PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATING Review作例 クセ玉広角オールドレンズ
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGのReview作例 クセ玉広角オールドレンズ。ペンタコン29mm/f2.8はオールドレンズらしいあらゆる残存収差が残った遊べる広角オールドレンズだ。写りの特徴はシャボン玉バブルボケ、紫や赤色のフレアゴースト、開放はピント面が甘くハイライトが滲む、グルグルボケなどオールドレンズらしい収差が盛りだくさん。しかも1万円以下とコスパが高く個体数も多いので入手しやすい。
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGのレンズ外観
200gちょいで手乗り文鳥くらい小さいがガラスがしっかり詰まってる感じ。
筆者が所有している個体は最後期のモデルでプラスチック鏡胴、マルチコーティングが施され、絞り羽根はL字右回りのMeyer製の形状ではなく、円弧左回りのPentaconの形状が採用されている。
ペンタコン(Pentacon)とは
ペンタコン(PENTACON)とは、第二次世界大戦に誕生したカールツァイスのペンタリズムを継承するContax(コンタックス)という意味でペンタコンと名付けられたドイツの光学系企業。ペンタリズムとは、一眼レフカメラのファインダーに用いられる5角柱形で7面体の五角形(Pentagon)プリズム。別の言い方をすると、PentaconはCarl Zeiss(カールツァイス)とMeyer Optik Gorlitz(メイヤーオプティックゲルリッツ)のイズムを継承する戦前から続く老舗レンズ製造メーカー。
第二次世界大戦後にドイツが東西に分裂されてツァイス・イコン(Zeiss Icon)が分裂した際、東西ツァイス間で商標に関して争いがあり、訴訟の結果西ドイツのツァイス・イコンは東ドイツで従来のツァイスイコンという商標を使用できなくなり、同様に東ドイツのツァイス・イコンも西ドイツ側で旧来のツァイスイコンというブランド名を使用できなくなった。これにより東ドイツのツァイス・イコンで製造が始まっていた一眼レフカメラのコンタックス(CONTAX)は西側では「ペンタプリズムを持つコンタックス」という意味を持つ「ペンタコン」ブランドとして販売されるようになった。
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGの中身はMeyerのOrestegon
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGの前身はMeyer-Optik GörlitzのOrestegon 29mm/f2.8。ペンタコン29/2.8の前期型はオレステゴン29/2.8と光学設計が全く一緒。筆者が所有している個体は後期なので光学の変更がされている。Pentacon29mmF2.8は被写界深度が深くピントが合う範囲が広い為スナップショットに向いている。ピントが甘くグズグズ、スマホ以下など言いたい放題の方もいるが、ある意味実際にその通りで開放でピント面の結像が甘いし周辺部の像も流れる。でもそれがいい。その他残存収差満載で広角でクセ玉という希少性の高さからの1万円以下というコスパが超高い超おすすめ神オールドレンズといえる。
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGのモデルのバリエーション
ペンタコン29mmF2.8にはバリエーションがあり光学設計も多少変更されている。筆者が所有しているレンズはマルチコーティングが施されている後期のⅡ型だ。詳しくは出品者のひとりごと・・に詳しく掲載されている。
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGのスペック
- 製造メーカー:PENTACON
- 発売年月:1969年~1975年
- マウント:M42
- レンズ構成:7群7枚レトロフォーカス型
- 最短撮影距離:0.25m
- 絞り羽根枚数:6枚
- 絞り値:最大開放F2.8~最小F16
- 最大撮影倍率:不明
- フィルター径:55㎜
- 最大径×長さ:75.8mm×52.5mm
- 重量:217g
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGの作例
撮影機材はSonyα7Ⅳで焦点工房のヘリコイド付きマクロアダプターを装着今回もレンズの素性を確認する為jpeg撮って出し未加工。
マクロ端で白つつじの花の先の水滴にピントを合わせた。深夜の公園酔っ払いながら手持ち撮影の為シャッタースピードが稼げず多少ブレたらエグい写真が撮れた。
同じく白ツツジ。ペンタコンは普及価格帯のレンズを得意とするレンズメーカーだが写りはクセ玉としての意味で極上。
巷で本レンズはバブルボケが出るという噂だが、事実広角レンズにしては大きく輪郭がはっきりした玉ボケが大量発生する。シャボン玉バブルボケが得意なMeyer-Optik Gorlitz製ということを考慮すれば納得。
ネットで本レンズをググると「バブルボケ」というキーワードが出現。玉ボケの輪郭が滲むのはシャッタースピードが足りず酔っ払いで手振れの影響かと。
周辺の玉ボケはレモン型になるが形が美しい。レモン型がいけないのではない。美しいレモン型ならそれでいい。実はグルグルボケが発生するの周辺はレモン型になって特に四隅の玉ボケはレモン型を保ったまま流れる。
で、昼間曇りの日に撮影した作例を見つけたので追加でアップする。
木漏れ日で玉ボケを狙う。中央部は真円に近く周辺はきれいなレモン型。バブルボケとは呼べないが広角でもこれだけきれいな玉ボケが出るオールドレンズは貴重だ。周辺部がグルグルボケとなり玉ボケがレモン型を保ったまま流れているのがわかる。
やはりグルグルボケの兆候あり。広角でグルグルボケが出るオールドレンズは貴重なので広角オールドレンズを選ぶ時の動機付けになる。
f5.6付近まで絞ると紫や赤のゴースト出現。Pentacon 29mm f2.8は広角のクセ玉だ。しかも1万円以下で個体数も多くて選び放題だと?面白いじゃないか。
開放でピント面甘い。周辺も流れる。広角でも完全にクセ玉はさすがMeyer(Pentacon)。
玉ボケ。シャボン玉バブルボケとまではいかないが29mmという広角で木漏れ日でこれだけきれいな玉ボケが出れば上等も上等。
前ボケを取り入れた作例。前ボケもいい感じ開放はピント面が甘くハイライトが滲む。周辺部はグルグルボケにつられてレモン型になり流れる。広角で使えるクセ玉オールドレンズとして以後お見知りおきを。
寄っても周辺部の結像が甘い。いいぞ、この緩い描写でエモさ爆発のクセ玉感。
PENTACON auto 29mm F2.8 MULTI COATINGの写りの特徴感想レビュー
- 美しい玉ボケ
- 絞った時に出現する紫や赤色のフレアゴースト
- ハイライトの滲み
- グルグルボケ
- 周辺の結像が甘くざわつく収差
- Meyerが製造していたというテンション
広角で被写界深度が深いので被写体に寄れるしヘリコイドアダプターを装着すればさらにマクロ級に寄った撮影が可能。Meyer独特の妖艶な雰囲気の不思議な写真が撮れる。現行オールドレンズ問わず広角レンズは値段が高い傾向にあるが、本レンズは1万円前後で入手可能。クセ玉の広角オールドレンズが1本欲しい方には非常におすすめの1本。
まとめ
Pentacon auto 29mm F2.8 MCは高描写だが、虹ゴーストや絞っても紫ゴースト、バブルボケや滲みなどのオールドレンズらしい収差が満載でクセ玉という広角オールドレンズで貴重な存在だ。しかも中古で1万円未満と安く入手でき、小型軽量でマウントはM42と汎用性が高い。以上の理由から広角オールドレンズとして自信を持っておすすめできる。
今回は以上。今日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。