Primoplan 58mm F1.9V Review作例 エモさ爆発Meyer-Optikの銘玉クセ玉神オールドレンズ
Primoplan 58mm F1.9V Review作例 エモさ爆発Meyer-Optikの銘玉クセ玉神オールドレンズ。本レンズは筆者が保有するオールドレンズの中でお気に入り5本の指に入る。後日M42マウントの同レンズも入手した。
Meyer Optik Primoplan 58mm F1.9Vの写りの特徴
Meyer Optik Gorlitz Primoplan 58mm F1.9Vの写りの特徴は、発色は地味で淡く低コントラストでシネレンズのように落ち着いた描写。アンバー調でアンジェニューなどフレンチレンズの様なエモさもある。滲み、バブルやグルグルボケ、虹ゴースト、シャワーゴースト、フレアーなどオールドレンズらしい収差が満載で、高級路線だった頃のMeyerのアーティスティックな思想が感じられる。
Meyer Optik Gorlitz Primoplan 58mm F1.9Vとは
Primoplan58mmF1.9は戦前1937年から1950年代後期まで生産された標準レンズでドイツのMeyer Optik Gorlitzが製造していた。戦前モデルはノンコートで、戦後モデルは単層コーティングが施され、銘板に赤い文字で「V」の文字が刻まれている。筆者がPrimoplan58mmF1.9に興味を持った理由は、このレンズのレンズ構成がErnostar(エルノスター型)の発展型だからだ。「いやこれはエルノスター型ではなくプリモプラン型だ」と主張する専門家も多い。
エルノスター(Ernostar)は1923年、エルネマンの光学技師Ludwig Jakob Bertele(ルートヴィッヒ・ベルテレ)が、A.クルーグハルト(A.Klughardt)と共に開発したレンズ。エルノスターの名前の由来は「エルネマンの星(Ernemann star = Erno star)」の意味。ベルテレが設計した銘玉Sonnar(ゾナー)の設計ベースはこのエルノスター型である。そしてゾナーはバックフォーカスの問題により一眼レフカメラに適合できずほぼ絶滅したが、Primoplanのレンズ構成であるエルノスター型は標準画角のまま現在の一眼レフカメラにも適合している。このようにエルノスター型レンズは歴史が長く由緒あるレンズ構成であると言える。
また、Ernemann(エルネマン)社はZeiss Ikon(ツァイスイコン)設立時にCarl Zeissに吸収合併されたが、別会社となったプロジェクター部門は「Ernemann CineTec GmbH」として現在も存在する。また、クラウドファンディングにより復刻版レンズも存在する。
Meyer Optikは戦前と戦後で写りが違う
これはメイヤーに限らない。ドイツは第二次世界大戦で連合国軍に負けて西と東に分割統治された。多額の賠償金も課せられた。それにより戦後は硝子や材料の調達に苦しんだ。芸術性の高い値段が高価なものより業務効率化と安価で大量生産を求められた。よって、敗戦国側は戦前のレンズより戦後のレンズの品質が落ちるのだ。しかし、戦前のHugo Meyerのレンズはそもそも生産本数が少なく中古相場も高めなので入手は少し困難である。
Meyer Optik Primoplan 58mm F1.9V オールドレンズのスペック
- 発売会社:Meyer Optik Gorlitz
- 焦点距離:58mm
- 光学レンズ構成:4群5枚エルノスター型
- 最短撮影距離:前期型45cm、後期型60cm
- 絞り羽根:14枚
- 絞り値:最大開放F1.9~最小F22
- 最短撮影距離:前期0.7m、前期Ⅰ&Ⅱ0.75m、後期Ⅰ0.65m、後期Ⅱ0.75m、後期Ⅲ0.6m
- フィルター径:前期40.5mm、後期49mm
- マウント:EXAKTA,M42
- 重量:前期型ⅡorⅢは122g(実測値)
- 中古相場:5~10万円
Primoplan 58mm F1.9Vのレンズ構成
エルノスター型の発展型という意見もあるが、むしろ独自のプリモプラン型と主張する専門知識が豊富なオールドレンズマニアや評論家もいる。
エルノスター型レンズ構成図
Primoplan58mmF1.9戦前初期型(最短撮影距離70cm)レンズ構成図
PrimoPlan58mmF1.9後期Ⅱ(最短撮影距離65cm)レンズ構成図
PrimoPlan58mmF1.9後期Ⅲ(最短撮影距離60cm)レンズ構成図
初期型は古臭く無骨なレンズ構成で興味深い。ベルテレが設計したErnostarは同じくベルテレが設計したSonnarの原型だが、上記のレンズ構成の中では初期型が初期ゾナーのレンズ構成に一番近いと感じた。
Primoplan 58mm F1.9V オールドレンズの前期後期世代別見分け方
Primoplan 58mm F1.9のモデルバリエーションについて神記事あるので自分用備忘録として引用転載する。
引用ここから
「戦前型」Hugo-Meyer製:戦前の1936年発売
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:70cm
筐体材質:真鍮材がメイン
フィルター枠:⌀ 40.5mm
「前期型-I」Meyer-Optik Görlitz製:1949年発売
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:75cm
筐体材質:アルミ合金材がメイン
フィルター枠:⌀ 40.5mm
「前期型-II」Meyer-Optik Görlitz製:1950年発売
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:75cm
筐体材質:アルミ合金材がメイン
フィルター枠:⌀ 40.5mm「後期型-I」Meyer-Optik Görlitz製:1954年 (?)
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:65cm
筐体材質:アルミ合金材がメイン
フィルター枠:⌀ 49mm「後期型-II」Meyer-Optik Görlitz製:1957年発売
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:75cm
筐体材質:アルミ合金材のみ
フィルター枠:⌀ 49mm「後期型-III」Meyer-Optik Görlitz製:1958年発売〜1959年まで
絞り値:f1.9〜f22
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:60cm
筐体材質:アルミ合金材のみ
フィルター枠:⌀ 49mm
引用ここまで
筆者が所有しているのは上記の情報に当てはめると後期型Ⅱ。
画像転用元:出品者のひとりごと…
Meyer Optik Primoplan 58mm F1.9V オールドレンズ外観レビュー
Meyer-Optik Görlitz Primoplan 58mm F1.9 V の外観レビュー。いつものように早朝真っ暗の中部屋の電球色の蛍光灯を光源に手持ちでサッと撮影しているのであしからず。撮影機材はカメラが「Sony α7C」、レンズは同じくMeyer-Optik GörlitzでPancolarの前身である「Oreston 50mm F1.8」。
結構小ぶり。手乗り文鳥くらい小さい(わかるか)。F5.6かな。
開放F1.8。いつも通り軽くレンズの写りの確認も兼ねている。ヘリコイド少し重かったなぁ。
横から解放で。
これはF8に絞ったかな。
Made in Germanyでございます。鏡胴に細かいキズがある。戦火を潜り抜けてきたのだね(戦後モデルですけど?)。
α7Ⅳに装着するとこんな感じ。アダプターはエキザクタ→NEXではなく、L/Mに変換してから焦点工房のヘリコイド付きのL/Mアダプターを装着している。寄るの好きなんで(朝方ですけど)(夜違い)。
F8。レンズの鏡胴自体は小さいが結局アダプターを装着するとまぁまぁのサイズ感になるのよね、でも鏡胴はアルミだから軽くて丈夫。この頃までのメイヤーは精工な作りをしたレンズを製造していたので好き。DomironとTrioplanもほしい。
角度変えて開放撮影。
絞って。
Meyer-Optik Görlitz Primoplan 58mm F1.9 V の外観をMeyer-Optik Görlitz Oreston 50mm F1.8で撮影したレビューってプリモプランの外観レビューなのかオレストンの作例のレビューなのかややこしい。見出しはどう書くのが適切だろう。
Meyer Optik Primoplan 58mm F1.9V オールドレンズ作例
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラA7Ⅳ。レンズの素性を探る為未加工jpeg撮って出し。コテコテに加工するとレンズの味がわからなくなる。レンズの写りではなく加工の写りになってしまう。
子供が集めて遊んでいたどんぐり。どんぐりもきっと楽しかっただろうな。今は誰もいない。グルグルボケの兆候あり。周囲のざわつき方好き。
銀杏がいっぱい落ちて踏みつぶされていて匂いが充満していた。銀杏が踏みつぶされて匂秋。
クモの巣。芸術的。蜘蛛はすごいと思う。これはクリエイティブルックSTかVV2だと思われる。
角度変えて写りをテスト。
誰も見向きもしない水たまりと落ち葉。こんなに美しいのに誰も見向きもしない。
モノクロもいい。
好みが分かれる描写だと思うが私は好きだ。
ピント面を変えて写りを見る。
角度変えたりピント面変えたり。
1960年代までのMeyerは芸術的な独自の感性をレンズと写りで表現して高級路線を突き進んでいた。
特別な遠出しなくても近所を散歩がてら充分写真を楽しめる。雄大な景色に頼らない工夫が生まれる。人物や果物のデッサンみたいにひたすらデッサン。
水たまりに反射する木々にピントを合わせる。
花びらがトロトロ。素敵。
メイヤー必殺技のオンパレード。世界各地の遊園地の一番人気のアトラクションを全部集めた遊園地作ったみたいな。シャワーゴースト優勢の画像。
フレアーとシャワーゴーストと円環虹ゴーストバブルボケとかゴーストモリモリオンパレード。
幻想的。ここまでの画をバシバシ叩き出すレンズに未だかつて出会ったことがない。
モノクロでもこのエモさ。
カラー。白黒の方がイケてる場合もある。
この怪しい雰囲気。妖艶。
ゴースト、フレア、バブルボケ、立体感、滲み。楽しいレンズ。
ちょっと角度を変えると様々な収差が楽しめる。
ピント面の木が立体的に浮かび上がり周囲の繊細なボケと微妙な紅葉が相まった。
この世界観。
グルグルボケ。
なめくじの体が透明。
立体感。
立体感。
別日。
花小金井駅。発色地味め。エルノスターの地味で奥深いマニアックな写りをとくとご堪能下さい。ごく薄いアンバーのベールがかった描写がアンジェニューっぽい。とか言ってみる。でも自分はアンジェニューのレンズ持ってないからよくわからない。さっきも言ったがむしろHektor5cmに似てると思った。
周辺の結像甘くていい雰囲気。前ボケもいい。
ひび割れた提灯が郷愁。
思わず寄る。この淀みと滲みがエモい。
うなぎ食べたい。
髪の毛みたいだ。周辺減光あり。やはりアンジェニューっぽい世界観はあるかな。
モノクロで線路を捉える。
電車は好き。
ちょうどいい色褪せ具合い。
最短撮影距離は1mだが焦点工房のヘリコイド付きマクロアダプター(8mm)を装着すると50cm程度まで寄れる。中心部はそれなりに解像する。70年前のオールドレンズと考えれば上等。
後ボケもいい。油絵をこねくり回したような描写。世の中のクセ玉の定義は不明だが、筆者はクセ玉=いい写り、のような思考回路だ。このレンズはいい写り。
本来のレンズの性能を超えたマクロ側の撮影では玉ボケは崩壊する。
Trioplan100mmF2.8のように美しい輪郭のシャボン玉バブルボケもいいが、玉こちらの作例のように玉ボケが崩壊しかける感じの表現も好き。
エモいでしかない。この頃のメイヤーの世界観がいい。
鳩さんこんにちは。ごきげんいかが?
日傘が画になる花小金井マダム。
大好きなショット。日本っていいな。
花小金井公園はとても広い公園だった。楽園。
これも大好きなショット。
ポートレート撮りたい。
好き過ぎる。子供たちの笑顔と笑い声が聞こえてくる。天国かここは。
曇り空が青空に見えた。
これも好きなショット。木漏れ日で玉ボケを狙うが輪郭はいびつ。ひまわり。
つまらん構図で撮ってしまった。いや、一応色んな撮り方でボケ感を確認するさね。
ひまわりを被写体に撮るカメラマンを被写体に撮る。右の方でプロポーズしてるっぽい3人組(1人陰に隠れてる)は「写真撮ってください」と言われて撮ってあげて、その画像を確認してる様子。1人は外人さんだった。
たまらん。最高に好きなショット。引きもいいな。スマホじゃ見えんだろうな。
松がセクシー。
筆者的にちょうどいい発色とアンバー被り具合。もちろんjpeg撮って出し。
これも大好きなショット。滲みがエモい。
これも好き。いいレンズだな。被写体を呼ぶ。古いレンズには魔力が宿る。レンズだけじゃない古いもの全て。建物もそう。精霊が宿るというよね。
全部好きだ。
この日を一生忘れない。つらいことばかりでつらかったけど人々の笑顔を見ていたらス孤児元気が出た。
自然はいい。童心に帰れる。この公園広くていいな。すごい。
日本は素敵だ。自分は小さい。
なんという名前の花だろうか。花は自分の名前なんて知らない。ただ命を全うするだけ。人間はゴチャゴチャ考えすぎ。植物の方が生物学的に上だと思う。
最短撮影距離は1mと接写に特化したレンズではないが、ヘリコイド付きマクロアダプターを装着すればここまで寄れる。マクロ端もいい写りといいボケ。
草花はいい。罪がない。人間は毎日罪を重ねて生きている。何かが違う。答えは出ない。人が生きる意味は苦悩する為なのか?
哲学してしまうと悩みから脱出できないよね。知ってる。考えなくていい。考えて答えが出ても、意味はない。なんか般若心経の世界観みたいだな。
Meyer Optik Primoplan 58mm f1.9vの写りの特徴まとめ
Primoplan 58mm f1.9Vは筆者お気に入りのおすすめオールドレンズになった。Primoplan 58mm f1.9vの写りの特徴は、全体的にうっすら滲み少しくすんだ描写で発色は淡い。バブルボケ、シャボン玉ボケ、グルグルボケなどオールドレンズの収差も満載。
ちなみにMeyer Optik Gorlitzの戦前の社名はHugo Meyer。Meyer社は旧東ドイツの高級カメラレンズメーカーで後にCarlZeiss傘下のPentaconに吸収合併される。そう、本レンズは吸収合併される前のMeyer最後の銘玉。その後メイヤー製レンズの品質は劣化した。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。