PO4-1 35mm f2 review作例 おすすめ神シネオールドレンズ ロシアKMZの銘玉 ライカL39マウント改造
PO4-1 35mm f2 review作例 おすすめ神シネオールドレンズ ロシアKMZの銘玉 NOCTOでライカL39マウントへ改造。
PO4-1 35mm f2とは
PO4-1 35mm f2は35mmシネマフォーマット、35mmフィルムのハーフサイズで使用することを前提に設計されている為、イメージセンサーがAPS-Cのデジタルカメラで使用すると本来の画角と本来の性能が発揮できる。ただしAPS-C機で撮影すると焦点距離はハーフサイズにクロップされるので標準レンズ相当の画角になる。
PO4はイメージサークルに余裕があるのでフルサイズ機で撮影しても僅かにケラれる程度で作風にも活かせるレベルなので焦点距離35mmのまま準広角レンズとして使用する事も可能。
PO4をフルサイズ機で使用すると本来写真に写らないイメージサークルの外側、余白部分が映し出されるので、画面四隅で収差や光量落ちが目立つようになる。この影響からか立体感に富んだ描写を逆に武器にしてポートレートや作品作りに本レンズを使用している若手カメラマンも存在する。
PO4-1Mは1945年にレニングラードのKINOOPTIKAファクトリーが発売した。3本のレンズをターレット式にマウントできるシネマカメラKS-50BにPO2-2MやPO3-3Mと共に装着して使用されていた。
レンズを単体でマウントするロシア版Aimo(アイモ)AKS-1やエアクラフト用のミリタリーカメラAKS-2に搭載された状態で市場に流通していることもある。1947年レニングラードの生産設備がモスクワのKMZ(クラスノゴルスク機械工場)に移設されてから1948年以降レンズの生産はKMZが行った。
KMZが初期に製造したレンズは鏡胴は真鍮製で薄いブルーのコーティングが施された個体とノンコートが存在する。
1951年~2代目モデルにはアンバー色のPコーティングが施された。1950年代には少数だがLENKINAPファクトリーが製造したノンコートモデルが存在する。アンバー系の他にもブルー系など複数のPコーティングが存在して発色にも違いが出るようだ。
レンズ構成は4群6枚の対称ダブルガウス型。シネレンズは撮影時にレンズを交換してすぐに撮影できるように、広角~標準~中望遠まで口径比が統一されている。これは、フィルムのロールスピードを一定に保つ為であり、レンズを交換してすぐに撮影できるようにする為でもある。
PO4の兄弟レンズPO2-2M 75mm f2とPO3-3M 50mm f2は1952年~ロシア版Arriflex(アリフレックス)KONVASにも供給された。しかしPO4はKONVAS用に供給されず、その代わりにレンズ枚数を1枚増やし開放からシャープな描写をするPO56 35mm f2が供給された。
1960年代に入ってもPO4の製造は続けられ、1971年にはPO4を改良した後継モデルHelios33 35mm f2が登場した。PO4よりHelios33の方がシャープでよく写る描写で、PO4は柔らかく優しい描写。
PO4-1 35mm f2 レンズ外観Review
PO4-1 35mm f2 オールドレンズの作例Review
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ、レンズの素性を探る為、基本jpeg撮って出し。ハーフサイズ用に設計されたシネレンズだが、APS-Cにクロップせずにフルサイズ換算35mmのまま撮影したので本来写らない周辺部に収差が現れて周辺の結像が甘かったりケラれたりする。もしろそれが高解像度と反してアクセントとなり味わいのある描写が楽しめた。
印影の捉え方がエモい。やはり周辺部は像が流れたり結像が甘く若干ケラれるがケラれは作風に活かせるレベルなので自分は問題ないと感じた。
ウェールズポピー。PO2-1M 75mm f2で初試写した時もその写りのハイレベルさに驚愕だったがPO4-1 35mmの方がある意味驚愕。広角でこのボケ感は凄まじい。
身震いする程の圧倒的描写。寒気がする。ガウスの極みというか。グルグルボケも発生している。
どこにでもある何の変哲もない道路の標識までもがエモい。
きっとこの世のほとんどのものが素敵で特別でその瞬間は唯一無二の宝物なんだろうな。それに気付けるか気付けないかの違い。そんな一瞬を切り取って残していきたい。
ようやく咲いた藤の花。日本の四季は美しい。同じ場所風景でも日々刻々と移り変わっていく。
風情や情緒を感じ取れる日本人古来の感性を大切に育んで伝えていきたい。
全てが特別で。
皆同じ人間で生活があって。
一見悩みがなさそうな人でも誰にも打ち明けられない闇があったり。
小さな幸せに気付いて小さな幸せを噛みしめていきたい。
絞ってF8。
そもそも情報が少ないレンズだが他の方レビューでグルグルボケは発生しないとどこかで見たが、見ての通り弱いグルグルボケは発生する。
モノクロも秀逸。透明感が凄まじい。ハイライトの向こう側に吸い込まれそうだ。写らない色が写るというか。
なるほどスピードパンクロコピーとはよく言ったものだ。レンズ構成は真似したとKMZは断言している。
曇り空の早朝の雰囲気、湿度や温度、静けさ、遠くから近づいてくる車のエンジン音までも感じ取れる気がする。とてつもない描写。スピードパンクロコピーは頷ける。
淡いフレアーが心地よい。次回は晴天下でも試したい。
やはりグルグルする。ロシアのガウスだし。
地味にお気に入りの一枚。「これスピードパンクロで撮影したんだよね。」と言われたら信じるもん自分。「さすがの描写力。」と唸っちゃう。
アリの巣。春になり暖かくなると蟻さんたちが一斉に活発に動き出す。
ダメになりそうだ。このレンズに堕ちていく。恋したかも。
今まで足りなかったものや過剰すぎたものが全てベストバランスで表現される。理想に近い35mmだ。(あぁ球面ズミが欲しい)(どないやねん)
空を舞う木。造園師の腕前イカツい。
ヘリコイド付きマクロアダプターを装着してレンズ本来の性能を超えて寄る。ピント面はキレキレシャープネス保ちボケも誇張し過ぎず自然。
人はこれをクセ玉と呼ぶか。私はクセ玉が標準と思っているかもしれない。クセなしだと高性能スマホの延長というか。
ヘリコイドの繰り出し量が少なく3分の1回転で最短撮影距離から無限遠まで到達してしまうのでピント調節はシビア。
咲き掛けの桜と葉桜が結構好き。満開前後の人が群れる感じが苦手。葉桜を独り占めした。鳥さんもいた。
春でも紅葉するんだ。
木の根がセクシーだ。
ふと映画のワンシーンみたいだと思うことがあり「そうかシネレンズだ」と思い出す。
巨大なスクリーンに映し出しても破綻しない解像力と長時間見ていても疲れない色彩やボケ感。シネレンズいい。
ロシア製は本当に侮れない。
同じ構図で開放と絞りを比較しよう。これは開放。この絶妙な緩さが最高。
絞りF8とか。
開放の緩さが芸術的なんだよな。これは好みの問題だと思う。
このあちこちに咲いているかわいい小さな白い花はドウダンツツジというらしい。
PO4-1 35mm f2で実写して感じた写りの特徴
- 開放で画面全体に淡いフレアー
- 開放で四隅ケラれ
- 中央部は高解像度
- ヘリコイド付きマクロアダプターを装着して最短距離撮影してもピント面キレキレシャープ
- F2というやや控えめな明るさでフルサイズ撮影で35mmという準広角の焦点距離だが圧倒的ボケ感
- ガウスの優しい繊細な旨味がたっぷり果汁100%
- 泣ける
- 何か宿ってる
- グルグルボケ発生
- 玉ボケの輪郭は割と美しい
- 周辺像は流れて結像も甘い
- 全体的にグレーっぽく濁る描写がイエナっぽい
- 色彩は優しく控えめでちょうどいい発色
- 主張し過ぎないがしっかりと主張した描写
- 高次元でベストバランス
- 好みの問題かもしれないが大好き
まとめ
筆者の勝手な妄想だが本レンズの写りは全体的にグレーっぽい濁りがCarl Zeiss JenaやMeyer Optik Gorlitzなどの写りに近いと感じた。イエナやメイヤーはドレスデンの工場で特殊な溶剤を使用したガラスを使用していたらしく、同じくドレスデンの溶接技術を使用したドレスデン製のガラスを使用しているのかもしれない。
ロシアのシネレンズPO(RO)の3兄弟のうち2つ入手したが俄然残る1本も欲しくなった。ちなみにPO4の後継としてコーティングがしっかり施されたHelios33が存在する。コーティングの影響かヘリオスの方がしっかりとした描写でPO4の方が柔らかい描写だ。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。