Pentacon auto 50mm f1.8Multi Coating 前期型M42のReview作例 バブルボケ
バブルボケが出るクセ玉オールドレンズPentacon auto 50mm f1.8 Multi Coating(MC)前期型M42マウントのReview作例。本レンズは上野由日路さんもワークショップでおすすめしている。写りを見ればわかる。
1万円台で購入できるのは奇跡。製造本数が多かったので安価で入手可能。このレンズの系譜を辿ると先祖はMeyerのOreston。そりゃ素晴らしい写りをする訳だ。筆者はオレストンとペンタコンどちらも前期と後期を所有している。
筆者大好きメイヤーの標準レンズが1万円台で買えるという衝撃。バブルボケ云々というより魔貫光殺砲、地獄のディズニーランドみたいな写り。作例見て。
Pentacon(ペンタコン)について
Pentacon(ペンタコン)とはペンタリズムを持ったコンタックスの意味。Pentacon50mmF1.8は旧東ドイツのMeyer-Optic Gorlitzが製造販売していた4群6枚ダブルガウス型Oreston50mmF1.8がベース。
Pentacon50/1.8は1968年にMeyer社がペンタコン人民公社(VEB Pentacon)に吸収合併されたことからペンタコン社が自社のPentaconブランドとして販売したレンズだ。そして製造は吸収合併されたMeyer社が行っていた。
よって、初期のPentacon50/1.8はOreston50/1.8の銘板を入れ替えただけのモデルも存在する。MeyerはPentacon傘下としてPentacon、Prakticar、Pentaflexなど廉価版の位置付けの製造を担当した。
ORESTONからPENTACONに名前を変更して数年後にマルチコート化され販売も継続された。本記事で取り上げるのはマルチコート化された直後の希少な前期モデル。ペンタコン50/1.8MCは玉数が多く中古市場価格も安い割にオールドレンズテイスト感満載の描写なのでオールドレンズ初心者から上級者まで幅広く愛されているモンスターレンズ。
筆者はOrestonの後期を最初に購入し、次に本レンズ、次にOrestonの前期も購入した。また、MC(マルチコーティング)化された後期モデルも購入するつもりだ。同じレンズをモデルごとに複数本所有する行為は沼の末期症状だ…。ではスペックから紹介する。
Pentacon auto 50mm f1.8MCのスペック
- 製造開始年:1969年~
- Mount:M42マウント
- レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- 絞り羽根枚数:6枚
- 絞り値:開放f1.8~最小f16
- コーティング:マルチコーティング
- 最短撮影距離:0.33m
- フィルター径:49mm
- 重量:実測値193g
購入の動機
筆者は後期型ノンコートのOreston 50mm f1.8を所有しているがMCの写りも味わいたいのでMeyerがPentaconに吸収合併された直後のPentacon50mmf1.8MCの購入に至った。そしてOrestonの前期は後期型と光学設計が多少異なるのでこちらも購入して届くのを待っている。
また、モノコーティングの前期とマルチコーティングの後期(後期の前期と後期の後期)の違いはM42MountSpiralで詳しく解説されている。続いて外観レビュー。
Pentacon auto 50mm f1.8 Multi Coating前期型(MC)の外観レビュー
撮影機材カメラはSonyのフルサイズミラーレスα7C、撮影機材レンズはMeyer-Optik GorlitzのOreston 50mm f1.8、そう、被写体レンズの前身。被写体カメラはSony α7Ⅳ、被写体レンズはもちろんOreston50/1.8。アダプターはK&F ConceptのM42-ライカLM変換してから焦点工房のヘリコイド付きマクロアダプター(8mm)を装着してボディに装着している。
収まりはいい。マルチコーティングされた前期型の数値の赤色がカメラに馴染んで似合ってる。
やっぱりA7Ⅳは7cに比べるとでかい。小さいんだけどね、でかい。
コストパフォーマンスが高いって経費(コスト)がかかっている割にパフォーマンスいい(高い)よねっていう意味。なぜか「コスパ」=「値段」という謎の認識してる人がかなり多くて翻訳(直訳)すればいいのにと思う。コスパが安いって意味不明。コスパが高いの対義語はコスパが低い。コスパいいの対義語はコスパ悪い。しっかり日本人。
ペンタコンは後にCarl Zeiss傘下となる。Carl Zeissは数えきれない位多数の企業を飲み込んで巨大化していった複合体企業。私も最近の人間だし知らないことも多いが、これ意外と知らない人多い。私は田舎染みた写りのCarl Zeiss Jenaは好きだが現代の写り過ぎるCarl Zeissはそれ程興味がない。製造しているのも日本のコシナだし。それならMFでオールドレンズテイストを盛り込んだ現行レンズを製造しているコシナフォクトレンダーの方が自分の思想に合っている。批判ではなく自分のスタイル、思想の話。
開放で遊んだだけ。
開放で遊んだだけ。
続いて作例。
Pentacon auto 50mm f1.8 Multi Coating前期型(MC)の作例
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ、クリエイティブスタイルはNT、レンズのjpeg撮って出し。
逆光。紫ゴーストとメイヤー特有のおばみたいな不思議な玉ボケ出現。この時点でメイヤー色爆発。これこれ。魔貫光殺砲、地獄のディズニーランド。
エモい。最近ジャスピンを少し外して全体的に尖らないように撮るのが好き。ピントの奥側で撮ると滲む。ピントの手前と奥で写りが違う。これはゾナーっぽい。
写りのレビューというか好き勝手に撮ってるだけ。魔貫光殺砲地獄のディズニーランド。
玉ボケの輪郭も美しい。元祖シャボン玉バブルボケが得意なMeyer-Optik Goprlitz製なので当然。これもゾナーっぽい。
当然だが逆光時はコントラストが低下する。これは魔貫光殺砲地獄のディズニーランド()。
距離や背景によりバブルボケの美しさが変わる。このように輪郭が崩壊しかけた絵画的玉ボケも表現の1つ。これはバブルボケ崩れ。
こちらは後ろのボケを大きく飛ばしたというかとろけさせたパターンの作例。
こちらはバブルボケの輪郭をくっきり表現させた作例。
後ボケとの距離がかなり離れると玉ボケは小さくなるがきちんと出現している。MCといえども逆光には弱く画面全体にフレアーが出現してコントラストが低下している。
メイヤーっぽいおどろおどろしいボケが好き。
平凡でおとなしい作例。おもろない。
後ボケがグルグルしている。
公園内の建物の屋根の一角のハイライトがえらく滲んでいたので撮影。ハイライトが飛んで滲んだ。
ベンチの陰になる部分の土に霜柱が残っていた。霜柱サクサク踏んで小学校に通った昭和。偶然にも右下に落ちる直前の落ち葉が映り込んだ。
NTでjpeg撮って出しだが発色はいい。
普通に撮ればピント面はシャープ。
情緒。美しく咲いた花より枯れた花や咲きかけた花に目がいく。咲き掛けは希望、枯れゆく様は儚さ。しかし後ボケの色彩は鮮やかな為そのギャップを味わえる。
咲いているツバキも見かた(撮り方)次第で情緒が出る。後ボケも儚い。人の後ろ姿もいい。
PENTACON auto 50mm f1.8 Multi Coatingの写りの特徴まとめ
PENTACON auto 50mm f1.8 Multi Coatingの写りの特徴をまとめる。あくまで筆者の主観。
- シャボン玉バブルボケが美しい
- 周辺の玉ボケはレモン型になるが輪郭はきれい
- ピント面に立体感がある
- ハイライトが滲む
- ピント面を少し外れると滲みやすい
- 距離によって少しグルグルボケの兆候あり
- MCの恩恵かOrestonより少し発色はいい
- Meyer色満載
- 魔貫光殺砲、地獄のディズニーランド()
まとめ
Pentacon50mm/f1.8MCはオールドレンズらしい収差が残っていて価格も1万円程度で個体数も多く入手しやすいので初心者にも上中級者にもおすすめの標準域オールドレンズだ。価格が高いからよく写るとか価格が安いから写りが悪いという理論はない。
そのレンズの写りに魅力を感じるかどうか。高価なレンズを所有して満たされるのは所有欲であり写りとは無関係。とはいっても個体数が少なく独特な写りをするレンズや歴史的銘レンズが高価な場合、いつか手に入れたいと思うことはある。
しかし、あまりに高価なレンズだと持ち出しにくい心理が働くことはごく自然な感情なので、普及価格帯で面白い写りをするオールドレンズを複数本所有していると手軽に古き良き写りを楽しめる。
また、歴史的背景を知るとそのレンズに愛着が湧くので歴史的背景を学ぶのもレンズを調べるのと同じくらい楽しい。調べるのにお金はかからない。最後少し話は逸れたが今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。