KONICA HEXANON AR 40mm F1.8 レビュー作例 コニカヘキサノンの銘玉
KONICA HEXANON AR 40mm F1.8 レビュー作例 コニカヘキサノンの銘玉。
HEXANON AR 40mm F1.8とは
KONICA HEXANON AR 40mm F1.8 はARマウントを採用した一眼レフカメラ「Konica FS-1」の交換レンズとして1979年に登場した。女性設計者である下倉氏の特許資料によると開発当時のレンジファインダー機界隈で「コンパクトで明るい準広角レンズがスナップ用に使いやすい」とブームだったので、一眼レフカメラでも同様のレンズを開発したいという想いから当レンズの設計に取り組んだようだ。
しかし、様々な問題があった。一眼レフカメラにはミラーの可動域があるためバックフォーカスを長く保つ必要がある。レンズ構成をレトロフォーカス型にすることで広角レンズは設計可能だが、レンズの全長が長くなり前玉が巨大になるためコンパクトな広角レンズの設計は不可能となる。
また、F1.8程度の明るさを確保するために前群側の屈折力の不足を後群側で補うが、サジタル像面の補正が困難になり背後のボケが乱れてしまう。このように一眼レフカメラ用のパンケーキ準広角レンズの設計は困難を極めたが、下倉氏はレンズ構成をウルトロン型のシンプルな6枚構成にすることで本レンズの開発に成功した。本レンズは当時のニコンの設計者からも大絶賛された。
オールドレンズとしてのHexanon AR 40mm F1.8はレンズがくもっている個体が多い。光学がすっきりとクリアーな状態の個体を探すのは至難の業だろう。レンズを分解清掃するか、多少の薄くもりなら表現の一つとして昇華するか、筆者が所有している個体も多少のクモリはあったが軽度で価格もそこそこ安かったので容認した。
また出会いがあれば光学がすっきりとした個体を入手したいが上記の作例の通りスナップ撮影を楽しむ分には何の問題もない。むしろ時折淡いベールがかかったように見えるのがクモリの影響だとしたら大歓迎である。レタッチいらずでエモい描写となる。全てではないがオールドレンズは同一の個体でも個性があるのでそこが面白い。
HEXANON AR 40mm F1.8のレンズ外観レビュー
HEXANON AR 40mm F1.8 の外観の撮影機材はカメラがSony α7CでレンズはKonica Hexanon AR 35mm F2.8。コニカAR→ライカMに変換するアダプターを装着、ライカM→NEX(Sony Eマウント)に変換するヘリコイド付きアダプターを装着、カメラボディに装着。
正面から。
上から。アダプター装着しているのでパンケーキの良さは消えてる(笑)
レンズのみだとこのサイズ感。うん、パンケーキ。
アダプターを2段重ねしたものとレンズ本体のサイズ感はそんなに変わらない。
HEXANON AR 40mm F1.8のレンズ構成
ヘキサノンAR40mmF1.8のレンズ構成は5群6枚ウルトロン型。
一見4群6枚ダブルガウス型に見えるが、上記画像の転用元でもある「出品者のひとりごと・・」によるとウルトロン型とのこと。2群目の張り合わせを剥がして空間を作り空気レンズを採用しているように見える。
前群はヤシカコンタックスのPlanar T* 50mm F1.4で、後群はCarl ZeissのPlanar 50mm F2のようだ。すごい発想ですごい贅沢ですごいオリジナルなのか?ちなみにウルトロン型とはフォクトレンダーの標準レンズに採用された伝統的レンズ構成で、現在のコシナフォクトレンダーでもウルトロン型のレンズは販売されている。ウルトロン型とは変形ダブルガウス型のレンズ構成に両面非球面レンズ(最後部の1枚)と超高屈折率ガラスを組み合わせた5群6枚構成のレンズ構成らしい。
構成としてはダブルガウス型で独自にダブルガウスを変形させたレンズ構成をウルトロン型と呼んでいるということ。ダブルガウス型を元に変形させたレンズは星の数あるので、全て独自と言えば独自だしダブルガウスと言えばダブルガウス。
話を戻して、前群はヤシカコンタックスのPlanar T* 50mm F1.4で、後群はCarl ZeissのPlanar 50mm F2のようだ。について。
Planar T* 50mm F1.4 レンズ構成図
3枚目のレンズの屈折率や形は違うが構成は似ている。この後群の最後尾の1枚を抜くだけでもかなり似ているし、例えばこの前群と、
Planar 50mm F2 レンズ構成図
この後群の組み合わせというか。こちらを元に2群目の貼り合わせを剥がして空気間を作ってそこから微調整を行っていった感じの発想かなと。
画像転用元:http://www5e.biglobe.ne.jp/~clenssic/lenspuranarkousei.html
もう一度 Hexanon AR 40mm F1.8 レンズ構成図。
ウルトロン型はトルニエが設計してプラナー(ダブルガウス)の原型にもなっているからウルトロン型とも言えるしダブルガウス型とも言える。そもそも左右対称を崩している時点で筆者はダブルガウスではないと思っているし、その型の名称や括りは人間が決めていることなので定義は曖昧だし人によって主張が違ったりするので正解はあるようでない。
Konica Hexanon AR 40mm f1.8の作例Review
撮影機材はα7Ⅳ。レンズの素性を確認する為、基本jpeg撮って出し。
茅葺屋根に感銘を受けた。寺院まるごと生きてる。若干の周辺減光がレトロな雰囲気を後押しする。
玉ボケは発生しやすい。出そうと思えば環境によりもっと大きい玉ボケも出る。
この空気感。写真と絵画の中間みたいな不思議な臨場感。
妖気や霊魂や神様まで写していそうな臨場感。不思議な描写。
木の力。数千年の樹木とかもはや神そのもの。これはシャドウ持ち上げてもよかった。
彼岸花(曼珠沙華)。彼岸花の根っこに毒性がある為彼岸花の周辺にはモグラが生息しないらしい。しかし、根っこは毒抜きすれば食べられる。彼岸花の色によって味が違うらしい。食べてみたい。
咲き掛けの曼珠沙華が美しかった。ボケもまぁまぁ。
咲いてる彼岸花と咲く直前の彼岸花。このレンズいくらだと思います?ダンナ。数千円ですぜ。しかもパンケーキ。まぁ遊べるレンズ。とは言ってもコニカARマウントをライカMに変換してからM→NEXのヘリコイドアダプターを装着してからボディに装着しているのでそこそこのサイズとそこそこの重量になるが。
後ボケとろける。2段程絞ってるかも。玉ボケがカクついてる。
上記とこちらが確かヘリコイドもマクロ端。開放でマクロ端だとエモいを通り越してエグい雰囲気が出る。
曼珠沙華が咲いてる時に撮れてよかった。ありがとう。かわいい。楽しそう。気持ちよさそう。咲いてくれてありがとう。
稲。美しい。もうすぐ新米として収穫されるのね、さようなら、そして命を頂きます。お米大好き日本人。いつもありがとう。
ベンチの隙間から咲いていた草。かわいい。
何でも目についた被写体を撮りたくなる。
ただの葉っぱも美しい。
葉脈にピントを合わせた。マクロ端かな?一枚の葉でボケ感の表現ができる。あぁ、マクロレンズでスナップしたい。
名前も知らない草花。
…に寄る。
多分朝顔。小さい。鉄柵の錆びて剥がれかけた時間軸と今朝咲いたのか朝顔のかわいらしさの見た目と時間軸のギャップを狙ってみた。柔らかい雰囲気。このレンズは多少クモリがあるが優しいふんわりとした雰囲気になることもあるので試写して大画面で拡大して見て、その写りがいいと思えばクモっていてもバル切れやキズがあってもいいと思う。筆者はカビは避けてるが、カビもゴーストや全体的に薄いベールがかかった写りになることを知ってから「カビレンズはズルい飛び道具」だと認識した。ちなみにわざとレンズにカビを培養している変態カメラマンもいる。
木漏れ日は簡単に玉ボケになる。焦点距離40mmだけど光源によってはバブルっぽい感じになるかも。
マクロ端。いかに花を美しく撮るかというのは永遠のテーマ。道端に咲く雑草的な草花とか結構好き。地球の一部な感じがして。
作例は以上。
Konica Hexanon AR 40mm F1.8で実写した感想レビューと写りの特徴
写りの特徴は、不思議な立体感と異世界的な雰囲気、淡い発色と繊細なタッチ、開放の滲み、バブルボケっぽい玉ボケ、ヘリコイドアダプターでマクロ端で撮影するとボケが大きくとろける、水彩画っぽい描写、なんせエモい。
神聖な場所の気や温度や湿度というかマイナスイオンや見えない力みたいな第六感的感覚や臨場感まで写ってしまった写真もある。他のレンズだとどう写るか。ヘキサノン ARシリーズは総じて淡い発色でタッチが優しくノスタルジックでエモい描き方をするので筆者の好み。しかも安い、軽い、小さい。おすすめ。
まとめ
KONICA HEXANON AR 40mm F1.8はコスパに優れた隠れた銘玉。安いというところが評価を下げているのか、筆者はヘキサノンAR大好き人間なので期待はしていたが思ったよりエモい写りとその描写力に驚いた。
いつものごとく購入後まだ2回しか持ち出していないので頻繁に持ち出したい。もっと毎日カメラを持ち歩いて撮影したいが、そもそもレンズをネットや書籍を読んで調べて買って試写して帰宅して大画面で写りを見て良さそうな写真をセレクトしたら結構満足しちゃうのだ、困ったことに。
今後はレンタルでレンズ試写しようかな。レビューしたら売ればいいのか。でも手放したくないんだ。今回レビューしたオールドレンズで使えるパンケーキ「Hexanon AR 40mm F1.8」は軽く小さくハンドリングがよくスナップに使いやすい40mmという焦点距離で安いのでおすすめだ。
国産オールドレンズでコストパフォーマンスの高いレンズを探している人は本レンズを選択肢の候補に挙げてもいいだろう。今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。