PETRI C.C Auto 55mm F1.8のReview作例 ペトリの銘玉 栗林写真機店
PETRI C.C Auto 55mm F1.8のReview作例 ペトリの銘玉 栗林写真機店。皆大好き安くて良く写るペトリ。コスパ最強オールドレンズだが、マウントがマイナーな為アングラ街道まっしぐらだ。ペトリ独自の味がありマニアを引き寄せる魅力がある為、レンズにペトリ菌が付いてるのではないかという本気か冗談かわからないような噂もある。
Petri C.C auto 55mm f1.8のレンズ外観Review
撮影機材はカメラがSonyのα7Ⅳで、レンズがLeitz Canada(ライカ) Viso Elmar 65mm f3.5。ブログ用に物撮りjpeg撮って出し。いつもながら早朝夜明け前に光源は電球色の暗い蛍光灯のみなのでシャッタースピードは稼げないし黄色がかっている。ま、気にせんといてください。カメラボディに装着した見た目やデザインなどレンズの雰囲気を感じ取ってもらえれば。Sony α7cにPetri cc auto 55mm f1.8を装着。ペトリマウントをライカMマウントに変換して、焦点工房のヘリコイドアダプターのライカMマウント→Sony E(NEX)マウントへ変換している。ペトリ→ライカMのマウントアダプターはmukで購入した。もう一つヤフオクで購入したものもあるが、オール樹脂製で、mukのマウントアダプターはボディ側のマウント接続部が金属製なので安心感がある。
ヘリコイドアダプターなしの実測値は256g、アダプター全て装着した総重量の実測値は344g。アダプターやレンズのモデルによっても多少変わるので参考までに。
ペトリ 栗林写真機械製作所とは
栗林写真機械製作所は、元々1907年(明治40年)に「栗林製作所」として創業し、1917年に「栗林写真機械製作所」に名称変更して写真機の製造を開始したカメラやレンズを製造販売する会社である。日本では小西六写真工業(現コニカミノルタ)に次ぐ写真機メーカーで、スプリングカメラや二眼レフカメラを製造し、「皆川商店」がブランド名「ファースト」で販売していた。戦後は皆川商店にOEM提供する事をやめた。1959年10月には「ペトリペンタ」で一眼レフカメラに参入し、1962年7月に「ペトリカメラ」に商号変更した。
1960年代には「ニコンのカメラと機能は一緒で価格は半値」と謳い非常に安価な製品を主力にした販売戦略でカメラレンズを販売したが、「カメラは高価な道楽品」という時代だった為、「安かろう悪かろう」というイメージが定着した。ペトリV6などに代表される独創的で斬新なデザインやメカニズムを持ち優れた性能を誇る一方、破格の安価なカメラだったが、「安かろう悪かろう」という商品イメージが拭えず、他社競合に負けていった。
さらに労働争議サボタージュにより生産ラインが遅滞し、1977年10月(昭和52年)に倒産した。その後労働組合(総評全国金属)が「ペトリ工業株式会社」として存続させ、最終モデルとなるペトリMF10を発表したが、MF10は旧式のスクリューマウントで電子化が遅れていた為か鳴かず飛ばずで売れなく、1980年代末のオートフォーカス(AF)カメラブームの渦中にカメラ業界から撤退した。しかし、現在も会社は現存していて、埼玉県北葛飾郡杉戸町で双眼鏡のOEM生産をしている。
PETRI C.C 55mm F1.8は開放値F1.8で撮影しても勝手にF2になる理由
PETRI 55mm F1.8は開放で撮影してもF2で写る。その理由を解説する。F2のレンズはF1.8のレンズをデチューンしてF2にしている。F2の前期型はf1.8でシャッターを切ると絞り連動機構が作動して自動的にF2に絞られる。ピントを合わせる時はf1.8だがシャッターを切るとf2になる。後期型はフレアカッターの様な薄い絞りプレートで口径を小さくし、F2にデチューンしている。この様に理由は不明だが、F1.8よりF2の方が手間やコストがかけられている。
ちなみにミラーレスカメラではF1.8で撮影可能だ。現代のミラーレスデジカメでは絞り連動させずに撮影すると前期型のF2レンズを開放F1.8として使うことが出来る。ややこしいが、一眼レフカメラで使用するとどちらも開放はF2になり、ミラーレスカメラで使用するとどちらも開放F1.8で撮影可能だ。
PETRI C.C 55mm F1.8のレンズ構成
シンプルな4群6枚構成。中でも最もクラシカルな部類に入る構成だ。一眼レフ用の標準レンズ設計はそのほとんどがテッサー型かガウス(ダブルガウス)型になる。F2を切るハイスピードレンズはほぼガウス型だ。そのためガウス型は無数に存在し設計もどんどん進化している。そのオリジナルは言うまでもなく1897年パウル・ルドルフのプラナーである。
PETRI C.C 55mm F1.8のスペック
- レンズ名:PETRI CC AUTO 55mm F1.8
- 製造年:1961年~(PETRI FLEX V セットレンズ)
- フィルター径:52mm or 55mm
- マウント:PETRIマウント
- 光学レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- 絞り値:最大F1.8~最小F16
- 最短撮影距離:0.6m
- 重量:実測値217g, アダプター込み256g
- 大きさ:全長52mm×最大径61mm
- 発売当時価格:14,400円
前期と後期の見分け方、レンズフィルター径の違いなどは下記の記事を参照。
1961年に発売された輸出専用機「PETRI FLEX V」のセットレンズとして用意された標準レンズ Petri Automatic 55mm/f2 (petri)
Petri cc auto 55mm f1.8の作例review
撮影機材はSony α7Ⅳ、レンズの素性を確認する為、jpeg撮って出し。
手持ちでピント面ややブレ、左右対称型の純粋なダブルガウス型に近いレンズ構成で繊細な写り。
どうしてもエモく写る。
エモい。剝がれかけた広告のビニール?の質感とか、この看板の歴史とか、設置してる時とか、この看板を見て導かれた人とか、そして、この看板自身の気持ちとか。
僅かな周辺減光がいい味。
全体的に看板や色彩のバランスが悪い蕎麦屋さん。もったいない。大通りから目立つように後付けで看板設置したのわかるが、アンバランスで金儲け第一主義が一番に出ちゃってる。新年通すなら一本ぶっとい信念の筋を通そうよ。玄関の暖簾の淡いエンジ色でいいじゃん。
静寂が写る。
絶対モノクロいいはず。今度モノクロ縛りで撮ろう。
ボケはやや硬く独特な味がある。
エモーショナル。写りだけ見ると間違いなく銘玉クラス。アンジェニュー?え?ペトリ?みたいな。
しっかり写るが嫌味がなくほんの僅かに足りない部分がある。それがいい。わざと半音ずらすテクニックみたいな。
人間ドラマ。
フィルムのようなザラザラ感がいい。
そう、ザラザラというか質感があるんだよペトリ。
物質を写すというか、分子を写すというか。
被写体を引き寄せるというか。ガラスに何か混ぜてる?パワーストーンじゃないが、鉱物には力がある。
うっすら滲みもある。あのね、くもりや経年のコーティング劣化、小キズやカビなど、レンズのダメージは味が出るんだよ。オールド(クラシック)レンズなんでしょ?当時のままマッサラならクラシックじゃないよね。経年劣化も写りのうちなんだよ。ここ勘違いしてる人が多くて残念。
このレンズは寄りもいいが、中間距離のエモさが爆発的。
あなたはライカですいか?いいえ、私はペトリです。30万円のズミクロンですか?いいえ3000円のペトリです。
いい。
このようにマクロ側もいいんだけどね。
このように。1、2段絞ってそう。でもボケが大きいな。昔のことなので忘れた。この絶妙な緩さがたまらん。
ライカMに変換してヘリコイド付きマクロアダプターを装着してるので寄っても遊べる。オールドレンズで遊ぶ上でマストだよ。
被写体を引き寄せる。パワーストーンにハマった時、石に呼ばれるという感覚あったが、レンズに呼ばれたり、レンズが被写体を呼ぶ感覚もある。
ピントリングが回る範囲が狭くスナップに向いている。100度位か。
あけぼのパン?フジパン?どっち?フジパンはあけぼのパンなのか?パンのいい匂いがした。
エモすぎ。
昭和感。
本物の昭和の爺。意味わからん。自分も昭和生まれだし。
モノクロで現像してみよう。
日本製のフランスベッド?
田舎料理田吾作は食べたい。熱燗で。
小平か。いいところだな。
焦点距離35か40mmのペトリないかな。スナップでブンブン振り回したい。Hexanon40/1.8をまた持ち出すか。
初めて行く地域はワクワクする。
うまそうな団子が売ってた。
つらいことはたくさんある。
焼肉の「材料」って…「焼き肉用肉」ってこと?なんか重複してない?要するに「肉屋」。材料って…。コンロとか売ってるのか?それは機材か。シャッター開けてくれ。窓の中にシャッターがあるんだが?スタミナキングってことはスタミナの王様か。焼き肉ってスタミナ効果?店主にインタビューしたい。多分ノリで生きてるから。
1駅歩いた。暑い夏の日だった。
試写後ペトリ菌とは何か考察
試写して帰宅後モニターで確認して感じたこと。ペトリ菌は確かにそこにある。表現するのは難しいが、写り過ぎなくていいものは写さずに、一般的に省かれているが本当は残した方がいい味を残していると感じる。写らないが写るというか、その場の波動や感情までもが写るというか。言葉に具現化するのは難しいが、写真がそう語ってくれていることが何よりの証拠だ。
ペトリのレンズはマウントがマイナーでアダプターが少ないこともあり中古価格は非常に安いが、写りは本物だ。国産オールドレンズの中では一番好きかもしれない。アングラで不遇だと応援したくなる欲目もあるのかな?ガウスレンズの開発に己の生涯を注いだ不遇のトロニエじゃないけど。
まとめ
エモいという表現がゴリっと当てはまるオールドレンズだ。評判通り写りはいい。写り過ぎない、写らな過ぎない、オールドレンズテイストも丁度いい塩梅でそこそこ軽くてそこそこ小さくて、値段は激安というコストパフォーマンス抜群のおすすめオールドレンズ。
問題はマウントアダプター。ペトリマウントのアダプターは、muk(エムユーケー)カメラサービスやebayで入手可能だ。マウントアダプターがマイナーという理由で1万円以下で購入可能なおすすめ高コスパのオールドレンズだ。
安過ぎる。数年後には値上がり必死。いや、そんなことはないだろう。Petri automatic 55m f2も購入したので試写したい。今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。