和製ズミクロン RICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2 のスペックやレンズ構成、レビューと作例
今回レビューするオールドレンズは、富岡光学がリコーにOEM提供していた和製ズミクロンRICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2だ。リケノンの解像度測定結果の数値がライカのズミクロンに匹敵したという逸話がある。解像度だけでは判断できないし時代も違うので一概には言えないが、中々いい写りをするリケノンは玉数が多い為入手がしやすく中古で1万円程度で入手できる安さは非常に魅力的だ。
RICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2 の外観レビュー
被写体はSony α7Cとリケノン50/2。撮影機材はカメラがSony α7Ⅳでレンズは富士フィルム FUJINON 55mm F1.8。外観レビュー、開放。60本位レンズを保有しているのでレンズを引っ張り出したら開放と絞りの写りの確認はしたくなる。
α7Cに装着するとこんな感じ。
まぁ、後日、物撮りは真面目に撮るわな。
富岡製は金属鏡胴で最短撮影距離が0.45m。後期型はプラスチック鏡胴で最短撮影距離が0.6m。注意してね。
光学もすっきり抜けていて美しい。富岡さんちの子。
50mm f2というスペックは一番好き。
最短撮影距離0.45m
でさ、安いからって貧者のズミクロンって呼ぶのやめない?好きで使ってるんだから。ズミクロンも2本持ってるしな!
MFのオールドレンズって面白いよな。
RICOH XR RIKENON 50mm F2とは
XR RIKENON(リケノン)50mm F2は1978年にRICOHが発売した普及価格帯の一眼レフ(フィルム)カメラ「XR500」や1980年発売の「XR1000S」などのセットレンズとして用意されたレンズで、単体でも販売されていたリコーの代表的な標準レンズである。XR RIKENON 50mm f2は幾つかのバリエーションが存在し、前期型と後期型は富岡光学製のOEMモデルとして供給されていた。それ以降のモデルは日東光学製に委託先を遷移している。マウントはペンタックスKマウント。前期型と後期型があり、前期型の方が人気。和製ズミクロンと呼ばれる一方、価格が非常に安い為、貧者のズミクロンとも呼ばれる。
RICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2の写りの特徴
RICOH XR RIKENON50mm F2の写りの特徴は、開放で中央部の解像力は高いがカリカリせずに線が細く繊細な描写で周辺部はやや甘めで使いやすい。少し絞るとコントラストが高くなり全体的にシャープに写り合掌部の線は若干太めで絞るとさらに線が太く力強い描写になる。ゴーストやフレアーは発生するが、グルグルボケはよく抑えられている。
玉ボケの輪郭が美しく、開放ではコントラストがやや低めで色乗りもニュートラルで使いやすいため、高い解像度を活かしつつもオールドレンズらしい描写が可能。中古で1万円程度で入手可能な割に現代のレンズに近い高い解像度を見せる為コスパは非常に高いと言える。
RICOHのXR RIKENON 50mm F2が和製ズミクロンと呼ばれる理由
XR RIKENONは非常に高性能な解像力を持っているオールドレンズで和製ズミクロン、貧者のズミクロンとも呼ばれる。その理由について簡単に解説する。まず、ズミクロンの伝説から。M型ライカの標準レンズ「ズミクロン50mm F2(第一世代)」は1959年カメラ雑誌「アサヒカメラ」の記事「ニューフェース診断室」のレンズの解像力測定で計測装置の上限値を振り切り計測不能の解像力数値を叩き出した。それから約18年程経過した1978年に発売されたXR RIKENONの解像力を測定したところ、当時のズミクロン50mm F2に匹敵する数値が計測された。これが和製ズミクロンと言われる理由であるが、20年近くも昔のレンズと比較しているのでフェアではないというのが1つと、この測定した数値の根拠は見当たらないのでリケノンが叩き出した数値の真偽は定かではない。他にもWeb上で写真を比較しているサイトも数多くあるので興味があれば検索してみるといい。
RICOHのXR RIKENON 50mm F2の富岡光学製の見分け方
前期型
- 発売年:1978年
- 鏡胴:オール金属製
- 最短撮影距離:45cm
- 焦点距離表示:指標値環に有り
後期型
- 発売年:1980年
- 鏡胴:オールプラスチック製
- 最短撮影距離:60cm
- 焦点距離表示:無
前期型、後期型共にレンズ構成は5群7枚のダブルガウス型だが、鏡胴素材や最短撮影距離も違う為、構成やガラス硝材、その他に何かしらの変更があったと思われる。写りも比較すると違うだろうと推測する。
RICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2のスペック
- 販売メーカー:RICOH
- レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- 絞り羽根:6枚
- 最小絞り値:f16
- 最短撮影距離:前期型0.45m、後期型0.6m
- フィルター径:52mm
- マウント:PK
- 重量:前期型205g(実測)、後期型170g?
参考文献:出品者のひとりごと
RICOH XR RIKENON(リケノン)50mm F2の作例レビュー
いつも通りレンズの素性を探る為に基本jpeg撮って出し。撮影機材はSony α7Ⅳ。見てわかると思うが最後の3枚は最近自分の中で流行っているフィルムライクなレタッチをしてる。
さぁ本日も参ります。冬は日中でも月が見える。空の色。ニュートラル。
すぐ隣の公園で何でもない草花を撮る。マクロ時のボケがアーティステックな油絵みたいなでいい感じ。
霞川が凍っていた。厳しい冬を超えるとやがて春が訪れる。四季は人生を教えてくれる。
逆光テスト。フレア-と紫ゴーストが発生。エモい。
虹ゴーストも発生。
つい足を運ぶのは小川と公園と神社と寺院。自然が好き。モノクロもいい感じ。絞ってる。
離れて見るのと近くで見るのは違う。
玉ボケ綺麗な輪郭。非点収差のグルグルボケは抑制されている。ピント面の立体感あり。
神社ってかっこいいよな。宮大工尊敬。
ちょっと意地悪な環境で写りのテスト。神社参拝したよ。
絞っても優しく柔らかい描写がオールドレンズのよさ。
渋く現像。どんなレンズでもかっこよく撮れると最近気付いた。
撮った時の感情って意外といつまでも覚えてる。
別に何でもないただの日常。それが最上級の幸せで。
今この瞬間を忘れない。と思いながら生きてはいるけど。
いつからだろう、人生がうまくいかなくなったのは。人間付き合いが苦手で心の大きな殻を作るようになった。
目に映るものは全て奇跡で。なぜ産まれてきたのか考えることすら無意味で。
そんなことを考えながら今日も家路につく。
バイバイ。
写りの特徴レビュー
見てすぐわかるはずだが最後の3枚は最近自分の中で流行っているフィルムライクなレタッチをしている。
- 紫ゴーストと虹ゴースト、フレアーが発生
- 開放は中央部の解像力は高く周辺はやや甘いので立体感が付けやすい
- 開放は逆光に弱いのでそれを活かした撮影が必要
- 絞るとコントラストが高くなりZeissのような硬派な描写で印影が付けやすい
- 発色は程々でニュートラルで使いやすい
- 玉ボケの輪郭はオールドレンズの中では綺麗な部類
- 和製ズミクロンは本家ズミクロンと描写は別物
- さすが富岡光学製だがクセが強いので乗りこなすにはスキルが必要
- オールドレンズ初心者がレンズの持ち味を発揮して使いこなすのは難しい
- モノクロで特徴のあるトーンをうまく使いこなすとかっこいい写真が撮れる
- 初代沈胴ズミクロンと同様に逆光に弱いところも似ている
まとめ
ゴーストやフレアーは発生するがグルグルボケは発生しないというアンバランスさが魅力。中央部の解像力の高さとクセのあるボケや美しい玉ボケを活かし、被写体の立体感を強調しつつ撮るとポートレートでも活用できる。
開放時と絞った時で性格が全く異なるレンズなので、二面性を楽しめる。カラーとモノクロでも味わいが別物レンズなので、このレンズの特性を探しながら色々な作風の描写が楽しめるので、ハチロクのように使い手を成長させてくれるオールドレンズかもしれない。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。