AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coated レビュー作例富岡オールドレンズ
AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coated レビュー作例富岡オールドレンズ。最短撮影距離やf1.7という明るさ、レンズは軽くて小さい、操作性、写り、価格(コスパ)、その他使い勝手も含め考慮すると、筆者が110本程所有しているオールドレンズの中でベスト5に入る超お気に入りレンズだ。
AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coatedとは
チノンの銘玉、Auto Chinon MCM 55mm f1.7 Macro MCはマクロスイター50mmF1.7のコピーレンズ。この頃のChinonはAlpaのカメラやレンズをOEM生産していたので光学の中身は本物の和製Macro Switarと言える。というか実際にAuto CHINON Macro MC 50mm F1.7はKern Alpa Macro Switar 50mm f1.7と光学レンズ構成が同一である。55mmは50mmの後継モデル。富岡光学はチノン株式会社にOEM供給して1977年に発売したレンズでM42スクリューマウント一眼レフカメラCHINON CE-3 MEMOTRONに搭載された交換レンズ。
描写は柔らかくボケは大きくエグいBokeh Monster。1/3マクロレンズだが中距離の滲みや被写体の一部が光の中に溶ける様はフランスのFoca Oplarexのように絵画的に美しい。その一方でマクロ側は被写界深度極薄でピント面キレキレからのボケは大きくまろやかにとろけて繊細。写りを確認して当たりを引いたと確信した。
AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coated オールドレンズのスペック
- 発売年:1977年
- マウント:M42
- レンズ構成:5群6枚ダブルガウス型
- 絞り羽根枚数:6枚
- 絞り値:最大f1.7~最小f16
- 最短撮影距離:0.28m
- フィルター径:52mm
- 重量:229g(実測値)
AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coated オールドレンズ外観レビュー
撮影機材カメラはSonyα7Ⅳで撮影機材レンズはCanada Leitz Viso Elmar 65mm f3.5 Makro。
AUTO CHINON MCM 55mm f1.7 Macro Multi Coated オールドレンズの作例Review
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ、jpeg撮って出し、クリエイティブルックNT、開放のみ。写りは見ての通り。筆者お気に入りオールドレンズの1本となった。
久々の試写スナップ一発目。このホラー染みたボケ感好き。すでにこの時点でいいレンズだと確信しテンションガチ上げ。
ちょっと角度を変えて玉ボケを取り入れるとまた違った雰囲気になる。ピント面にフリンジ発生。大半の人は嫌うだろうが筆者は大歓迎の収差。嬉しくて心の中で歌を歌った。
スキップしながら両目を瞑りジャンプしながら撮影した(してない)
人によってはフリンジや浅すぎるピント面、滲み、画面全体をベールの様なフレアが覆う、など好ましくない残存収差だと一蹴する人もいるだろうが、筆者は両手を挙げて万歳Welcomこの収差。
ね、銘玉だぞこのレンズ。なんだこの画。個人的に今回30分位のスナップだがお気に入りのショット。中間距離でもエゲツなくエモい描写。曇り空でよかったとも思う。
晴天時はどんな画が撮れるのだろう。
渋い色のコントラストが絶妙。
地べたの落ち葉がこんなに素敵。
中間距離もエグいエモさ。こんなに収差強いのか。1/3マクロでf1.7はかなり無理をしたのかやはり。f2以降1段以上絞ると各収差が改善されるようだが、そんなもん邪道だよ的なノリの画を叩き出す。もちろん時には絞って撮りたいシチュエーションもある。
全体的に柔らかい雰囲気がいい。後ボケは最高。
これも好き。Bokeh Monster認定。
こんな感じのまろやかトロトロなボケも。
公園で遊んだ。
玉ボケ取り入れるとこんな感じ。いい。
トロっとまろやか系もハマる。
ヘリコイド付きマクロアダプター装着したマクロ端で本来のレンズの性能を超えても玉ボケが崩壊しないのはマクロを謳うだけあるしさすが富岡光学&Kern Aaruの合わせ技。もう筆者はMakro Switarと思って使っている(購入時すでに)。
いや、このショットが一番お気に入りかもしれない。激しい滲みと朽ち枯れゆく様が最高。
これもいい。
この激しい滲みと光の中に溶けて消える被写体の描写がFoca Oplarexを彷彿とさせると感じた。
AUTO CHINON MCM 55mm F1.7 Macro Multi Coatedで実写した写りの特徴レビュー
- 滲む
- ボケが大きくとろけてまろやか
- ボケが油絵を乱暴にこねくり回した様に絵画的
- 中距離も美しくフランスのFoca Oplarexのように被写体が光の中に溶けて消えることがある
- 曇り時だがゴーストやフレアーは制御されていて逆光態勢は強い
- ピント面キレキレで被写界深度は浅い(激薄)
- 吐き出す画のクオリティが高い
- マクロ域のトロトロなボケ感はKern Arau Alpa Macro Switarのようだと言いたいが
追記:後日Kern Macro Switar 50mm f1.8を入手して試写したが写りは違う。このレンズのレンズ構成図は調べても中々ヒットしないが、使ってる硝材や硝子は明らかに違うと思う。確かに富岡光学OEM含むチノンはAlpaにレンズを提供していたし、光学はKernで鏡胴はチノンというレンズも存在する。しかし、マクロスイターと本レンズの写りはやはり違う。マクロスイターにかけられたコストが全然違うので仕方ない。が、本レンズの写りは優しく柔らかく寄れるし、素晴らしいことは確かだ。
まとめ
中間距離はFoca Oplarexのように滲み被写体の一部が光の中に溶けて美しい。マクロ端のボケが大きく溶けてまろやかな点はMacro Switarのようだ。この頃のChinonはAlpaのカメラやレンズをOEM生産していたので本物の和製Macro Switarとも言える。
その一方で乱暴に油絵をこねくり回したような絵画的描写は時にMeyer(Pentacon)のエルノスター型Prakticar50mm f2.4のよう。初試写で数枚撮っただけでこのレンズはMonsterだと感じて震えた。当然筆者お気に入りのオールドレンズの1本となった。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。