターは装着しない。ゴーストやフレア抑えたい場合にはフードやフィルター装着は有効。
個体の状態はとてもいい。
レンズ内の光学も美しい。微細なチリのみ。
Summicron 50mm f2 初代沈胴ズミクロン5cm L39マウントの購入経緯
正直ズミクロン5cmF2を購入した時はオールドレンズ沼の入口で有名なズミクロン(なるべく古い個体)が1本欲しいと思いマップカメラで物色して約10万円で購入した。保有していたオールドレンズはライカ含めクセ玉が多かったので1本バッチリ写る優等生の古いライカが欲しいと思っていたことは覚えている。
Summicron 50mm f2の作例 初代沈胴ズミクロン5cm L39マウント
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7C。意外かもしれないが沈胴ズミクロンは時間帯によっては開放でカメラを構えただけで邪魔なくらいガンガンゴーストが出現する。
やはりライカの本質はモノクロ。黒の中の黒が写る。
前玉汚れてた?開放と言えどもこんなに眠い画ではないはず。
ハイライト滲む。
開放で若干周辺減光あり。
コロナで梅まつりも賑わいはなかった。静かでいい。
やっぱモノクロいいな。
戦後でコーティングされたモデルだが逆光はコントラストは明らかに低下。飛んでる。jpeg撮って出しかな。
珍しい花らしい。なんだっけ。セツブンソウ?手書きで「セツブンソウ咲いたよ!」って張り紙あったが見つからなくて、皆(数人)「ない!ない!」と大騒ぎだった。あった。
ガウスは非点収差が残りやすく、やはりグルグルする。
1、2段絞って撮りたかった。このズミクロンはF4で最高性能を発揮する。
看板がやけにノスタルジックでエモく撮れる。Hektor28mm f6.3もそうだった。
お出迎えの手作り感がかわいすぎる。
ゴーストはゴリゴリ出る。形は美しいのでポートレートにも使えそう。
遠景チェック。クリエイティブルックNTのまま。
IN。
FL
鳩氏。
Summicron 50mm f2の写りの特徴Review 初代沈胴ズミクロン5cm L39マウント
こんな少しの作例ではレンズの素性の30%もわからないが、現時点で感じた初代ズミクロン5cm f2の写りの特徴を以下にまとめた。
- コントラストやや高め
- モノクロとカラーで全然違う
- モノクロは諧調がわかりやすい
- シャドウの中に諧調があって見ごたえがある
- カラーはハイライトの滲みやふんわり感が目立つ
- 周辺部の結像は甘くざわつく
- くすみや濁りがあるが透明感もある
- グルグルボケ発生
- 複数の円環虹ゴースト発生
- 逆光でコントラスト低下
- 適度に硬く適度に緩い
- モノクロで絞ると渋い
まとめ
初代沈胴ズミクロン50mm/f2はコントラストはやや高いがふんわり感や周辺部のざわつきなどが混ざり合い、戦前戦後のクセ玉ライカの中では硬派な存在だが、適度に硬く、適度に柔らかくて個性があり面白い描写だ。また、盛大なフレアゴースト、グルグルボケも発生するのでオールドレンズらしい収差も楽しめる。
しかし、もっとオールドレンズらしいクセのある収差が欲しいなら、ズミクロン以前の戦前Hektor(ヘクトール)5cm/f2.5やElmar(エルマー)5cm/f3.5、Summar(ズマール)5cm/f2、Summarit(ズマリット)5cm/f1.5などがいいだろう。逆に程よい収差と程よい写りのハイブリッドオールドレンズが望みなら本レンズを選択肢に入れるのもいいだろう。
色々情報を漁り勉強していて気付いたことがある。沈胴の後の固定鏡胴の2世代目の空気レンズを非採用にした6枚玉は人気低いが欲しい。ガウスは古典的な基本的な6枚が好きなの。ガウスはあくまで対象型だから。レンズ枚数が奇数だと気持ち悪い。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。