フォクトレンダー SKOPARET 35mm F3.4 レビュー作例 広角オールドレンズ Skoparex違い新旧DKL
Voigtländer(フォクトレンダー)SKOPARET 35mm F3.4 レビュー作例 広角オールドレンズ Skoparex違い新旧DKL。結論から言うとSkoparetとSkoparexは別物でSkoparetは改造しないと一般的なデッケルマウントアダプターは装着できないが、Skoparexは通常通り装着できる。なぜこんなややこしいことになっているのか簡単にわかりやすく解説する。
SKOPARET 35mm F3.4 DKL オールドレンズ購入の経緯
筆者は本レンズはデッケルマウントに装着できると勘違いして購入した。Skoparexとスペルが違うとは気づいていた。今となってはヘリコイド付きマクロアダプターを装着していない為最短撮影距離1mと広角なのに全然寄れないが、つい寄りたくなる筆者にとっては1mという距離も強制的なレンズの味だと思うようにした。いつもと違う作例が撮れるのではないかとポジティブに捉えてみた。
SKOPARET 35mm F3.4 DKLとSKOPAREXとの違い オールドレンズ
Skoparet35mm/f3.4は1956年~1959年にかけて製造された。レンズ構成はRetrofocus(レトロフォーカス)型の準広角オールドレンズ。レンジファインダーカメラVitessa-T用の交換レンズで旧式デッケルマウント。
1959年にフォクトレンダー初の一眼レフカメラBessamaticの登場に伴いDekkelマウントが旧型から新型へマイナーチェンジされた。新旧のデッケルマウントは互換性がない。このタイミングでレンズ名はSkoparexに変更された。
新旧のデッケルマウントは互換性がない。よって、ユーザーの混乱を防ぐ為にレンズ名末尾文字を変更したと推測される。ちなみにSkoparexになってから1960年~1969年の約10年間で6万本以上製造され、その間何度かマイナーチェンジを繰り返した。最短撮影距離は1mだったが後期モデルは0.4mに短縮された。
旧Vitessa-Tから新Bessamaticの販売に伴いレンズ名も変更された
- Skoparet→Skoparex
- Dynaret→Dynarex
- Color Skopar→Color Skoparx
SKOPARET 35mm F3.4 DKLのレンズ構成はTessarベースのRetrofocus型
Skoparet35mmf3.4のレンズ構成は5群6枚レトロフォーカス型で写真用で世界初のレトロフォーカス型レンズであるP.Angenieux Retrofocus 35mm f2.5 Type R1のレンズ構成とほぼ同一。Tessarベースのレトロフォーカス型だ。
フォクトレンダーのTessar型標準レンズSkopar50mm/f3.5(1949年)から派生したレンズがSkoparon35mm/f3.5(1954年)で、そこから派生したのがSkoparet35mm/f3.4(1956年)と推測される。その理由は、レトロフォーカス型特有の後群から大きく離した前群の大きな凹レンズ以外のレンズ構成が似ているからだ。
つまり、レトロフォーカス型Skoparet35mm/f3.4の直接の祖先はレトロフォーカス型Skoparon35mm/f3.5で、その祖先はテッサー型のSkopar50mm/f3.5だ。そう、Skoparetのレンズ構成はテッサー型のレトロフォーカスなのだ。
レトロフォーカス型には本レンズのようにテッサーベースのものやクセノタールベース、トリプレットベースなど様々。
SKOPARET 35mm F3.4 DKL オールドレンズはなぜ最短撮影距離が1mと長いのか
SKOPARET 35mm F3.4は準広角オールドレンズなのに、なぜ最短撮影距離が1mと長いのか。デッケルマウントレンズの最短撮影距離が長い理由は、KodakのデッケルマウントのレンジファインダーカメラretinaⅢSが1958年に先行販売されていて、それに対抗する為にフォクトレンダーも新型のレンジファインダーカメラを設計していた。
それに合わせて自社でデッケルマウントのレンズを製造していたので1m最短と長い最短撮影距離でレンズを設計していた。しかし、時代はレンジファインダーカメラから一眼レフカメラへと移行した。こうして、結局フォクトレンダーの新型レンジファインダーカメラは実現しなかった。
Voigtländer SKOPARET35mmF3.4 DKL オールドレンズの外観レビュー
小さくてかわいいと思うじゃん?
フランジバックが長いからマウントアダプターがでかい…。デッケルマウントオールドレンズの宿命。
SKOPARET 35mm F3.4 DKL オールドレンズの作例レビュー
SKOPARET 35mm F3.4の作例を紹介する。撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7c、jpeg撮って出し。
お堅くよく写る。テッサーベースのレトロフォーカス型準広角オールドレンズの味わい。
モノクロかっこいい。筆者は8割方50mm付近の標準レンズで撮影するので35mmはかなり広く感じる。
しっとりとした湿度と木造建築物の木の質感が伝わってくる。曇り空だがほのかにフレアがかっているように見える。
モノクロがハマる。
写りが硬派でかっこいい。
準広角ならではの構図。
写真は自分の目線の癖が出る。感性を刺激する被写体を切り取るだけ。試写目的のレンズティスティングはまた少し違うが。
35mmなのでボケは硬めだが自然にボケて玉ボケも小さいが出現する。
発色も良好。
ハイライトに滲みがある。いいぞ。
モノクロがハマる。
ピント面はシャープ。
立体的。小さい玉ボケが美しい。
被写体が立体的に浮かび上がる特徴がある。
半年以上前に撮影した作例でボディ内プリセット(α7cはクリエイティブスタイル)を頻繁に変更しているようだ。これはNT。発色がかなり淡い。
なめくじさん。これ以上寄れなくて残念だった記憶が蘇る。ヘリコイド付きマクロアダプターが装着でれきれば。
木々を下から煽る構図は好き。というかカメラを持っていなくても自分が木々を下から見上げるのが好きなだけ。
広角だから玉ボケは小さいが、輪郭がくっきりしていてバブルボケと呼べるクオリティのシャボン玉ボケが発生した。
緑が美しかった。
道端に咲く雑草的な草花も美しい。
Voigtländer SKOPARET35mmF3.4の写りの特徴の感想レビュー
- コクとテリがあって現行レンズに負けない程の高描写
- 開放値に無理がない設計なのであっけない程よく写る
- 発色も自然
- フレアがかった描写
- ハイライトが滲む
- モノクロで映える
- 正統派の広角オールドレンズ
- むやみにシャドウの奥の奥まで描かず自然な描写
- シャドウの潰れが気になる場合はボディ内設定で+1か+2に設定しておくといい
まとめ
Voigtländer Skoparet 35mm f3.4の写りはよかった。硬派な写りでかっこいいモノクロの写真が撮れる広角オールドレンズだ。本末転倒で元も子もないがSKOPARETを買うなら通常のデッケルマウントのSkoparexを購入してヘリコイド付きマクロアダプターを装着した方がいいと思う。
ただ、最短撮影距離1mと寄れない分いつもと違うスタイルでスナップ撮影できたことは収穫だった。知らないうちについたクセの矯正というか。中間距離で被写体を探すクセを付けるというか。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。