Pancolar 50mm F2レビュー作例 Carl Zeiss Jena パンカラーはTessaの高級上位モデル
Carl Zeiss Jena Pancolar 50mm F2 とは
Pancolar 50mm F2は戦後、旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaが製造した主力レンズ。標準域レンズではTessar50mmF2.8が普及型でPancolar50mmF2が上位モデルという位置付けだった。パンカラー(パンコラー、パンコール)50/2はBiotar 58mm f2の後継レンズで、プロ用カメラPractina用レンズとして供給されていたFlexon50mmF2(プラクチナマウント)の後継レンズで光学レンズ構成の中身は一緒。
Pancolar50/2とFlexon50/2のレンズの光学設計は同一だが、製造している年代やマウントも違うので鏡胴の素材や硝子の材料など変更はあったかもしれない。筆者が所有しているゼブラ柄のタイミングで一度光学設計の見直しがされているかもしれない。後に光学設計が変更されて1段明るくなったPancolar 50mm f1.8が登場し、このタイミングと、その後マルチコートを施したタイミングで合計3度の光学の見直しがあったようだ。筆者が所有しているPancolar50/2は厳密にはFlexonと全く同一ではないかもしれない。
Pancolarの発音読み方は「パンカラー、パンコラー、パンコール?」
「Pancolar」の読み方は「英語では、ドイツ語ではパンコラー」そもそも母音数が非常に少ない日本語で読むのは無理があり和製英語的な発音になるのは致し方ない。ドイツ製のレンズなのでドイツ語読みのパンコラーと発音するのが筋だと思うが、日本で一般的にはパンカラーと呼ぶ方が多いだろうか。パンコールはスペルが違うのでアルファベットを読めない昔の方が間違えて読んで間違いが広まったのかもしれない。
Flexon(フレクソン)、Biotar(ビオター)、Pancolar(パンカラー)は兄弟
本当はフレクソンが欲しかったが個体数が少なく見つからなかったのでレンズ構成が同一である後継機のPancolar 50mm F2を購入した。フレクソン、ビオター、パンカラーは兄弟でビオターのコピーがヘリオス44-2 58mmF2。以下にレンズが誕生した順を記す。
- Flexon50mmF2(1957年~1960年 19400本)
- Biotar58mmF2(年~年 本)
- Pancolar50mmF2(1959年~1969年 133500本)←筆者所有
- Pancolar50mmF1.8前期ゼブラ鏡胴(1965年~1970年 39420本)
- Pancolar50mmF1.8後期ゼブラ鏡胴(1970年~1975年 174280本)
- Pancolar50mmF1.8MC後期黒鏡胴(1975年~1981年 171008本)
Pancolar50mmF2の写りの特徴
パンカラー502の写りの特徴はレンズ構成が酷似しているPlanarに似た繊細な描き方をするが、周囲の結像は甘く発色は地味でアンバー気味、色ノリはあまり良くないように思う。4群6枚の左右対称型で元祖ダブルガウスに近いレンズ構成であり、その描写に惚れて購入したので狙い通りでよかった。本レンズは未だ銘玉Planarの原型でその境地に辿り着くまでの途中経過で元祖ダブルガウスの素朴さが残っているが故のクセ玉感がある描写は個人的にツボで好感が持てる。
Pancolar50mmF2のスペック
- 製造メーカー:Carl Zeiss Jena
- 製造年:1960年代
- レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- マウント:M42、エキザクタ
- 絞り値:F2~f22
- 最短撮影距離:0.5m
- 戦後Tessar50mmF2.8の上位版レンズ
- フレクソンの後釜で中身は同一
- F1.8のゼブラ型の前期はトリウム含有した個体あり
- 中古相場:20000~25000円
以下はF1.8について自分用メモとして記載する。
Pancolar50mmF1.8 MC
Pancolar50mmF2の後モデルF1.8も購入候補
Pancolar50mmF1.8MCのflickrの作例を見るとかなり良い写りをする。マルチコーティング技術の進歩によりダブルガウス型レンズが完成した時期でもある。f2と合わせて購入して撮り比べをしたい。
Pancolar50mmF2とF1.8の世代別の特徴
Pancolar 50mm F2
最初期のPancolarは開放F値2.0、レンズ構成は4群6枚。レンズの鏡胴デザインは複数存在する。
Pancolar 50mm F1.8(前期)
レンズ構成は4群6枚と同じまま開放F値が1.8と明るくなった。トリウムガラス使用。
Pancolar 50mm F1.8(後期)
レンズ構成は5群6枚へ変更され、トリウムガラスも不使用となった。鏡筒のデザインの違いで数種のタイプが存在して、最後期生産モデルの一部はMC化された個体もあるらしい。ゼブラ鏡筒はこのモデルまで。
MC Pancolar 50mm F1.8
ブラック鏡筒となり、マルチコートレンズの使用を示す「MC」表記がされた。絞り連動機能の切り替え、電気信号ピンの有無で3タイプのモデルが存在する。詳しくは本記事でも参考にさせて頂いた出品者のひとりごと…で解説している。
Pancolar50mmF2とF1.8とF1.8MCはどれが一番いい?
レンズ構成が古典的左右対称のダブルガウス型でFlexonに近い描写を求めるなら50/2で、より明るいレンズを求めるならF1.8、マルチコーティングによる高描写や鋭いピント面を求めるならF1.8MCを選ぶといいだろう。それぞれ良さがある。
Carl Zeiss Jena Pancolar 50mm F2の購入先
横浜市にある大貫カメラで24200円にて購入。
Pancolar 50mm f2 の外観レビュー
撮影機材はカメラがSony α7CでレンズはNikon Nikkor-S Auto 55mm f1.2。K&F Conceptのエキザクタ→ライカL/M変換アダプターを装着して、さらに焦点工房のライカL/M→NEX(Sony E)へ変換するヘリコイド付きアダプターを装着している。
Carl Zeiss Jenaの刻印が戦争によるドイツの東西分裂の歴史を物語る。デザインのゼブラ鏡胴がかっこいい。
アダプター2段重ねしているので少々ごつく見えるが、レンズ自体は小さくて軽い。レンズは実測値で186g、アダプター装着時は実測値で364g。
絞って物撮り用に撮影したから開放でレンズの写り楽しんでいいでしょ的ないつものノリ。そしていつも通り夜明け前で電球色の蛍光灯の照明の影響で暖色系で暗く光量が足りない為シャッタースピードが稼げなく手持ち撮影で手振れしやすい環境という言い訳をしておく。
CZJは素朴でいいなぁ。現行のZeissはきっちり写る都会派のイメージだけどJenaは違うんだよな。
こうやってレンズを撮影すると益々愛着が湧く。これからも宜しくな相棒。
Pancolar50mmF2の作例Review jpeg撮って出し
では、Pancoloar 50mm f2で撮影した作例をjpeg撮って出しでReviewする。ちなみにRawで撮影したデータをjpegで書き出してもjpeg撮って出しとは言わない。それはRawストレート現像という。「jpegで撮って」「jpegで出す(現像する)」から「jpeg撮って出し」。日本語の意味を考えればわかるが一応。Rawで撮ってjpegで現像したら「Raw撮ってjpeg出し」だもんね。繰り返しになるが、それはRAWストレート現像という。
撮影機材カメラはSony α7Ⅳ、基本jpeg撮って出し。若干の角度補正をしている画像はある。グルグルボケ発生。当然周囲の玉ボケはレモン型になって流れる。やはりこの時代の左右対称型のダブルガウスは残存収差がいいクセ玉感を出している。
川口市の市の花、鉄砲百合。1枚目と似たような画面だが。
曇り空と霞んだ山々がノスタルジックな雰囲気を加速させる。マンションが日本の高度経済成長期を思わせる。やはりパンカラー50/2(中身はフレクソン)は原始的で素朴でいい。Pancolar 50mm F1.8 MCはハイブリッドで別の意味でいい写りするが、より原始的でレトロなF2はまた別の味わいがある。エモい。
このレンズは牧歌的で素朴な風景が良く似合う。周辺部の結像の甘さとかシャドウの奥の描き方とか写り過ぎないところがたまらん。現行レンズでは味わえない世界観。
ずっと見てられる。ただでさえ高コントラストで高解像の現行レンズで撮った画像をさらにLightroomで加工してコテコテに発色させたサイバーチックな画像はSNSウケはいいし、一瞬目を引くがずっとは見ていられない。目が疲れる。とはいっても芸術はクリエイター(アーティスト)の個性と見る側の好みであって正解はない。
自分はこういう時代に逆行した感じが好きなだけ。
撮影した時の感情がフっと蘇り感性を刺激する。
消えてなくなりたい時もある。死にたい時もある。でも、それは母が悲しむから生きる。
母を世界一幸せにしたい。世界一不幸にしてしまったから。だから生きる。叶わなくても生きる。
やはり写真は感情的になるからよくないな。誰もいない公園。子供たちの遊ぶ声が記憶を辿り蘇える。
なんという植物だろう。おいしそうだけど食べれるかな。
おぉ、鉄砲百合か。よく会うね君。かわいいよ。
時間が止まったまま動いていないのかと錯覚する時がある。
写真を撮っている時もそう。時間が止まって違う次元にいる感覚に襲われる時がある。
嫌な過去や現実逃避したい現実を忘れられる。
自分はカメラと映像に出会い救われた。だから今日も写真を撮り続ける。世界は動いている。世界は生きている。
自分も生きている。それを確認する為に、今日も明日も、明後日も、生きている限り写真を撮り続けるだろう。
それが自分の生き方だから。どんなに辛くても、苦しくても写真を撮ることをやめない。そんな人生を自分で選んだ。
まとめ
Pancolar 50mm f2は隠れた銘玉であり筆者お気に入りのおすすめオールドレンズだ。本レンズはマルチコーティングが施されたF1.8MCに比べると注目されにくいが、左右対称を崩したダブルガウスではなく、左右対称に近い元祖ダブルガウスの写りを堪能できるレンズだ(ゼブラ柄で一度光学の見直しがあった)。今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。