Leica VisoFlex Elmar 65mm f3.5 Macro レビュー作例 ビゾフレックス金字塔 ライカ銘玉
Leica VisoFlex Elmar 65mm f3.5 Macro レビュー作例 ビゾフレックス金字塔 ライカ銘玉
Leica VisoFlexとは Leitz Canada
VisoFlexとは簡単に言うとレンジファインダーカメラに一眼レフ機構を装着するシステムで、ボックスに内蔵されたレフレックスミラーをレバー操作で跳ね上げてバルナックライカやM型ライカを一眼レフカメラとして使用できる。
レンジファインダー機は望遠や接写で正確なピント合わせをすることが困難。長年ライカが苦手としてきた分野だ。その弱点を補う為に開発されたのがVISOFLEX(ビゾフレックス)という訳だ。ライカが一眼レフカメラを開発した後もオールドレンズらしい繊細で柔らかい描写やビゾフレックスを装着した独特なフォルムに魅了されて使用するユーザーも多い。
ビゾフレックス用に開発されたレンズで一番有名なのがビゾフレックスの金字塔と言われているElmar 65mm f3.5 マクロレンズだ。前期のシルバー鏡胴と後期のブラック鏡胴があり光学の見直しがされていて写りも少し異なるようだ。
Leica VisoFlex タイプ年代 世代別
1951-1952年:typeⅠ
装着するとこんな感じ。ごつい。個人的にはない。何かのプレイみたいだ。
1959-1963年:typeⅡ
やはり何かのプレイに見える。
1963-1983年:typeⅢ
Leica VisoFlex レンズ一覧
VisoFlexレンズの種類
Leica VISO Elmar 65mm f3.5 macro 外観レビュー
撮影機材はカメラがSony α7Cでレンズはライカ Summar(ズマール) 50mm f2。これはエクステンションチューブを装着した状態。シルバーとブラック合わせて16750本しか製造されていない。
実はレンズは先っぽのシルバー部分だけ。2段目の黒い鏡胴はエクステンションチューブでハーフマクロを等倍で撮影する為のチューブだ。その次の3段目のシルバー鏡胴はヘリコイド。そしてカメラボディ側の黒い部分がフランジバックを調節するいわゆる「アダプター」だ。そう、ビゾ用のオールドレンズをミラーレスカメラで使用するには結構面倒なのだ。
正面から。やはり何かのプレイに見える。
時代を感じる。これはプレイだな。
VisoFlex Elmar 65mm f3.5 スペック
- ライカ注文番号:OCMOR-11062、11162、LLC-164
- 製造年:1960-1970年
- 製造本数:12,450本
- バリエーション:黒の刻印リングまたは黒の刻印付きクローム
- レンズマウント:Visoflex II & III
- レンズ構成:3群4枚Tessar(Elmar)型
- 最小F値:f22
- 最短撮影距離:0.33m(1.08feet)
- 最小の被写体視野:30 x 45 mm
- 絞り羽根枚数:10枚
- 画角対角:36度
- フィルタータイプ:E41 - A56
- アクセサリー:OTZFOユニバーサルマウント 16464 + Visoflex II /III、OTZFO + OTRPO延長リング 16471 + Visoflex II /III、UXOOR /16556ベローズ II
- 材質:クロムメッキ真鍮
- 寸法:長さ×直径
- 重量:125g (4.41オンス)VisoFlex Elmar 65mm f3.5のシリアル番号と製造年と製造本数(Puts Pocket Pod.pdfからコンパイル)
- 製造年:SNスタート-SN終了:製造本数
- 1959年:1697001-1697750:750本
- 1960年:1720001-1721500:1500本
- 1960年:1748001 1749000:1000本
- 1960年:1823001 1824000: 1000本
- 1961年:1841001 1844000: 3000本
- 1964年:2015701 2016700: 1000本
- 1964年:2067001 2068500: 1500本
- 1965年:2121151 2122650: 1500本
- 1967年:2238001 2238200:200本
- 1968年:2287951 2288950:V1000本
- 合計:1959-1957年:12450本
参考文献:Camera Wiki
この後ブラックバージョンVに置き換えられた
注文番号- 11162 - 11062 . LLC - 164
生産時代- 1970-1984 < 4,300 レンズ
レンズマウント- Visoflex
レンズ/グループ数- 4 /3
バリエーション- ブラックまたはクローム
F値範囲- f/3.5 - f/22 [3] #3
絞り設定/タイプ- 10枚羽根/プリセット付き手動[4] #23
画角対角 - 36度
フィルタータイプ- シリーズ VI [3] #3 E 44
バリエーション- ブラック
レンズマウント- Visoflex II & III
F ストップ範囲- f/3.5 - f/22
最短撮影距離- 0.33 m /1.08 フィート
最小の被写体視野- 30 x 45 mm
絞り設定/タイプ- 10枚羽根
画角対角 - 36度
フィルタータイプ- E41 - A56
アクセサリー
OTZFOユニバーサルマウント 16464 + Visoflex II /III
範囲/倍率/最小 FoV: ∞ - 13"、1:2.4、5 x、3/4 x 1 1/8"
メートル法 / 倍率 / 最小 FoV: ∞ - 330 mm、1:2.4、5 x、19 x 29 mm
OTRPO延長リング 16471 + Visoflex II /III
範囲/倍率/最小 FoV: 13" - 10 5/8"、1:1.2、6.3 x、5/8 x 15/16"
メートル法 / 倍率 / 最小 FoV: 330 - 270 mm、1:1.2、6.3 x、16 x 27 mm
UXOOR /16556ベローズ II : ∞ - 1:1.4
14160シリーズVIフィルターアダプター[3]フォーラムディスカッション
材質- ブラッククロームメッキ真鍮
寸法(長さ×直径) - 55 x 56 mm / 2.2 x 2.2インチ[4]#23
重量- 195 g /6.88 オンス
碑文- LEITZ WETZLAR 2XXXXXX ELMAR 1:3.5/65
1:3.5 / 65 Elmar-V のシリアル番号
Puts Pocket Pod.pdf からコンパイルされたシリアル番号
SNスタート SN終了 製品 年 合計
2378901 2379900 1:3.5 / 65 エルマーV 1969 1000
2457501 2458500 1:3.5 / 65 エルマーV (11 162) 1970 1000
2617101 2618100 1:3.5 / 65 エルマーV (11 162) 1973 1000
2860801 2861300 1:3.5 / 65 エルマーV 1977 500
2952201 2952500 1:3.5 / 65 エルマーV 1978 300
3183201 3183700 1:3.5 / 65 エルマーV 1982 500
合計 割り当て済み シリアル番号 1968-1982 4,300
備考:Elmar 65mm f3.5のフードはないが替わりにContax G望遠用の純正メタルフードが装着できる。41-43mmと43-46mmのステップアップリングか、41-46mmステップアップリングを装着してフード。
前期のシルバー鏡胴と後期の黒鏡胴で写りが違う
前期のシルバー鏡胴の個体より後期の黒鏡胴の個体の方がマルチコーティングが施されていてよく写るようだが、筆者が所有しているシルバー鏡胴の個体はパープルのマルチコートが施されているように見えるし、写りもかなり現代的だ。個体差によるのか?
マクロレンズでF3.5は暗い?
マクロレンズでF3.5は暗いと思う方もいると思うのでその件について簡単に解説する。マクロレンズはマクロ域で最大限の性能が発揮されるように設計されている。f3.5を暗いと思う方もいると思うが、実際にマクロ域で撮影する場合ちょうどいい。f1.8など明るいマクロ域のマクロレンズもあるが、標準域以上の焦点距離のハーフマクロや等倍のマクロレンズでf1.8で寄ってもピント面が薄すぎて何が写っているかわからず結局少し絞る場合も多い。筆者はマクロレンズやマクロに強いレンズを複数本所有しているが、それぞれ味があって気に入っている。別に明るいマクロレンズが間違っている訳ではないしF2より明るいハイスピードレンズでマクロ域で撮影すると幻想的で大きなボケが表現できるのでそれはそれで気に入っている。本レンズはf3.5と無理のない設計の為、開放からシャープな描写を見せる。というかそもそも本レンズのレンズ構成は3群4枚のTessar(Elmar)型なのでそこまで明るさを求めたレンズ構成ではない。
Leica VisoFlex Elmar 65mm f3.5 Macro 作例Review
撮影機材のカメラはSony α7Ⅳ。jpeg撮って出し。ハーフマクロだがマクロ域撮影で背景はトロトロにボケる。キバナコスモス。
少し引いてみる。65mmという焦点距離と倍率は1/2のハーフマクロ、開放値f3.5というスペックでボケはこんな感じ。結構とろける。
フレア発生。蛇腹組み込みなので内面反射しにくい設計だが、アダプターを噛ませている為フレアーが発生する。この時はKIPONのアダプターを装着していたが、1ランク下の精度のPixco(バシュポ)のアダプターを装着した方がフレアーは発生しにくかった。現在はRayqual(レイクォール)のLM変換アダプターを装着して同じくRayqualのヘリコイド付きアダプターを装着している。
この安定感。発色もいい。ただ、戦後ライカは自国のドイツではなく戦勝国アメリカの統治下のカナダでレンズは生産されていた時期があり、このレンズもカナダライツだ。カメラレンズと戦争は隣り合わせ。悲しいかな、軍用はよく写るのだ。しかし、私はカメラとレンズは戦争に使わずアートで自分の感性を表現する為の相棒レンズとして使う。
モノクロもエグい。諧調が豊富なのでモノクロでも素晴らしい表現力だ。戦後、偵察用というだけではなくマクロ域でカメラマンの為に設計したレンズなので軍用レンズとはまた違った味がある。実はvisoエルマーはライカ最高峰の呼び声は未だに高い。
小さなあさがお。
川で泳ぐ錦鯉。
この臨場感、雰囲気に圧倒される。別次元。
こちらは明るめの雰囲気。一般ウケはこちらの方が高そうだが、筆者は個人的に上の怪しい雰囲気の作例の方が好み。
たかが花、されど花。花をマクロ域でどう表現するのか、永遠のテーマ。このような何の工夫もない撮り方はレンズの素性を探っているのと、色んな撮り方を試して模索しているからだ。
そしてこのような画に巡り合う。いかつい。エモいと呼べるか不明。グロエモい。
コスモス。たまには引きで撮って見る。寄った方がボケが大きくなるから面白いのだ。
もっと引いてみる。
そして寄る。寄ると別次元。フレアをうまく使った作例。咲き掛けのコスモスの横顔を捉えた。かわいいでしかない。
花びらを広げて太陽光をいっぱいに浴びておしべとめしべをむき出しにして子孫繁栄を願う1つの生命体。植物も動物と同じ生命だからむしり取ってはいけない。食べる目的以外の無駄な殺生はしてはいけない。
花は生きている。
やはり筆者はこういう雰囲気の写真が好きだ。グロエモい。
こちらは明るい雰囲気で玉ボケを配置してみた。
そして寄る。
さらに寄る。虫さんが見えた。
グロエモい。
もうすぐ咲く蕾。
遠くに見えるのは富士山。前ボケにコスモス。
クリエイティブルックを変えて撮影。
仲良くじゃれ合う鳩さん。平和を願う。
まとめ
Leica Visoflex Elmar 65mm f3.5で撮影した感想をまとめると、やはりマクロ域で被写体に寄ってこそ能力が最大限に活きるという当たり前のことと、筆者個人の感想として、少し暗めで撮影すると時として異様な妖気が漂う不思議な写真が撮れる。
諧調が豊富なのでモノクロが非常にハマる。派手さは少ないが、一通りオールドレンズを遊びつくした後の紳士淑女の大人の嗜みのような味わいがあるオールドレンズだと感じた。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。