MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4 レビュー作例 描写ライカ彷彿 ミノルタ銘玉神オールドレンズ
MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4 レビュー作例 描写ライカ彷彿 ミノルタ銘玉おすすめ神オールドレンズ。滲みとシャドウの描き方、淡い描写がバチクソエモかっこいい1万円で買えるオールドレンズ。
MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4とは
1973年MIINOLTAはLeicaと共同開発を行っていた。50mmのF1.4としては後発的レンズ。MINOLTA RokkorはF1.4の明るさを持ちながら1万円~2万円以下で入手が可能なので初心者にも購入しやすいオールドレンズ入門用としても最適だしオールドレンズ中上級者も唸る写りだ。
MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4レンズの写りの特徴
写りの特徴は、当時のレンズにしては逆光に強く派手なゴーストやフレアの発生は少ない。発色はおとなしめで淡い描写。絞り開放時は滲みと周辺光量落ちがありノスタルジックな雰囲気満載だ。ゴーストやフレアの発生が少ない分画づくりに集中できる。
ハイライトは柔らかく暗部は潰れ切らずにシャドウの描き方がかっこいい。現代レンズのコテコテ感とは真逆で、オールドレンズのゴーストやフレアなどの飛び道具もないが、独創的で幻想的な個性を持ったレンズの写りの本質で勝負できる。
当時のライカが認めたミノルタの底力を感じる。幸いにもレンズの本数は割と多いようでMDというマイナーなマウントも幸いして中古価格は抑え目だ。これだけのクオリティのオールドレンズがたった数千円で入手可能なのはとても幸運なことだ。
筆者はSummilux 50mm f1.4(貴婦人)は使用したことはないが、作例を見ていると貴婦人の写りに似ていて貴婦人に近いクオリティを持ったレンズだと感じた。
質感表現がリアル過ぎないリアリティがあって芸術的。滲みがあり淡くて優しいが、その奥、芯はシャープネスが感じられて不思議な写り。緩さとシャープネスの同居。諧調も豊富でハイライトの描き方が丁寧で暗部も粘りがあり秀逸。次回モノクロ縛りで撮影してみたいと思った。
久々に過去の作例をセレクトしていて衝撃を受けた。隠れた銘玉がここにあった。虹ゴーストで有名なM42マウントのスーパータクマーや同じくゴーストとグルグルボケで有名なヘリオスも素晴らしいレンズで筆者も大好きで所有しているが、マイナーなマウントでもいいからゴーストやフレアーなしで勝負できる個性的な写りのオールドレンズを格安で探しているなら間違いなく候補に挙がるレンズの1つだ。
MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4レンズのスペック
- レンズ名:MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4
- 発売年 1973年
- 焦点距離 50 mm
- マウント:Minolta SR (MC/MD)
- 最小絞り値:f16
- 最短撮影距離:0.5 m
- フィルター径:55 mm
- レンズ構成:5群7枚ダブルガウス型
- 絞り羽根枚数:6枚
- 重量:306g
- 中古価格:10000円~20000円
MC ROKKOR PG 50mm f1.4のレンズ外観レビュー
MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm f1.4の作例レビュー
撮影機材カメラはSonyのフルサイズミラーレスカメラα7c。記事を公開したのは6月初夏だが作例を撮影した時期は1月中旬の真冬まっさかりで季節反対ですみません。今回はRAWストレート現像と、多少露光量やハイライト、シャドウを微調整している写真もある。
バチクソエモかっこいい。開放の描写は柔らかくて甘いがトーンは丁寧に描かれている。
言葉を失う程の圧倒的描写力。黒系色がとてつもなくかっこいい。
諧調が豊富で出る色が多い。黒色の豊富さ、シャドウがかっこいい。
ド派手なアクロマチックコーティングからは想像できないシネレンズのようなノスタルジック感。暗部の描き方がかっこいい。
オールドレンズのド定番、柔らい描写とゴーストが美しいタクマーやゴーストとグルグルボケで有名なヘリオスなどよりも安価で、違った個性がある。
この写真はパキッとカリッとしている。撮影したのは一年半前なので忘れたが開放だと思う。
周辺減光がとてもいい。郷愁があり幻想的であり昭和の映画の世界観もある。
昭和レトロがすぎる。フィルムへ回帰したような雰囲気が出せる。
ハイライトの滲みが美しいので敢えてレタッチせずにRAWストレートの方が好きだという写真が多かった。
様々なオールドレンズを一通り味わい尽くしていよいよ終着駅が見えてきたかなと思ったところで出会った。シネレンズのようでもある。
誰かが言っていた。ターコイズブルーが美しいと。その意味がわかる一枚。空の濃い青色にハートを鷲掴みにされる。
もしかしたら一番好きかもしれないぞこのレンズ。困ったな。
ハイライト部分の滲みがライカのズミルックスのようにかっこいい。さすがライカから協業してくれと言われたミノルタの底力。
ミノルタのコテコテ感があるとしたらこの辺の作例を見ていると黄色と赤色だが、それでもこの程度。
冬の空気が伝わる。
近接時の後ボケがかっこいい。Nikkor 50mm f1.4のボケに似てると思った。もしくは前玉凹みウルトロンか?
ピント面の緩さ。しかし緩さの中に芯がちゃんと残っている。
偶然、品のあるマダムが被写体として入ってくれた。こういう意味ではマスク社会もいいかもしれない。
ハイライトの滲みと黒系の被写体をシャドウで魅せるとこのレンズの一番の魅力を引き出せると思った。敢えてハイライト飛ばし気味のまま現像。黄色の淡さを残した。
赤のペンキの色と凹凸感、ペンキ塗りたての頃のペンキの匂いも伝わってきそうな臨場感。というかポストが郵便屋さんに見えてきた。
これもハイライト飛ばしたまま。シャドウもそうだが、見えないが見えるという表現方法もあると最近思う。森山大道先生のハイコントラスト白黒の作風もその類。
これもRAWストレートだが木造の質感や触り心地まで伝わってくる。このレンズ?1万円。
後ボケがエグい。冬は太陽光が鋭角に入ってくるからかっこいい写真が撮りやすいのかもしれない。
あと冬は空気が澄んでいるから抜けて写るのかもしれない。陰と陽を同居させて表現できるって幸せ。
これもギリギリのラインでハイライトとシャドウを調整し過ぎないようにレタッチ。飛び気味、潰れ気味だがハイライトの滲みとシャドウの奥がしっかり描かれている。
ザ、冬。太陽光の角度で季節がわかる。人工的なレフ版も便利でいいが、自然光をうまく利用すると唯一無二の作品が撮れると自分はそう思う。スナップでレフ版は持ち歩けない。
公衆電話の受話器の質感。
昭和レトロな描き方をする昭和レトロなレンズで昭和レトロ博物館を撮る。落語かよ。
マジでシャドウがバチクソかっこいい。
たまにちょっと不自然な立体感がある写真が撮れる。色も他と違う。なぜだ?
これこれ、この方が好き。黒色が渋い。
一見ピント面が緩すぎると感じるがこれはこれでいい。
木目調がこんなにかっこよく描ける。バチクソエモい。
お堂の中のシャドウ。もう少しレタッチするとシャドウはもっと見えるが、敢えていじらず。
これもハイライト飛ばし気味のまま。この微妙なラインは人間にしか表現できないと思う。見えないが見える。ハイライト落とし過ぎるとこのレンズの味わいである滲みも消えてしまうのだ。
美しい滲みオールドレンズが1万円で入手できるという大発見をしてしまった、誰にも言わないでおこう。
作例は以上。
まとめ
バチクソエモかっこいい。正直、こんなにいいレンズを1年半お蔵入りさせていた自分の目は節穴かと思った。いや、初試写した日、激安のオールドレンズがこんなにいい写りをしたら今後の楽しみがなくなってしまう。こんなに素晴らしいレンズがなぜこんなに安いんだ!もっと、もっと色んなオールドレンズを知りたい!
というような思考回路でオールドレンズ沼にハマっていった記憶が鮮明にある。あまりに写りが良すぎて逆にがっかりした。悲しいかな、人は安いものに価値を感じず高額なものに価値を感じるのか。高い安いの違いはその物質(商品)の絶対数による。結論、数が多いから価格が安くなるし数が少ないと価格は高騰する。
ただし、例えば料理なら希少で高価だから健康的でおいしいとは限らないし、レンズでも希少で高価だから写りがいいとは限らないのだ。ロシア製のオールドレンズは写りがよくて人気なのに安価な理由は、レンズの玉数が大量にあるからであってレンズ性能や写りが悪いからではない。
むしろ、軍用で使用されているレンズが民間人が安く入手できるという国の仕組み自体が奇跡なのである。通常、資本主義社会で軍用のレンズを入手しようとすると、例えば、ライカのエルカンのように高価になる。とはいえ、エルカンの製造本数は極少なかった。
エルマーも軍用だったが、大量生産されていた為、比較的に安価に入手可能だ。とういかそもも今回はミノルタのレンズだ。ヒートアップしてきたので、今回はこの辺でお開きにしよう。
最後までご覧頂きありがとうございました。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。