Jupiter-3 50mm f1.5 Review作例 おすすめロシア製のゾナーコピーオールドレンズはよく写る
Jupiter-3 50mm f1.5 Review作例 おすすめロシア製のゾナーコピーオールドレンズはよく写る。この日は同じくロシアンレンズの最初期Helios44 58mm f2 13枚ブレードと撮り比べをしたので良ければそちらもどうぞ。
Jupiter-3 50mm f1.5のレンズ構成図
Carl Zeiss JenaのSonnar 50mm f1.5の光学コピー。なぜコピー?というと、要するに第二次世界大戦の戦利品としてCarl Zeissを西側ドイツは連合軍のアメリカが接収し、東側ドイツは旧ソ連が接収したので、技術者や資料やテクノロジー、機器、工場など全て戦勝国に寄与することになったから。日本が無許可でライカをコピーしたようにやった訳ではない。
Jupiter-3 50mm f1.5はZeissのSonnarコピーの噂は本当か
ちなみに、Jupiter-3の初代はZ.K 5cm f1.5だが、「Z.K」は「Sonnar Krasnogorsk」の意味だ。ほら。これはJupiter-8 5cm f2のレンズ構成図だが、50/1.5も85/2のJupiterも同様。
さらに「実質的に全てのZ.KレンズはZeiss製」と記載してある。「SonnarコピーではなくZeiss製のゾナー」だと。身が震えたよ。確かに製造開始から5年間はZeissの技術者を多数ロシアに派遣させていたし、イエナガラスも使用して尽きるまで使用していたらしいので、わかってはいたが、本人にそう言われちゃうとね。スピードパンクロコピーの話しもKMZのHPに「そうだよ」と記載してあるもんな。
これだよ。ロシアンレンズがなぜよく写るか。中身はほぼJena。正直Zeissのレンズよりロシアンレンズの方が軽くて小さくて安いのでド定番のゾナーコピーJupiterとビオターコピーHeliosの選択は相当にアリ。中身を知ってると尚更。
Jupiter-3 50mm f1.5のスペック
- 製造:ZOMZ(ザゴルスキ光学機械工場)
- レンズ構成:3群7枚Sonnar型
- 最小絞り値:f22
- 絞り羽根枚数:13枚
- 最短撮影距離:1m
- フィルター径:40.5mm
- マウント:L39(LTM)
- 重量:141g(実測値)
Jupiter-3 50mm f1.5の製造年表
- 1947-50年:Carl Zeiss JenaのSonnarをコピーしてイエナガラスを使用してJupiter-3の前身 ZK 50mm F1.5 をZORKI用とKIEV用にKMZで製造。
- 1950年:レンズ名をJupiter-3に改称してKMZが製造を継続。
- 1953年: Zeissから接収したJupiter-3用の硝材が枯渇し、1954年にかけてロシアで光学を再設計。
- 1955年:シリアルナンバーをリセット。また新たな光学に変更したと推測される。
- 1956-75年:KMZからZOMZへと製造を引き継ぐ。
- 1975-88年:ZOMZからVALDAIへと製造を引き継ぐ。
Jupiter-3 50mm f1.5のレンズ外観
コーティングを見た感じマルチコートかな。パープル土台のアンバー入ってる感じのコーティング色。製造された時期や工場にもよるし要はモデルによる。で、噂通りさすがゾナーコピーいい写りするぜ。さすがベルテレ。
前玉の拭き傷かクモリ跡?が中々いい仕事する。あのですね、クモリ、キズ、カビは光の乱反射を生んでいい味でるんですよ。ダメージも含めてオールドレンズですたい。(力士?)…でごわす。
後玉にでっかいゴミがあるとです(ヒロシ?)でも写りに影響なかとです。(サトシ?)
何がすごいって、50mmのf1.5でこのコンパクトさ。142gよ。
最短撮影距離がなぁ…。まぁそれならビオターコピーのヘリオス買えばいい。撮り比べしたよ。まぁ、ヘリコイド付きマクロアダプター装着すれば0.5m位までは寄れるし。
Jupiter-3 50mm f1.5の作例
開放で青空。宇宙一優しい水色がたまんねぇ。雲が柔らかそう。Sonnarは本当にすっきり抜けがよくて素直な写り。ガウスがケンカが強いヤンチャ小僧なら、ゾナーはガキの頃遊びつくしてダンディに生きる紳士(でも夜は強い)。
絞る。どのレンズも絞ると色が濃くなる。コントラストが高くなるってやつかな。レンズの素性を探る為もちろんjpeg撮って出し。
ピント面キレッキレ。名刀正宗って感じ。発色もいい。
玉ボケが出やすい。ボケが素直。形、残像を残したまま自然に被写体を際立たせる。ガウスやエルノスターなどの派手さはないが、ゾナーは玄人ウケしそうなレンズ。
マクロ端。ハイライトの滲み、浅い被写界深度、妖艶な玉ボケ。花ってセクシーだなぁ。ゾナーもセクシー、大人の色気。
縦構図。美しい。言い過ぎるとマクロスイターっぽい。いや、でもいいセンいってるよね、このレンズ。
逆光ハイライトの中でここまで高い表現力は見事。Zeissはハイライトが粘る、の再現。ロシアンレンズ恐るべし。レタッチしてないのでわかりにくいが大きな半円の虹ゴーストも出現。
この日は同時に届いたガウス型13枚ブレードの最初期ヘリオスと撮り比べをした。動画も撮った。アップしろよな自分。
グルグルしない後ボケの収差の抑え込みが見事。是非ガウス型のヘリオスと比べてみて。
若い新芽が好き。かわいい。
試写した感想レビュー
立体感はガウスの方がある。ゾナーは平面的で遠近感は度外視して、被写体と後ボケは別次元みたいな。うまく言葉にできないのがもどかしいが、ガウスが真ん中以外捨てているのに対し、ゾナーは後ボケも前に持ってきて平面化している感じ。本来ガウスの祖プラナーの意味は「平坦な」って意味なんだけどね。逆っていう。
50mmF1.5というスペックでここまで小型軽量で優しく柔らかい高描写で使いやすいオールドレンズは他にあるだろうか。ロシアンレンズ侮るなかれ。Jupiter8 50mm f2もいいぞ。牧歌的で淡いベールに包まれたような淡い発色の写りが見ていて心地よい。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。