Helios44 58mm f2 13Blades Review作例 最初期ヘリオス絞り羽根13枚 M42オールドレンズ
Helios44 58mm f2 13Blades Review作例 最初期ヘリオス絞り羽根13枚 M42オールドレンズ。最初期プロトタイプのヘリオス絞り羽根13枚。これでヘリオスは3本目。Helios-44-2ではなく44。コーティングが特殊で見たことのない鮮やかなコバルトブルーだ。
Helios-44 58mm f2 絞り羽根13枚の購入経緯
探しに探した。Ebayには割と玉数はあるが、価格は$250~$300と通常のヘリオスに比べて数倍の値段だ。コーティングも違うしくたびれ感のあるシルバー鏡胴がかっこいい。しかし、されどヘリオスに日本円で4万円は出せない。
国内オークションでも13枚羽根に注目している人は少ない。じゃあどうする?13枚羽根で検索するのはやめて、シルバー鏡胴を目で追う作戦に変更。作戦Eye実行。日本のカメラ通販サイトをネットサーフィンしていたところ、シルバー鏡胴のヘリオス発見。
値段は?通常ヘリオス44-2より少し高いくらいだ。ソッコー店に電話して絞り羽根の枚数を確認してもらった。「13枚かわからないけど10枚以上ありそうですね。」との回答。即買い。鏡胴はスレが多くガタもあり激戦の跡が見られるが、いいんだ。
Helios-44 58mm f2はPlanarの先祖ZeissのBiotarコピー
ヘリオスはビオターのコピー。プラナーのご先祖様はビオター。Biotar→Pancolar→Planarの順に進化してきた。厳密には1896年にルドルフが対象型プラナーf4.5を開発しているが当時評判はいまいちでプラナーは1回消えて、1920年にTaylor-Hobson(テイラー・ホブソン)社のレンズ設計士、H.Wリーが対象型を崩したOpicを設計するまで注目されなかった。
その後、リーがオピックを改良してハリウッドご用達の伝説のシネレンズ、Speed Panchro(スピードパンクロ)が誕生した。これに続いてシュナイダーのトロニエがXenon、ZeissのメルテがBiotarなど各メーカーがダブルガウスの可能性を追随した。
ちなみにスピードパンクロのコピーレンズもロシアが製造している。
Helios-44 58mm f2 絞り羽根13枚のレンズ外観レビュー
シアン系の濃いブルーのコーティングの中にマゼンタ系ピンクの指し色のコーティングが美しい。深い海の中を泳ぐ人魚の瞳のようだ。これはコーティング眺めながら酒が呑めるやーつだな。よく写るぜこれ。
コバルトブルー?のコーティングがマジで美しい。この色のコーティング見たことない。
前玉に気泡あり。おそらく、この時代のガラス製造工程で入ってしまうパターンのやつ。筆者が所有しているJupiter-9 85/2も同じく。でも写りに支障ないし気にしてないしむしろ絶好調。
標準レンズということもあり絞る機会は少ないが、絞り羽根13枚円形絞りは贅沢。
レンズ外観が百戦錬磨を物語る。
最短撮影距離0.5mなのでヘリコイド付きマクロアダプター装着すると25cm位まで寄れるのでちょっとしたマクロレンズ並みの機動力。
Helios-44 58mm f2 絞り羽根13枚の作例レビュー
セミの抜け殻にピントを合わせて撮影。これぞヘリオスというグルグルボケ発生。いいね、ダブルガウス。ヘリオスはZeiss Jenaのビオターコピー。中央部以外捨ててる潔さがいい。
工夫なしに撮影してもすぐグルグルする。被写体とボケの乖離が激しい。異様な立体感。昔からレンズの設計は何を捨てるかとの戦いだった。標準レンズのF2は当時大口径。今でいうf1.2のようなもの。Biotar F2はTessar F2.8の上位版だった。
寄る。寄っても中央部のシャープネスはさすが。
ヘリオスはグルグルボケと虹ゴーストのイメージが先行してクセ玉という認識が広まっているが、こうして改めて見るとガウスならではの繊細で線の細い柔らかい描写がエモい。
ヘリオスはうまく作品作りに使えると格安で活躍してくれる貴重なオールドレンズだ。
F2の割に被写界深度浅いと思う。
マクロ端。
まとめ
コーティングの恩恵か、発色よく、抜けもよく、思ったよりよく写ってちょっと拍子抜けした。通常よく見る黒鏡胴ヘリオス44-2 58/2の方が淡い発色で滲みも強い気がした。今回は数分の試写だったが、またゆっくり持ち出したい。今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。