Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm F4 レビュー作例 ツァイスの超広角おすすめオールドレンズ
Carl Zeiss Jena Flektogon(フレクトゴン) 20mm F4 レビュー作例 ツァイスの超広角おすすめオールドレンズ。本個体はEXAKTAマウントだがM42もある。Sony α7Ⅳで撮影したjpeg撮って出し画像33枚の作例紹介と写りの特徴を筆者独自の視点でレビュー。
Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm F4を購入した
またポチっちゃいました。旧東ドイツのイエナーの広角オールドレンズ、フレクトゴン20/4ですよ。戦後冷戦下において、ベルリンの壁を越えて西側ドイツのプロカメラマンにも愛されイデオロギーを超えた歴史的オールドレンズ。一体どんなカメラマンを経由して私の元へ来たのだろうと考えると感慨深い。ようこそ、ありがとう。
Carl Zeiss Jenaとは
第二次世界大戦後にドイツが東西に分裂した際に旧ソ連が東側を支配、西ドイツはアメリカとイギリスが支配した事によりCarl Zeissも分裂した。Carl Zeiss Jenaは東側で旧ソ連が接収、Jenaは地名。Carl Zeiss Optonはアメリカとイギリスの西側が接収した。
Flektogon(Flektogon)は旧東ドイツの半官半民の「VEB(Volks Eigene Bertrieb) Carl Zeiss Jena(人民公社カールツァイス・イエナ)」が一眼レフカメラ用に開発した広角レトロフォーカス型レンズの名称。「DDR」とは、東ドイツ(Deutsche Demokratische Republik)の略称であり、西側ドイツの「Carl Zeiss Opton」の「Opton」は「Optiik OberkocheN」が由来。
Flektogon 20mm f4の誕生と歴史
戦後、レンジファインダーカメラはライカM3で最盛期を迎えた。一眼レフも徐々に普及していったが広角が苦手だった。旧東ドイツのカールツァイスイエナ(Carl Zeiss Jena)はこの弱点の克服に挑戦した。
1961年に広角レンズ、Flektogon25mmF4を発表。翌々年の1963年にはさらに広角のFlektogon20mmF4を発売した。他に選択肢がなかったこともあり、フレクトゴン20mmF4はベルリンの壁を超えた西側諸国のプロカメラマンにも愛用され、冷戦下のイデオロギーを超えた銘玉。
このレンズでしか撮れない写真があると人気を集め、フレクトゴン20mmF4は世界を代表する広角レンズとなっていった。現在の広角レンズはコントラストとシャープネスを売りに勝負しているが、フレクトゴン20/4のコントラストは穏やかで、トーンの美しさで魅せて勝負するタイプである。
F8まで絞っても過度に硬くならず、適度なディテールを保ち、シャドウも潰れ切らず粘り、諧調も豊かで解像度も無理なく自然な描写である。ド派手な外見とは裏腹に描写は一見地味だが通好みのオールドレンズかもしれない。このゼブラ柄にこのド迫力の外観がかっこいい。「Jena」の刻印が戦火の名残を思わせ郷愁に浸らせる。
Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm f4 のスペック
- 発売年:1963年
- マウント:M42、Exakta
- レンズ構成:6群10枚レトロフォーカス型
- 絞り羽根枚数:6枚
- 最短撮影距離:0.15m
- フィルター径:77mm
- 重さ:320g
Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm F4のレンズ外観レビュー
フレクトゴン20/4の外観の特徴は見ての通りゼブラ柄でデカくてこの迫力。レンズのみで320g。EXA-L/Mマウントアダプター装着して428g、L/M-NEXアダプター装着して516g。
見た目はいかつくて個性的でかっこいい。カメラはSony α7Ⅳ。
やっぱりマウントはMとLで統一しようかしら。
Carl Zeiss Jena Flektogon 20mm f4の試写と作例
撮影機材はSony α7Ⅳ。レンズの素性を探る為、jpeg撮って出し。
被写体は空気を浄化してくれる観葉植物サンスベリア。元画像で見ると葉の繊維(産毛?)まで解像しているところはさすが。フレクトゴン20/4は最短撮影距離15cmなのでかなり寄れる。ヘリコイドアダプターを繰り出すとさらに寄れる。筆者はフィルターは装着しない派だが、本レンズは被写体にレンズがぶつからないように注意。
レンズが届いた直後だったのでとりあえずその辺にあるものを撮ろうとレンズが入っていた段ボールの角にピントを合わせてみた。観葉植物の木漏れ日がすでに玉ボケに。ボケは柔らかい。ワクワクする。
思わず外に出た。ボディ内のクリエイティブルックをたまに変更しながらレンズとの相性の様子を見る。通常はレンズの素性を見る為にNTかSTで撮ることがほとんど。こちらはFL。フィルムライクでいい。空のトーンが美しい。開放でテレ側は若干減光するので懐かしい雰囲気が出る。黒潰れせずシャドウに粘りを感じる。
モノクロもよき。レンズの素性を知る為、伝える為に全てjpeg撮って出しなのでシャドウも持ち上げていない。かっこいい。
これはNT。開放は程よく滲む。発色は穏やか、ナチュラルあっさりめで好み。クリエイティブスタイルは一通り試すもののやはり見た感じに近いNTに落ち着く。昭和レトロ感満載。一応令和4年です。
こちらはクリエイティブスタイルFL。やや線が太くコントラストが高めでこってりとしたフィルムライクな印象になる。
これはINかな。INも程よく柔らかい表現になるので使いやすい。
これはSTかな多分。空のディープブルーのトーンが美しい。漆青というか濃い青から薄い青へ移り変わる様に豊富な諧調を感じる。その向こうの青い山もたまらん。もちろん未加工撮って出し。
逆光態勢は弱くこんな感じのゴーストが出る。画面全体を覆うようなフレアも出ている。オールドレンズの収差を表現として好むユーザーにとっては嬉しい収差だが撮影状況によっては邪魔になる時もある。
若干樽型収差が出ているように見える。周辺減光はうまく利用すればいい感じ。
フレクトゴン20mmF4は牧歌的なシーンがよく似合う。早く新米食べたい。
諧調の幅が広い為黒潰れしないシャドウの描き方が優秀。トーンの美しさで勝負する広角オールドレンズだ。
やはり20mmという超広角レンズはダイナミックで唯一無二の画が撮れる。ひまわりだけなぜかアップしていなくて後日アップした。
夏のひまわり。記事を更新している今現在は11月なので、遠い昔のことのようで切ない。今、この一瞬を大切に生きよう。今、この一瞬が全て。そう考えると目の前にいる人がとても大切に思えてくる。目を見て魂で話して、その人のことを大切に思っていると伝えよう。明日世界が滅びるとしたら、職場の人たちといつものように働いて、そうだな、宴会でもするかな。
後日。周辺減光と押しつぶされそうな曇り空と僅かに顔を見せる希望の青空と容赦なく頭上を駆け巡る電線と人類を空から観察するカラスさん。と、それを見つけて撮る僕とフレクトゴン。
朝顔の一種かな、小学生の頃自由研究で育てた朝顔を思い出して心が安らぐ。描き方が優しい。
割りと寄れる。1、2段絞ってる。花を撮る時の発色はまぁまぁ。中々いい写りをする。35mmのフレクトゴンも接写に強くマクロ級の活躍をしてくれるいいレンズ。
広角で開放F4なので当然ボケは大口径レンズ程とろけたりはしなく、あくまで自然な描き方。
寄った花の写真が続いたけど、花は目に付きやすいので。寄っても地味にいい仕事をしてくれる。
雰囲気出てる。一瞬モノクロか?と思うが左下の青空で「カラーか、ゴクリ、」と唸る。ボケも秀逸でセクシー。周辺の結像の甘さや収差を活かしたこのような構図の写真は現行レンズでは撮れない。だからオールドレンズに魅了される。
息を吞む様な雰囲気が出るレンズだ。レンズの試写は近所のスナップが多いが、このレンズは大自然の中に持ち出してダイナミックな写真が撮りたいと思った。
桜の木。撮影した時は9月だったが、黄と緑の一足先の紅葉が美しかった。実はこれはシャドウとハイライトを少し調整している。
未加工の撮って出しだとこんな感じ。これはこれでいい味が出てる。桜の木の輪郭のハイライト部分の滲みが美しい。先程の少し加工した画像より滲みが目立つのはおわかりだろうか。未加工という加工もある。
こちらも同じくハイライトとシャドウを微調整。
未加工。発色は地味でカラーではトーンは若干省略されてる感がある。モノクロいいかも。暗がりの色を探すのも乙。
20mm風景はという広角なので当然風景はハマる。周辺の結像の甘さを活かした構図を狙うとかっこいい画が撮れる。やはり現行とは違う。
後ろ姿もいい。このレンズはこのようにしっとりと落ち着いた画が撮れる。いい。好き。
やはり広角は面白いし神社仏閣などの建造物も撮りやすい。
母子観音像。縦構図もかっこいい。曇り空も似合う。
虚無僧。敢えてシャドウを持ち上げていない。見えないが見える。やはりモノクロがよさそう。
動画も良さそう。
本殿。ハイライトが滲む
少しの落ち葉がいい雰囲気。
別日。逆光。さすがに暗部は潰れ気味。ほんの僅かにケラレ。20mmという超広角だが、隅々までよく写っている。やはり優秀だ。60年前のレンズだぜおい。
順光。暗部も描く。のド晴天だがよく写るよなぁ。
嫌味がなくてナチュラル。いいなぁ。
歪曲収差もよく補正されている。当時のプロカメラマンご用達はなるほど納得。
非常に懐かしいのだ。シャッターを切る瞬間の感情とか蘇る。
よく覚えてるよ。自分が撮った写真って、その時の感情が蘇るから泣きそうになるんだよな。つらかったんだな。
消えたいと思う時もある。そんな苦しみも大切にしてほしい。つらい思いがあるから、何でもない日常に感謝して、何でもない日常を大切にできる。
バイバイ。
まとめ
写真の力はすごい。自分が撮った写真見返していたら泣けてきた。あの頃の自分にアドバイスを送りたくなった。つらくても諦めずに、そのつらい方へ悠然と立ち向かっていけと。自身を持って引っ繰り返せと。なんとかなる。不安も心配事もそう当たらん。気にすんな。それよりも、守りたいものを必死で守れ。と。
やべ~、感傷的になるな。
今回の開封レビューは、厳密には「開封後即試写した作例を後日アップしたレビュー&後日の試写」になるのかなやっぱり。正直、描写は好みだが、少し大きくて少し重い。EXAKTAからライカMに変換する必要があるのでアダプター2段重ねだし多少値は張り個体数も少ないがM42のモデルを狙った方がいいかもしれない。直前モデルの25mm f4や、本個体の後継でMC化された21mm f2.8は軽量化されているので、そちらを選択するのもアリだ。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。