Zeiss Ikon Biogon 21mm f4.5 Contarex Review作例 超広角銘玉神オールドレンズ
Zeiss Ikon Biogon 21mm f4.5 Contarex Review作例 超広角銘玉神オールドレンズおすすめ。もちろん現在のコシナが製造するZMのツァイスではない。旧西ドイツZeiss Optonの時に試作品が作られ、巨大合併してZeiss Ikonになり1954年に登場したレンジファインダーRF、旧コンタックスCマウントのベルテレが設計した方の伝説の銘玉元祖ビオゴン21mmだ。
ずっと欲しかった銘玉をようやく入手した。ヘリコイドはやや重いが、レンズ外観も光学の状態もかなりいい。しかも幸運なことにライカMマウントに改造済みだ。いつもとは違うテンションの上がり方なので本記事ではいつもより自由気ままにレビューしていつも通り作例を掲載する。
Carl Zeiss Ikon Biogon 21mm f4.5 Contax Cマウントのレンズ外観
Carl Zeissのシリアルナンバーは特に戦後は全くアテにならないらしいが、一応推測すると、筆者が所有しているレンズは1962年製だと思われる。
意外と大きくてズシリと重い。人の頭に向かって投げたら大きなケガをするくらい。(レンズを投げるなよ)(あと頭を狙うな)
海外のレビューで絞り羽根が調節しづらいのと重い点がマイナス評価だったが、ヘリコイドも回しづらい。なぜこんなに操作性悪くした?Russar MP2 20mm f5.6を参考にしたんだろ?見習おうぜ。
35mmのビオゴンも欲しくなるわね。まぁそのコピーがJupiter12なんだけどね。マウントがライカLかM改ならね。旧コンタックスC内爪マウントのアダプターは一応持っててJenaの戦前沈胴Tessarにつけっぱなしにしてる。
鏡胴素材は真鍮かな?マジでかなり重い。でも象さんよりは軽い。
Carl Zeiss Ikon Biogon 21mm f4.5 Contax Cマウントのレンズ構成図
ビオゴンは対象型の広角レンズよね、後に誕生したスーパーアンギュロンはビオゴンコピーだと思ってる。
で、ベルテレが真似したと言われている旧ソ連MMルシノフ(Mikhail Mikhailovich Rusinov)が設計したRussar MR2 20mm f5.6のレンズ構成図がこちら。
うん、確かに気持ちいいくらい思いっきりインスパイアしてるな。特許の目をいかにかい潜るか、みたいな。なーんだ。ビオゴンはルサールか結局。
超広角20mmレンズの開発の目的は航空写真
20mm(21mm)のレンズは元々、1930年代に航空写真を目的として開発された。1946年にロシアが特許を取得したレンズ設計をテンプレートとして使用し、1954年に西ドイツのCarl Zeiss Ikonが35mmカメラ用としては初(Russar除く)となるレンズ21mmBiogonを大量に生産した。
コンタックスBiogon21mmは旧ソ連Russar MR2(MP2)21mmの設計を参考にしている
2011年、Carl Zeissの上級研究員で光学設計主任のヒューバート・ナッセ博士は、カールツァイスAGカメラレンズ事業部発行のカメラレンズニュース41に次のように記述している。
「1946年、新しい種類の対称広角レンズに関する最初の特許がロシアのレンズ設計者ミハイル・ミハイルヴィチ・ルシノフによって申請された。2つのレトロフォーカスレンズが後部のレンズと組み合わされているかのようであり、開口部近くで正の屈折力が対称に配置され、前後が強い負のメニスカスで囲まれている。1951年、ルートヴィヒ・ベルテレはこのアイディアをさらに推し進め、Zeissを代表する伝説的なビオゴンを設計した。」
上記のように、ロシアの光学天才ミハイル・ミハイロヴィチ・ルシノフが設計したRussarを元にベルテレがビオゴン21mmを設計したのは間違いないようだ。1951年、ベルテレはローライフレックスとコンタックスの広角レンズを設計する為、ツァイスに雇われた。
レンズの両端で単一メニスカスの使用に関する特許はロシアのルシノフがすでに取得していた為、ベルテレはRussarのレンズ構成を使用できなかった。妥協してRussarを元にレンズの設計を開始した。
しかし、数年かかってもいい案が浮かばず、ZeissもLeica(シュナイダー)もルサールより性能が低く巨大なレンズしか設計できなかった。旧ソ連恐るべし。とは言え、当時は「医学のペニシリン、航空工学のジェット駆動、写真のビオゴン21mm」と言われる程、画期的だったようだ。共産国は別世界として捉えたってことかな?
1956年にストックホルムで開催された国際会議で、ルートヴィヒ ・ベルテレは、絵画のコーナーで適切な照明を確保するという問題に対し、非常に興味深い独創的な解決策を示したルシノフに敬意を表した。
超広角オールドレンズはデジタルミラーレスカメラの鬼門だった
元祖Biogon21mmについては国内でレビューしているブログは数える程で、海外サイトでは熱い議論が交わされている。写りの評判は当然いいが、かつてデジタルカメラとの相性は悪かった。
そもそも20mmなどの超広角オールドレンズをデジタルミラーレスカメラで使用する際はマゼンタ被りや周辺像の流れの問題が大きかった。しかし、近年エントリーモデルだが高性能でぶっちぎり人気のSony α7ⅲでかなり改善されてきて、α7Ⅳでは20mmという超広角レンズも実用どころか作品作りにも使用できる目途がついてきた。
20mm超広角オールドレンズの比較
筆者が所有している20mm付近の超広角オールドレンズは世界の広角レンズの雄「KMZ Russar MP2 20mm f5.6」、1999年と割と新しいが今もなお熱狂的GR信者の支持を受ける「Ricoh GR Lens 21mm f3.5L」、当時のプロカメラマンに愛され共産国のイデオロギーを超えて西ドイツや世界中でトップカメラマンたちに愛用された旧東ドイツの「Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm f4」、そして天才ベルテレが設計した歴史に残る広角の銘玉本家ビオゴン、旧西ドイツのCarl Zeiss Ikon Biogon 21mm f4.5だ。
自分で話していてワクワクする。これだけで旨い酒が呑める。超広角の伝説の銘玉…。いい響きだ。 で、この4本のライカMマウントアダプターを除いたレンズの重量は以下の通り。
- フレクトゴン20/4(EXA):413g
- ビオゴン21/4.5(旧CをM改):303g
- GR21/3.5(L39):210g
- Russar20/5.6(L39):85g
そう、レンズの重量はとても重要なのだ。フレクトゴンはエキザクタマウントのアダプターの重量が90gありレンズ自体は322gだ。写りの違いは、それぞれのレビュー記事の作例を見て比較してほしい。そのうちまた写りの比較の記事も書きたい。
Biogon 21mm f4.5 コンタックスCのスペック
- レンズ構成:5群8枚ビオゴン型
- マウント:Contax RF(レンジファインダー旧コンタックス)
- 最小絞り値:f22
- 絞り羽根枚数:8枚
- 最短撮影距離:1m
- フィルター径:40.5mm
- 重量:303g(マウント改造後の実測値)
- 製造本数:4000本
Biogon 21mm f4.5 Contaxの作例
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ。レンズの写りの確認なので、いつも通り露光量の微調整以外はほぼjpeg撮って出しだが、今回はたまにハイライトとシャドウだけ微調整した写真もある。
青梅市の春日神社。
宮大工はマジで尊敬するし、日本人で神社仏閣を守っていきたい。実は後継者不足で、今後数年で半分以下になってしまうのではないかと懸念されている。
吹上がエモい。
この日は8月中旬夏ド真ん中だけどもうトンボが飛んでるよ~って思った。
20mmという広角だから寄ろうとすると被写体にメッチャ近付く必要がある。レンズこれ以上寄ったらぶつかるぜって距離感。遠慮気味にカマキリさんに近づいたら「何奴?エイ!ヤァ!」と鎌を振られました。自分より大きな巨人に立ち向かう勇敢さに驚き「大和魂かよ!」とツッコミを入れました。「ごめんね、びっくりしたよね~。」と謝りつつ後ろから撮ろうとしたら「見え見えなんだよ!」みたいな感じで振り向き鎌を振りかぶってました。こんなに小さい昆虫でも「怖いなぁ」と思いました。…小学生の日記かよ。てか、カマキリさんメッチャかっこいい。
そんなこんなでいつもの塩船観音寺。その昔、ジムの美しいお姉さんが「塩船観音寺いいよ」って教えてくれた。吹上の人だった。コロナでジムは潰れた。コロナで経営破綻した個人経営者いっぱい自殺したよね。南無妙法蓮華経。
これ好き。ハイライト飛び気味無視しつつシャドウの奥が見える感じがかっこいい。
フレアーがエモい。
木の根っこは地球と一体化してた。あぁ、地球って木や山や大地や海や川や大気、動物、微生物による総合生命体なんだと再認識。人間は完全に外部から来た宇宙人やな。子供の頃からそう思ってる。
これも好き。カラーもモノクロもどっちもいける。大杉が小さい祠を抱えてるみたいでかわいい。
開放だと周辺部の結像は甘めで周辺のボケもざわつく。
かっちょいい。そっか、ツァイスはハイライトが粘るから敢えてハイキーの飛び気味でも見れるんだな。普段あまりZeiss使わないからちょっと不思議だった。
フレアーもエモい。今回の作例を選択する際に、同じ写真を見比べてモノクロとカラーどっちがいいかなセレクトを瞬時に行ったが、写真によってカラーの方がイケてる場合とモノクロの方がイケてる場合があると感じた。
結婚式の撮影してた。森山大道ノールックスナップ。
この広角オールドレンズ、エモくね。レンズの半分は優しさでできている。(それは違う)
ね?カラーもモノクロもどっちもエモいっしょ。てか妖気あるよね。霊魂や磁場とか波動も写りそう。
33という数字。ここは深すぎるので言及は控えよう。
ビオゴン諧調いいよね。ただ、ちょっと操作性が悪い。
周辺減光あり。
神道と仏教は違うんだけどさ、聖徳太子が建立した寺院の敷地内に鳥居があったりするよね。聖徳太子は馬小屋で生まれた聖者で世界最古の株式会社金剛組を設立。キリストも馬小屋で生まれて石工大工。キリストと聖徳太子は同一人物説あるよね。で、それだと都合悪いから最近は教科書に聖徳太子のこと載せてないらしいよ。本当はいなかったかもとか噂を流してるとか。人間の大人はすぐ隠蔽工作するから全く信用できない。歴史=History=His Story。戦争の勝者が歴史を創る。俺は一生子供のまま。
話し逸れ過ぎ。レンズのレビューしろよ。でもレンズの歴史って戦争と隣り合わせだからどうしても歴史の話になる。一応人文学学士だがどうしても人類史の道へ戻される。
歪曲でも見るか。70年前のレンズで21mmという超広角でこの優秀さはエグい。ゾナーもビオゴンも生まれた時から完成してる。
淡い感じがいい。感情も閉じ込めるレンズはそうそうない。
つつじ祭りの時の賑わいが嘘のよう。自分は空いてる時が好きだし一年中ふと神社仏閣に吸い込まれる事が多いから。近所の人が手ぶらで参拝してる姿が時代を超えてセクシーで。
開放。ふんわり柔らかくて周辺はかなり甘い。ツァイスはコテコテ硬派なイメージ強いけどそれは近年の話。というかツァイス関係者によると近年すら高描写と柔らかさの同居を求めているらしい。
絞った。明らかにコントラスト高くなって皆が知ってるコッテリとツァイスらしい硬派な描き方だよね。でも芯は優しいっていう。ビオゴンいいなやっぱり。でもやはり開放の絶妙な緩さが好き。ベルテレはマジ天才。学歴なくて基礎を無視したことが幸いしたか。
薬師如来はボケ予防だって。手を合わせて「おんころころせんだりまとうぎそわか」って唱えてね。サンスクリット語だよ。
母と子。お盆8月ど真ん中。映画のワンシーンの世界に迷い込んだみたいでウルっとして家に帰って昼間から1人で酒飲んだ。「夏と俺の終わり」(俺終わったのか?)
まとめ
厳しいことを言う。Zeiss IkonのBiogonを貶す訳じゃないが、このレンズの4分の1以下の重量で遥かに小さいロシア製Russarと比べると、正直言葉に詰まる。中古価格も3分の1とか。かっこいいけどね。
明るさもF4.5とF5.6じゃ1段絞り分だもんね。自分からのアドバイス。20mm超広角のオールドレンズ探しているならルサールで充分。ベルテレがルシノフを尊敬というか認めていたと、この記事を執筆中に知った。
Russarもちゃんと愛してね自分。あと35㎜カメラ初の20mmレンズはBiognではなくRussarでした。
甘いことを言う。ビオゴンやスーパーアンギュロンがルサールの2番煎じだろうが、結局どちらもルサールを超えられなかったとしようが、歴史的銘玉であることに変わりはない。「ベルテレが設計した広角レンズ」というネームバリューが大切なのだ。だからRussarを眺めながら酒を飲むのとBiogonを眺めながら酒を飲むのでは、やはり圧倒的に後者ビオゴンなのだ。例え操作性が悪く重かろうとも。
例えば、A子はアイドルグループに在籍しているから価値がある訳であり、グループから脱退したら価値は半減するのと一緒だ。JK(JD)時代のB子ちゃんと、アラフォーになったB子ちゃんでは圧倒的に前者の方が価値も魅力も高いのだ。ちがうか。(全然違うよ)
そんなに熱く何の話をしてるんだ?そこへなおれ。
要するに、今回RussarとBiogonの関係性を調べたり特徴を把握していくうちに「ベルテレが設計したZeiss IkonのBiogon」というブランドマジックみたいな催眠に自分がかかっていたのかもしれないと思うと、そんな自分にがっかりしたという感じだ。だからちょっとバツが悪くて自分にちょっと怒ってるのだ。怒ってるの?何も怒ってはいない。ちょっと残念で拗ねてるかもしれないが。
繰り返し言う。ビオゴンをディスっていません。知識のない自分をディスってます。ね?自由過ぎるでしょ、この夏休みの宿題、レンズレビューの感想文。という訳で独り言をそのまま文字列にしたような自由気ままなレビューでした。たまには自由に書いてみた。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。