Hexanon AR 57mm F1.4 Review作例 KonicaヘキサノンARマウントの銘玉オールドレンズ
KONICA Hexanon AR 57mm F1.4はコニカヘキサノンARマウントの銘玉オールドレンズ。中古2万円~と安い価格で入手可能なのでハイレベルな写りの割にコスパは非常に高い。個人的にHexanon AR 57mm f1.2よりも好きかもしれない。銘玉という言葉は簡単に使うものではないが、F1.4の大口径ウルトロン型6枚玉でこの写りで中古価格2万円台で入手可能というコスパの高さを考えるとオールドレンズの入門用にも中上級者にもおすすめだし銘玉と呼ばれる日も近いと思う。その理由も解説していく。
Hexanon AR 57mm f1.4のレンズ構成は世界の名だたる銘玉と同一
ヘキサノンAR57/1.4のレンズ構成はアンジェニュー50/1.5やノクチルックス50/1.2と同じくガウス型の6枚玉だ。
KONICA Hexanon AR 57mm F1.4 のレンズ構成は5群6枚の拡張ダブルガウス型だ。ガウス型大口径の6枚玉には銘玉が多い。簡単に本レンズの誕生秘話も合わせて紹介する。Hexanon AR 57mm F1.4は1965年12月に歳末商戦の目玉として発売されたKONICAの新型一眼レフカメラAutorexに搭載する交換レンズとして登場した。このモデルから先代のKONICA Fマウントに代わり新規格のKONICA ARマウントを採用している。
現在価格が高騰しているAngenieux S21 50mm F1.5やLeica Noctilux 50mm F1.2もダブルガウス型の6枚玉で、これは大口径レンズとしては非常に稀である。大口径のガウス型レンズは通常7枚構成が多い。1936年から14年間で僅か6200本しか生産されなかったSchneider Xenon 50mm F1.5や、1948年に登場したDallmeyer SuperSix 2inch f1.9、1950年Voigtländer Ultron 50mm F2などの銘玉もダブルガウス型の6枚玉だ。
どのレンズもそれぞれ個性溢れる魅力的な写りでファンも多い。今回取り上げるオールドレンズKONICA Hexanon AR 57mm F1.4は希少な国産レンズ大口径の6枚玉である。本レンズが発売された1960年はレンズ光学の生産技術が発展途上だった為、各社共に試行錯誤しながら様々なレンズ構成を試して模索していた。その渦中、コニカの技術者たちは大口径F1.4という明るさを6枚のレンズ構成で実現したレンズがヘキサノンAR57mmF1.4だ。
その後の6枚玉のF1.4クラスの明るい大口径レンズが作られることはなかった。故に本レンズは大口径F1.4という明るさで6枚玉の最後のレンズ。歴史に淘汰されてしまったレンズ構成だが、その写りは非常に魅力的だ。
ヘキサノン57/1.4はレンズ構成5群6枚の2群目を分割して空気間隔を意図的に作り出した「空気レンズ(Luft Linsen)」を採用している。これはLeicaの初代Summicron 50mm f2やシュナイダーのXenon 50mm F1.5やフォクトレンダーのUltron 50mm F2と同じレンズ構成だ。
空気間隔を作り屈折する面を増やすことで収差補正できる自由度を高めることができる。コーティング技術の進歩により屈折面を増やしても反射によるコントラスト低下が防げるようになった。
初代Summicron 50mm F2はSummitarの1群目の接合面を剥がした空気レンズを初めて採用し、その写りは一世を風靡した。初代ズミクロンはレンズコーティング技術の進歩の恩恵を初めて受けたレンズである。
当時は空気との境界面が少ない方が内面反射が少なくコントラストの高い描写になる為、接合面を多くする必要があった。現にSonnar 50mm F1.5は接合面が4面もある。レンズ貼り合わせのデメリットとして、接合面を増やすと貼り合わせ面のレンズ曲率を等しくする必要がある為、収差補正の自由度が少なくなることだ。
参考文献:CAMERA fan オールドレンズ・ポートレート 上野由日路
KONICA Hexanon AR 57mm F1.4の作例Review
撮影機材カメラはSony α7Ⅳ、レンズの素性を探る為ボディ内設定のクリエイティブルックは基本NTで基本jpeg撮って出し。
クリエイティブルックは多分SH。ボケが美しい。
NTかな。絵画。若干ピント面の結合が甘いように見えるのはピンボケが手振れか天然か。マクロ側でもボケのまどろみが美しい。
多分クリエイティブルックはSHだと思う。明るく明瞭度も高いように見えるから。
NT。写りにすごみがある。
自らの意思で朝トレかな。野球少年、背番号1の自覚か。かっこいい。ケガなく楽しんでね。試合開始の「Play Ball」は「ボールで遊ぼう」って意味だよ。気楽にね。
線が細く繊細で淡い発色。これぞヘキサノンの真髄。
敢えてシャドウ持ち上げず。jpeg撮影だがシャドウ上げたらシャドウの奥が見えたが、シャドウがストンと落ちて、シャドウが潰れそうな(ほぼ潰れてる)感じがたまらない。かっこいい。臨場感がすごい。
カラーだとこうなる。カラーもいいがモノクロの表現かっこいいぞこのレンズ。
無難な感じ。青もみじが美しい。静けさが伝わってくる。SEPTONの「音まで写す」と言われる表現がわかる気がした。
接写、ピント面とボケの絶妙な表現のバランスが秀逸。銘玉だやはり。筆者お気に入りレンズの仲間入り。
下記はSHだと思う。被写界深度の浅さが見える。そしてボケが大きい。
絵画。
玉ボケがいい感じ。
寄ってよし離れてよし、カラーよしモノクロよし、前ボケよし後ボケよし、完璧じゃないか。
画になる。
皆日常がある。実はなんでもない日常が一番幸せ。そう、今、この瞬間を大切にしよう。最高に幸せなんだよ、今。毎日。
一切衆生悉有仏性。生けとし生けるもの全て生まれながらにして仏になりえる。
茅葺き屋根が生きていた。そこで生命が生活していた。屋根自体生きていた。当然と言えば当然だが驚いた。
レンズが泣いている。
時が止まる。
何を想いどう生きる?答えは自分の中にある。
急ぐのをやめて心穏やかかに精神を静かにして深呼吸。邪念を捨てて自分の心の声に耳を澄ましてみよう。何て言ってる?
神様は自分の中にいる。
作例は以上。
Hexanon AR 57mm F1.4で実写した感想レビュー
Hexanon AR 57mm/f1.4はヘキサノンの銘玉だ。マクロ域のボケが盛大に上品に大きく極上にとろける。クセ玉としてカテゴライズできない銘玉級の上品さと繊細さと引き出しの懐の深さがある。
この様な描写を見るとやはり当時のKonicaが開発していたHexanon ARマウントシリーズがどれだけこだわりを持って設計していたかがわかる。単によく写るレンズではなく、写真が芸術ならレンズの設計も芸術だと言わんばかりのレンズ製作意欲をひしひしと感じる。
こうして当時のレンズ設計者たちの姿を想像して想いを馳せる。これがオールドレンズの楽しみ方の真髄ではないかと思う。
写りの特徴は、開放で滲みがあり線が細く繊細、レトロでノスタルジックな雰囲気、最近でいうエモい写真が撮れる。立体感があり発色は優しく独特な空気感がある。F4.5位に絞るときっちりシャープネス。
試写でレンズの素性を確認する目的の為、Sony α7Ⅳのクリエイティブルックはいつも通りNTでjpeg撮って出しが中心だが、フィルムライクのFLが意外とハマった。ボケはヘリコイドアダプター装着してマクロ端で背景の距離が遠くなるとボケはとろける。
花などをマクロ端で撮影すると油絵を塗りたくったような絵画的描写を見せる。状況によりなだらかで美しいボケの時もあればストンと大きくボケたり、とろけたり、異空間のように怪しくボケたり、周辺はざわついたり様々な表情を見せる。
当時レンズを設計した本来の性能を超えたマクロ域でも素晴らしいボケの表現で感動した。持ち出した時の天気は曇りだったが晴天時にどんなゴーストが発生するか試したい。他の個体でも曇り時でも絞った時は画面を覆うようなフレアーが発生した。
周辺もピントが合えば開放でも結合するがアウトフォーカスはすぐ滲む。中距離~テレ端で周辺が自然にざわつくボケも好き。モノクロもかなりいい雰囲気が出る。やはり4群6枚のダブルガウスは良い。
筆者は2022年に都内の某中古カメラ屋にて状態のいい個体を2.1万円で購入したが、コスパ優秀でかなりいい買い物をしたと思っている。
まとめ
いつも通りまだ1回しか持ち出していないので、このレンズをまた外に連れ出して一緒にお出かけしたいと思った。ヘキサノンARは40mm/f1.8や35mm/f2.8、28mm/f3.5などもいいレンズだ。
大口径ヘキサノンAR57mm F1.2AEも所有しているので持ち出したいが、F1.4はF1.2より一回り小さく軽くハンドリングしやすいF1.4を選びたくなる。気軽にスナップする時にも重宝する。f1.4やf1.5クラスは重量とボケの大きさと価格のバランスがよく、f2やf1.8と並びねらい目のスペックだ。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。