Summaron 35mm f2.8 レビュー作例 描写の特徴 ライカMマウント 銘玉オールドレンズ ドイツ製ズマロン
Summaron 35mm f2.8 レビュー作例 描写の特徴 ライカMマウント 銘玉オールドレンズ ドイツ製ズマロン
Summaron 35mm f2.8 Mとは ズマロン
ズマロン Summaron 35mm f2.8 Mは1958年のフォトキナでLeitz Canada製の8枚玉ズミクロン Summicron 35mm f2 8枚玉 Ver1と同時に発表された。ズミクロンはカナダで設計製造されて、ズマロンはドイツで設計製造された。
ランタン含有の光学ガラスと新設計によりf3.5からf2.8へ絞り1段分明るくなった。カナダ製も少数存在するが本数は不明のM3用眼鏡付きは最短撮影距離0.65mで、L39マウント用は最短撮影距離1m。
1960年ライツ社のカタログで以下のように紹介されている「この広角レンズは汎用性に富んでいて遠近感を強調した画質の良さが特徴。用途は建築、風景、産業、宣伝、報道写真などの撮影に適している。」
Summaron 35mm f2.8 Mのレンズ外観
パープル系のコーティング。前玉の径は8枚玉より少し小さい。素材は軽合金で軽量化。
外観は8枚玉とほぼ同じ。ロットによりフォントや素材、デザインなど若干違う。
35mmではライカ最後のWetzlar製。まぁ8枚玉も少数本ドイツ製があるが8枚玉は設計はカナダ。
やはり純ドイツ製は愛おしい。ウィルド買収後はポルトガルで製造してドイツで組み立てている。これは現在も一貫している。
最短撮影距離0.7mは嬉しい。ヘリコイドの操出量が6mmのマクロアダプターを装着すれば約23cmまで寄れる。
シルバー鏡胴かっこいいよね。真鍮製ではなく軽合金ね。レンズを鉄製と言ってる人いたけど鉄なんて使わないよ。錆びるし重いし加工しづらい。理想は真鍮ね。ちょっと重いけど。
Summaron 35mm f2.8 M スペック
- 製造メーカー:Ernst Leitz Wetzlar(Germany)
- 製造年:1958~1974年
- マウント:ライカM(L39はスペックが違う)
- レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- 画角:64度
- 最短撮影距離:0.7m
- フィルター径:E39
- 重量:135g(実測160g)
- フード:IROOA
- シリアルナンバー:1,548,000~2,700,000
- 製造本数:4万本以上
Summaron 35mm f2.8 M 作例と描写レビュー
いつも通りα7CII、ILCE-7CM2、クリエイティブルックはBWかNTでjpeg撮って出し。幸運にも太陽が出たり陰ったり雲が多く試写には最高の天気。
無限遠で撮影。f2.8の前ボケの緩さがたまらない。雲のディテールがエモい。
2段絞ってf5.6
f8
空と雲と鳥が好きだ。始祖鳥とはよく言ったもの。鳥は恐竜の生き残り。というかそのもの。最近は恐竜は爬虫類ではなく鳥類という事実のタブーが解禁された。
蝶。APS-Cクロップ。
日常。
ふと空を見上げる癖がある。同じ場所に立っていても「上、下、前、左、右、後ろ」と大雑把に6方向景色が違う。振り返ると別の景色がある。地べたに這いつくばればマクロの世界。被写体って無限にあるんだよ。気付いていないだけ。
大地と木が好きだ。地球。暗部潰れ気味だが粘っている。逆光気味で潰しにかかってシルエット狙ってるんだけどね。開放だよ。コントラスト高くないか?評判と逆だな。
木の湿り気がセクシー。コントラスト低めと言われているがコントラスト高い方だと思う。
何の変哲もない日常が最上級の幸福だと気付いたのはここ最近のこと。
なぜあの時こうしなかったのだろうといつも悔いているが、後になったから気付くんだよ。その時そうできなかったのはそれが実力。
ゴーストは発生しないが木漏れ日でシャワーゴースト発生して嬉しくて。ボケは素直。ある意味8枚玉より優秀。
座って草花マクロ撮影するの好きかも。これやると疲れるから試写終了の時が近い。
苔。発色はニュートラルで自然な色合い。大好きな夏がもうすぐ終わってしまうと早くも思う。
グルグルボケも抑制されている。クセ玉感なし。8枚玉の方がクセあり。
不安という言葉を知らなかった子供の頃。
狂ったように笑って遊んだ夏休み。童心に帰りたい。
バイバイ。
Summaron 35mm f2.8 M 描写の特徴
- 質感がいいが解像度は程々
- 四隅ザラザラでエモい
- 前ボケたまらん
- クセ玉感は少ないが感性による
- 虹ゴーストやグルグルボケは発生しない
- 柔らかく温かみがある
- 発色はニュートラルだが濃厚
- 前評判の写りと違う
- コントラストはやや高めで諧調はそこそこ
- 中央部の解像はそこそこで周辺は相当甘い
- パッと見地味だが味わいが深い玄人向けのオールドレンズ
- フィルム撮影して焼いて伸ばした時も素直についてくると評判がいい
Summaron 35mm f2.8 Mで初試写した感想review
初試写した感想は、戦後Mマウントのライカ全盛期の銘玉と言えどやはり個体差は激しく前評判と違う写りで驚いた。具体的には前評判はコントラストが低くトーンが豊富で甘い描写だったが、撮影してみると真逆だった。
開放の滲みも感じられなかった。個人的にはもう少し柔らかい描写の方が好みなので、また持ち出して写りの特徴を探ってみようと思う。本個体は発売初年度のモデルなのでその後のモデルはまた写りが違うのかもしれない。
過去に他で試写した時は開放で滲んだ。これ。
クモっていたからかな?多少滲む方が好み。
まとめ
時代が明るさを求めたのかSummaronはライカのカタログから姿を消した。しかし、赤ズマロン(28mm f5.6)が復刻されたように、オールドレンズSummaron 35mm f3.5も中古で安価ということもありライカファンから根強い人気がある。
とはいえ、本レンズ35mm f2.8は8枚玉の大きな陰に隠れがちだ。しかし実は、当時ズミクロンよりも製造本数が多くレンズ構成の変更もなく16年間売れ続けた。製造本数が多い為今はまだ20万円台で入手可能だがこの1年でもじわじわと価格が上昇している。
そう、本レンズは正真正銘Wetzlar工場で職人の手によって作られた本物のMade in Germany、Leitz最後の35mmなのだ。この事実に気付くと本レンズの価値がわかるだろう。買うなら今かもしれない。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。