Retina XENON 50mm F1.9 Review作例 SchneiderシュナイダーオールドレンズM42DKL
Retina XENON 50mm F1.9 Review作例 Schneiderシュナイダーオールドレンズ M42 DKL
Retina XENON 50mm F1.9とは
Schneider-Kreuznach XENON 50mm F1.9は1950年代に「Jos. Schneider Optische Werke GmbH (シュナイダークロイツナッハ)」で製造されたシュナイダーの代表的な標準域レンズの1つ。クセノンの設計、開発はウルトロンなどを設計したAlbrecht Wilhelm Tronnier(アルブレヒト・ウィルヘルム・トロニエ)が行った。
シュナイダーは1890年から続く歴史ある企業で、老舗のレンズメーカー「Isco(イスコ)」が傘下に入っている。東西ドイツ統一の際に経営苦難に陥っていたZeiss Icon(ツァイス・イコン)の後身であるPentacon(ペンタコン人民公社)を傘下に収めた。
シュナイダーはハッセルブラッドやライカ、コダックなどのカメラ用に高品位なレンズを供給している。ライカのズマリット50mmF1.5はシュナイダーがOEM製造していて、その前身はクセノン50mmF1.5。スーパーアンギュロンもシュナイダーのOEM。
OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で「委託者のブランド名で製品を生産する事、または生産するメーカーのことを意味する。
吸収合併に伴いトロニエはシュナイダーからCarl Zeiss(カールツァイス)に異動している。
Retina XENON 50mm F1.9のレンズ外観レビュー
撮影機材はカメラがSony α7C、レンズは現行のコシナフォクトレンダー Nokton 58mm f1.4 SL Ⅱs。Nokton58/1.4はトプコールの58/1.4のレンズ構成を参考に作られた復刻版で割と気に入っている。
デッケルマウントのレンズはフランジバックが長めなのでSony αシリーズだとマウントアダプターの長さが気になるところ。Nikonのミラーレスカメラにも装着できる数少ないマウントでもある。Nokton 58mm f1.4 SL Ⅱsは絞っても割と緩いままでF8でも割と緩かったのでF11で撮影。でも緩い。
Sony α7ⅣにSchneider-Kreuznach Retina XENON 50mm F1.9を装着。マウントアダプターはPixco(バシュポ)のデッケル→M42とPixcoのM42をSony Eマウント(NEX)へ変換するヘリコイド付きアダプターを2段重ねで使用したがアンダーインフだった。
DKL-L/MからのL/M-NEXで無限遠を確認。アダプター2段重ねは相性により無限遠が出ない場合もあるので実際に色々試してみるといい。
開放で撮影。刻印の彫りが手作り感あっていい。
Retina XENON 50mm F1.9のスペック
- 製造メーカー:Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ)
- レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- マウント:エキザクタ、デッケル、M42など
- 絞り羽根:6枚
- 最小絞り値:f22
- フィルター径:49mm
- 最短撮影距離:1m (0.5mなどもあり)
- 重量:211g
Retina XENON 50mm F1.9の作例
撮影機材カメラ「Sony α7Ⅳ」クリエイティブルックはいつも通り基本NTでjpeg撮って出しでレンズの素性を探る。
当時としては大口径のF1.9というハイスピードレンズ。ピント面はキレキレでボケが当時のガウス特有の癖がある描写でそのギャップがたまらない。全体的に微妙に青みがかったシュナイダーブルー。花は学名:Hibiscus syriacus アオイ科フヨウ属のムクゲ(ハチス) 庭木として人気の高い落葉樹の花らしい。ふ~ん。
立体感がある。藤の木の葉の緑の発色もいい。ボケの滑り台が「ルーーン」ってなってる。このレンズのボケは本当に独特。
モノクロもいい。藤の木の枝にピントを合わせる。立体感がある。諧調の連なりもいい。
木の葉の緑の発色が鮮やかだ。不思議な独特な立体感がある。シュナイダーは軍用レンズを国に提供していたので写りのよさは折り紙付き。
シュナイダーいいよ。
Xenonは正統派。像面湾曲の残存収差により周囲がザワっとする感じが好き。収差は現行レンズでは嫌われるがオールドレンズの味。
美しい玉ボケ。藤の木の豆。おいしそう。調べてみると食べられるらしい。〇〇科〇〇属などの種によっては漢方素材に使われるものもあるという。
鉄砲百合、学名:Lilium longiflorum ユリ目ユリ科ユリ属。白と黒だけでこの表現力はさすが。
カラー。
木にピンクの花が咲いてる。これは何という木だろう。
玉ボケの輪郭は滲む。グルグルボケの兆候もある。クセが強すぎず優しい描写。花の近くに実がなってる。おいしそうだな、食べられるかな。(そればっかり)
マクロ側で撮影。柔らかく優しい描写。ふんわりしっとり、うすーいベールがかかったような描写でおしゃれ。発色はニュートラルでやや青みがかったシュナイダーブルー。
シュナイダーのレチナ用に供給されたクセノン50/1.9の描写は派手さはないが全体的に優しくレトロな雰囲気と温かみがある描写でしっとりとまったりと古き良き時代のレンズの描写を楽しめる。
街頭のポールにピントを合わせる。このようにたまに不思議な立体感が出る。金属の冷たく硬い質感と周囲の木々の優しさと葉がそよぐ雰囲気がいい。薄っすらフレアーか朝霧の湿度か。
バイバイ。
Retina Xenon 50mm f1.9で試写した感想と写りの特徴
レチナ クセノン50/1.9を試写した感想と写りの特徴は、ピント面からシャープでボケは収差が適切に抑えられて派手さは少なくボケも穏やか。全体的によくまとまっていて優等生的なオールドレンズという印象。
色味はややくすんだニュートラルだが押さえるところはしっかり押さえていて、独特の青みがかったシュナイダーブルーも健在。一通り収差を味わい尽くした後にクセの少ないオールドレンズを嗜好品として嗜むようなダンディーでオシャレな写りだと感じた。
筆者はクセ玉が好きなので写り過ぎるレンズかなとも思うが、ボケが独特で個性的でクセ玉感もある。ピント面はクールにシャープにキリトリ、ボケでオールドレンズらしいクセ玉感のギャップがいい。
なぜか知名度は低いがトロニエ博士の魔法がかけられている銘玉シュナイダーはお買い得。生涯をダブルガウスに注いだ天才トロニエの遺産。
まとめ
Schneider-Kreuznach Retina Xenon 50mm f1.9。筆者お気に入りのおすすめオールドレンズだ。デッケルマウントは少しマイナーなのでM42やエキザクタマウントと比べると中古価格はやや安め。マウントによってデザインが違うので購入する時はそこも含めて検討するといいだろう。
同じくシュナイダー製の映画用シネレンズCine Xenon 50mm f2のレビューと作例はこちら。レビュー今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。