PO3-3M 50mm f2 L改 Review作例 KMZロシア製の銘玉シネレンズ おすすめ神オールドレンズ
PO3-3M 50mm f2 L改 Review作例 KMZロシア製の銘玉シネレンズ おすすめ神オールドレンズ。本レンズはスピードパンクロのコピーだが、同じくパンクロコピーのPO2-2M 75mm f2とPO4-1 35mm f2に続きPO3もようやく入手できた。
KMZ PO3-3M 50mm f2とは何ですか
PO-3 3M 50mm f2はハリウッド映画御用達シネレンズ、スピードパンクロのコピーだ。1896年、Carl ZeissのP.ルドルフ博士が開発した元祖対象型ダブルガウス(Planar)は一時流行したが性能が悪く、真似する他社は皆無でしばらく忘れ去られていた。
1920年に、英国のTayror Hobson(テーラーホブソン)社のH.W.Leeがガウスの対称性を崩して収差を抑え、復活させたレンズがOpic。このレンズ構成を真似して、1925年にシュナイダークロイツナッハのトロニエ博士がXenonを設計、1927年にZeissのメルテがBiotarを設計した。
シネマ用の開発を依頼されて開発したのが1931年に登場したSpeed Panchro(スピードパンクロ)で、本レンズはそのコピー。当時ハリウッド映画のほとんどがテーラーホブソン社のスピードパンクロを使っていて、今もなお愛用する映画監督もいる。
また、1933年にはLeitz社のMax Berek教授がダブルガウス型を採用したSummarを設計している。
PO3-3M 50mm f2 L改 スペック
- 焦点距離:50.7mm
- 画角:33°
- 作動距離:57 mm
- 前焦点距離:14.92mm
- バック焦点距離:32,83 mm
- 光透過率:0.81
- 中心の解像力:-45ln/mm、フィールドの端での解像力-25 ln/mm
- 第一面有効口径:25mm
- 最終面の光径:24mm
- 最短撮影距離:0.93m(ヘリコイド付きマクロアダプター装着時 0.38m)
- 直径:56mm
- 重量:改造後実測値 175g
PO3-3M 50mm f2 L改 オールドレンズ外観Review
インダスターの鏡胴がかわいい。アダプター経由してボディに装着すると指標はかなりズレる。素人の趣味改造かな?
キリル文字でアルファベットのPはRと書くのでRO3と表記されているが実際はPO3。(ややこしい)
2本目のAuto mamiya/sekor 50mm f2で撮影したが、シャドウがすぐ潰れるのでシャドウをかなり持ち上げる必要があった。
最小絞り値f22。「最小」ね。羽根を絞ると小さくなるでしょ?数字は大きいが絞り羽根は小さい。最小絞り値。野球のピッチャーの防御率と一緒。防御率0.90のA投手は1試合平均1点以下に抑えている。防御率6.40のB投手は1試合平均6点以上失点しているので、防御率0.90のA投手の方が防御率が高い。いる?この説明。でも実際に堂々と間違えてるYouTuberとかいて見てて恥ずくなって筆者が赤面する(しない)。
最短撮影距離1m、実質0.93m位。焦点工房のヘリコイド付きマクロアダプターを装着して0.38mまで寄れた。
ホコリと糸くずの入り込みは多少気になるが、ガラスはクリアで抜けていて状態はいい方だと思う。
改造レンズですよ感がプンプンする。
せめて最短撮影距離0.7mだと助かるのだが。
PO3-3M 50mm f2 L改 作例Review
最短撮影距離を実測値で確認、0.93m。無限遠はピッタリ。
ヘリコイド付きマクロアダプターを装着して0.38m。やはりちょっと物足りないが仕方ない。
ピント合わせずパシャリ。何やら圧倒的な雰囲気と描写の重厚感がえげつない。
あぁ、ダメだ大好きだ。
開放は優しくピント面うっすら滲み周辺部は緩い。色彩も淡めで若干アンバー調でフレンチレンズのような雰囲気。そうかパンクロはイギリス製か。ダルメイヤーやロスなどのイギリス製もそっち系の雰囲気あるもんな。
開放逆光テスト。ゴーストは控えめだがコントラストは低下。コーティングはマルチで紫とオレンジ色が強く見える。
絞るとかなり変化する。
木枯らし。日常。
絞る。少しアングル下になり地面が前ボケになり絞ってもグルグルボケが発生しそうだ。
木枯らしとか言いつつ実は春の訪れ。メルヘンかよ。
最短撮影距離で遊びますか。最短38cmだが構図やボケを取り入れられるので寄り過ぎなくてもいいのかなと少し思った。茎の質感や湿り具合とか表現力がマジ半端ない。
オールドレンズのレンズ構成オタクとして不思議なことは、どうしてもどうしても6枚ガウスに回帰する。日の当たり方とか茎の枯れ具合とか、植物の静止画でイケそうだ。
ハイライト滲むのよ。
被写体を引き寄せるレンズ。私の場合ね、石(鉱物)は相性があるから。周波数とか波動とか。
本来のレンズ性能を超えたマクロ域で、シルクのような艶と透明感を表現できる懐の深さに惚れる。ハイライトは諧調豊富だがシャドウはあまり描かれない。多分そういうモダンな写りの狙い。
クソヤベー(語彙力)。クセ玉見過ぎてというか、Meyer初のダブルガウスDomironなどの超クセ玉と比較すると遥かに素直でクセが少ない正統派。ちょっと誇張気味だがパンクロの30年後に発売されるSummicronの2ndと同等レベル。
強風でピント面ズレたが最強に気に入った1枚。やはり時代柄モノクロにした時の諧調や表現力は群を抜いている。とうかパンクロコピーであってPO3だからね、もうパンクロだと思い込んで使ってるから。
このレンズ異常だよ、言葉で説明するのは難しいが、カメラのモニター覗いてすぐ思った。「モノが違う」と。
開放でも中央部は高描写でよく描いている。ボケ方も自然。これは正統派シネレンズだ。シャドウが潰れやすいのは少し気になるが、狙っているのだろう。シネクセノンも同様だった。
たまらんて。「f2」もたまらん。50mmはf2が最強かもしれん。マニアックに刺さる。やはりコントラストはやや高い。
バイバイ。
PO3-3M 50mm f2 L改 実写した感想写りの特徴Review
- モノが違う圧倒的描写力
- 中央部の解像力と描き方は秀逸
- ピント面とハイライトが滲む
- 離れても寄っても正統派
- 色彩(彩度)は淡めで若干アンバー調でフレンチレンズのような雰囲気
- 当時にしては逆光耐性は強いがシャワーゴースト発生しコントラストは低下する
- 開放で遠景撮影時はかなりケラれる
- ハイライトの諧調は豊富だがシャドウは潰れやすいというかシネレンズ特有の狙った描写だろう
まとめ
筆者の場合、ロシア製のコピーレンズはコピーと思っていない。むしろ本家を超えた感を感じることすらある。ZeissのBiotarコピーHelios44も1960~70年代でオリジナルを超えたと言われている。
KMZ(デッドコピーが得意な工場)のPO3が本家Tayrorのスピードパンクロを超えたかどうかは別にして、ハリウッド映画監督ご用達、生きる伝説シネレンズの気分を気軽に味わえるオールドレンズであることは間違いないだろう。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。