Trioplan 100mm f2.8VのReview作例 シャボン玉バブルボケ Meyer-Optik Görlitz
美しいバブルボケ(シャボン玉ボケ)で有名なMeyer-Optik GörlitzのTrioplan100mm/f2.8VのReviewと作例。スペックや実写して感じた写りの特徴もレビューする。マウントはEXAKTA(エキザクタ)。
Trioplan 100mm f2.8Vとは
Meyer-Optik GorlitzのTrioplan 100mm f2.8Vとは、シャボン玉バブルボケで大人気の3群3枚トリプレット型のオールドレンズだ。現在復刻版レンズも販売されている。
トリオプラン100mm f2.8Vはバブルボケ以外のボケも素晴らしくBokeh Monsterと呼ぶにふさわしいオールドレンズだ。トリオプランは元々評価が低いオールドレンズだったが、海外のSNSでバブルボケが乱れ飛ぶという噂が一気に広まり大人気となり価格が高騰した。
シャボン玉ボケ(バブルボケ)は確かにトリオプランの特権で他のバブルボケが出るレンズと比較しても頭一つ抜き出ている。芸術的に崩壊するMeyerらしいボケも健在で開放の盛大な滲みもある。解像度は低く収差を作風の表現に取り入れないカメラマンにとっては未だに「ダメイヤー」と呼ぶ人もいるだろう。とはいえオールドレンズの収差を愛するマニアは高い解像度や収差が補正されたレンズを望んでいる訳ではないし、トリオプランのバブルボケは確かに魅力的だ。
特に筆者は「Bokeh」を重要視している。よって本レンズの購入に至った。できるだけ1960年代より昔の1950年以降で探して1956年頃製造されたと推測されるレンズを入手した。しかし、バブルボケが出るというだけで飛びつくとミーハーに思われてしまう恐れがあったので入手は他レンズよりも遅くなった。
他にもMeyer製のオールドレンズはPrimoplan58/1.9、Domiron50/2、Oreston50/1.8(前期後期)と、Orestor135/2.8を入手した。これだけ持っていればトリオプランを持っていてもミーハーではないだろう、なんてやはり多少他人の目は気になるのね自分…。
ちなみに吸収合併された直後に製造されたPentacon Prakticar50/2.4MCも中身はMeyer製だ。
Meyer-Optik Görlitz Trioplan 100mm f2.8のスペック
- 製造メーカー:Meyer-Optik Görlitz
- 製造年:1913年~1966年
- マウント:Exakta、M42、Praktina
- レンズ構成:3群3枚Triplet(トリプレット)型
- 絞り羽根枚数:15枚
- 絞り値:f2.8~f16
- 最短撮影距離:1.1m
- 重量:レンズ単体318g(実測値)、アダプター込み496g(実測値)
- レンズ設計者:Stephen Roeschlein
備考:戦前は真鍮鏡胴で1942年からアルミ鏡胴、戦後、光学の見直しが行われて解像力と周辺画質が向上し、バブルボケが発生するモデルも戦後のみ。
Meyer-Optik Görlitz Trioplan 100mm f2.8の外観レビュー
撮影機材カメラはSony α7C、撮影機材レンズはAuto Chinon 55mm f1.7 Macro Malti Coated。この頃のMeyer-Optik Gorlitzは高級路線まっしぐらでレンズは時計や工芸品の様に精工なつくりでデザインも美しい。
シリアルナンバーから推測すると筆者が所有している本レンズはMeyer製品の品質が落ちる前の1956年製造と思われる。
1960年代中盤に差し掛かる頃Carl ZeissがMeyerへのレンズ素材の提供を中止した為Meyer製品の品質が低下していった。
V表記モノコーティング。
Meyer-Optik Görlitz Trioplan 100mm f2.8の作例jpeg撮って出し
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ。上記外観レビューの写真通りの装備でK&F Conceptのマウントアダプターでエキザクタ→ライカMへ変換して「焦点工房のヘリコイド付きマクロアダプター(6mm)」を装着してボディと連結している。クリエイティブルックはNTで絞りは開放f2.8のみ、レンズの素性を探る為Lightroomで未加工jpeg撮って出し。目的は無限遠とマクロ域の描写の確認とバブルボケ(Bubble Bokeh)の確認。近所の公園で久々に試写。天気は曇り一瞬晴れ間見えたが終始寒く手がかじかんだ。ヘリコイド重め。
メルヘンチックな世界観。3枚玉トリプレットはエモいのか。薄いベールのようなフレアーが画面全体を覆う。この時一瞬太陽が顔を出したかもしれない。滑り台の手すりが太陽光で反射してハイライトが滲んでいる。発色は地味。
落ち葉。色合いがいい。周辺は甘くていい味出てる。滲むなこのレンズ。好みだ。
ちょっと寄ってみよう。怪しげな雰囲気がいい。絵画的描写。
シャボン玉ボケが出そうな背景をセレクトしてもっと寄ってみる。出たバブルボケ。玉ボケの輪郭をもっとはっきりさせたいので晴天時の強い太陽光下か夜のイルミネーションで撮影したい。
怪しい崩壊したボケの表現はさすがMeyer-Optik Gorlitz。モノクロではないがモノクロっぽい雰囲気。絵画。
薔薇でマクロ域。開放だが花びらの輪郭を周辺まで最低限描いてる。ピントを少し外れた隣の薔薇の花びらの輪郭はかなり滲んでいる。
ヘリコイド付きマクロアダプターを装着すると設計時に確認済みの本来のレンズ性能を超えた描写になる。今回の環境下では本来のレンズ性能を超えたマクロ端よりヘリコイド付きマクロアダプターを使用しないマクロ域やもう少し離れたり中距離の方が美しいバブルボケが出やすい。
天気は曇りなので正確には木漏れ日ではないが木漏れ日もどきでシャボン玉ボケ(Soup Bokeh)も出現。
角度を変えてみる。全体的な雰囲気とボケの表現が変わる。これが面白い。雑なボケも出現。これもいい味。
体軸をほんの少しずらしてほんの少し角度が変わるだけで写真のボケの印象が変わる。
中距離無限遠のテレ側の描写も牧歌的風景が似合った描写を叩き出す。周辺の結像の甘さも好み。
霜柱の奇跡。大人になっても不思議だしサクサク踏みたくなる。
フリンジ発生。補正しない。収差が好きなんだ。敢えて加工でパープルフリンジ出す人は少ない。フリンジ発生するオールドレンズならそれがそのレンズの持ち味なので補正したくない。
やはり被写体から光源を離した方が美しい輪郭のバブルボケが出現しやすい。滲みもたまらん。
欲張ると輪郭が甘くなる。
陰と陽。
太陽が一瞬顔を出した時の嬉しい感情は木々の葉も一緒かな。
例えばこの葉の辺りにモデルを配置すると同じようなバブルボケが出現するなと思いながら撮影。
緑の葉にピントを合わせるか黄色い葉にピントを合わせるか、モデルなら右目か左目か唇か髪の毛にピントを合わせるか。
一応最後にライトルームで簡単に加工した作例をいくつか紹介しておく。本レンズは発色が穏やかだし少し加工した方がバブルボケの輪郭エッジが美しく出る。
やっぱあまりいじらない方がいいな。自分の場合は。
彩度上げたりしてるが、不自然な立体感。素朴な描きのトリプレットはそのままスッピン撮って出しがいい。
やはり3枚玉の解像度は低いし彩度も淡い。しかしトリオプラン100/2.8のバブルボケは美しい。
ポートレートでも上手く使えばかなり面白い画が撮れそう。
作例は以上。トリオプラン2.8/100試写2回目でバブルボケを意識した作例記事はこちら。
Meyer-Optik Görlitz Trioplan 100mm f2.8の写りの特徴レビュー
あくまで筆者が感じたトリオプラン100/2.8Vの写りの特徴を記す。
- 滲む
- 世界一のバブルボケ大量発生
- 発色淡い
- 中央部の解像度はまぁまぁ
- 周辺部の結像はやや甘め
- 不自然な立体感が出ることがある
- 画面全体が濁りどこかJenaっぽさを感じる
- 素朴
美しい輪郭のバブルボケの出し方
被写体と光源の距離を多めに取り本来のレンズの性能を超えない方が美しい輪郭のシャボン玉バブルボケは発生しやすい。普段「玉ボケを美しく出したい」と思って撮影していなかったので意識すると色々わかって面白い。夜の方がライトの光源で玉ボケになりやすいが筆者は夜寝るのがとても早く夜は全く外出しないので夜の作例が非常に少ない。
まとめ
トリオプラン100mm/f2.8Vはシャボン玉ボケ以外のボケ感もMeyerらしいこだわりが感じられて安心した。中心部に被写体を配置した時に不思議な立体感でチープでトイっぽい雰囲気に感じることもあるが、それを作風に活かせるなら本レンズの購入はいい選択肢だと思う。
描写力に関しては余計なものは写さないが最低限は写すシンプルイズベスト的な思想かと。ボケを重視するならいい選択だが中古相場は約10万円。復刻版も10万円を超えた価格設定。
バブルボケはMeyerのお家芸なので他のバブルボケが発生するトリプレットのオールドレンズよりもやはりバブルボケはMeyer製の方が美しい。また、Pentaconのプロジェクターレンズを改造したNOCTOのTamapricoも美しいバブルボケが発生して割と安く入手できるので興味があればチェックしてみてもいいかもしれない。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。