Kern-Switar 50mm f1.8 AR ALPA Review作例 おすすめ神オールドレンズ銘玉
Kern-Switar 50mm f1.8 AR ALPA Review作例 おすすめ神オールドレンズ銘玉。ARは1次色収差補正型アポクロマートの意味。マクロスイターは操作性を犠牲にして最短撮影距離を縮めたが、こちらのスイターは最短撮影距離を無理せずに操作性を優先した。滲みはマクロスイターの方が多い。どちらを選ぶかはあなた次第。
シネマレンズ専門Kern社唯一のスチル用オールドレンズがALPA Switar
ALPAは自社製レンズは作らず各国の優秀なレンズメーカーに生産を依頼していた。セレクトしたレンズはアルパ特有で、アルパ専用のレンズもあり世界中のファンを魅了し続けてきた。
Kern社はスイスのムービーカメラ専用のレンズメーカーで、唯一のスチル用カメラがALPA用Switar。アルパの最大の魅力はこのKern Switarと言っても過言ではない程優れた性能を誇るレンズ。
1次色収差補正型のアポクロマートでコストを度外視した非常に贅沢なレンズ。KernはスイスのムービーカメラBolex(ボレックス)の設計者Jacques Bogopolsky(ジャック・ボゴポルスキー)(またはBolsky、Boolsky(ボルスキー)とも呼ばれる)が設計した。
そのボレックスの設計者ボルスキーがALPAのカメラも設計したので、KernはALPAにのみスチル用レンズを供給したと考えられている。
ALPA用Kern Switarオールドレンズ世代モデル比較
初代Kern Switar 50mm f1.8 AR
- 初代 Kern Switar 50mm f1.8 AR
- 1951~1955年
- 1526本製造
- 5群7枚ダブルガウス型
- アポクロマート
- 最小絞り値f22
- 最短撮影距離53.5cm
- 絞り羽根15枚
- フィルターA
- 全長45mm
- 重量140g
- 第二世代アルネア用に供給され、初期のアルネアに一番似合うレンズ
2代目Kern Switar 50mm f1.8 AR(Auto)
これが本レンズ。
- Switar 50mm f1.8 AR(Auto)
- 1955~1966年
- シャッターボタンに連動する外部連動自動絞りに変更されたモデル
- 5785本
- 5群7枚ダブルガウス型
- アポクロマート
- 最短撮影距離53.5cm
- 絞り羽根9枚
- フィルターA
- 全長43mm
- 重量170g
- アルネア後期からb、6c、9dまでの標準レンズとしてMacro Switarと共に供給された
3代目Kern Macro Switar 50mm f1.8 AR
- Macro Switar 50mm f1.8 AR
- 1958~1969年
- 10329本製造(うち黒仕上げ1146本、青仕上げ10本)
- 最短撮影距離28.5cm(1/3マクロ)
- 5群7枚ダブルガウス型
- アポクロマート
- 全長47mm
- 重量280g
- フィルターB
- 外部連動自動絞り
- シャッターボタン先にAutoとManual切り替えダイヤルあり(セルフタイマー時に有効)
- Visfocus(Kern独自の自動焦点深度表示装置)採用
- b~10dまでの標準レンズ
- 解像力と性能がずば抜けていた為ALPAの名声を一気に高めた
Kern Switar 50mm f1.8 AR(Auto)オールドレンズ外観Review
高級時計で有名なスイスというお国柄もあってか絞り羽根やピントリングの動作は高級時計のようだ。
シルバーの外観もかっこいい。マウントアダプターとデザインも合っている。
マウントアダプター込みで重量は281gなので固定鏡胴の初代ズミクロンとほぼ一緒。それで最短撮影距離は約半分の53cmなので使い勝手はいい。
グルっと1周しましょう。
目立った傷なし。
無限遠に戻す最後に「キンっ」と小さい金属音が鳴る。この音が精密な高級時計みたいでメッチャかっこいい。
横顔もいい。
光学の状態はかなりいい。よく見ると後玉の周辺の縁に薄っすらクモリがある程度。
マウントアダプター装着した状態。
一体感がある。
マウントアダプターを外した状態。
マウントアダプター外すとかなり小さい。
絞り羽根は清掃した跡があるので過去に油染みがあったかな?
マウントアダプターを外した外観と大きさはこんな感じ。小型軽量。
Kern Switar 50mm f1.8 AR(Auto)オールドレンズ作例Review
カメラボディはSony α7CⅡ、レンズの素性を探る為jpeg撮って出し。
モノクロの味わいが深い。レンズの性能だけならライカ以上。正直ライカはレンズの製造は苦手だったのよね、明るいレンズも広角も苦手でシュナイダーからOEM供給受けてたし。
迫力がある。さすがシネマレンズ専門Kernがスチル用にシネレンズと同等かそれ以上のコストをかけただけのことはある。
これだよ、この圧倒的描写力がSwitar。曇り空の弱い太陽光が薄く花を照らす滑らかさがたまらない。
モノクロとどっちがイケてる?たまんねーなやっぱSwitar。光学の設計の変更は多少あったようだが写りはやはりMacro Switarに通じるものがあるか。滲みはマクロスイターの方が多い。
ちょっと引いてみる。ん?マクロスイターの方がバキッと中身が詰まってる感があるかな?マクロスイターはピントリング3回転程回す必要があるという難ありの操作性が許容できればいいね。
絵画っぽい。滲んで欲しいよりも寸止め位で遠慮がちに滲むセクシーさ。マクロスイターとは少し趣向違うかな、こっちは高描写追及。
寄った時にアウトフォーカスが滲む感じはMacro Switarと共通するものがある。ただし、最短撮影距離は20cm程遠いのでヘリコイド付きマクロアダプター装着しよう。いつも装着してるけど。
Kern Switarの万能レンズ。
何気ない日常が一番幸せなんだろうなと最近思う。何気ない毎日を日々大切にしていきたい。
バイバイ。
Kern Switar 50mm f1.8 AR(Auto)実写した感想 写りの特徴Review
- 写りはマクロスイターに似てる点もある
- アウトフォーカスの滲みが秀逸
- マクロスイターよりは滲まない
- モノクロもカラーも甲乙つけがたい描写力
- マクロスイターより操作性がいいので当時も並行して製造されたいたと実感
- 描写力はマクロスイターの方が1枚上手か、あとは操作性と価格
- さすがシネレンズの雄Kernが本気で作った唯一のスチル用レンズ
まとめ
本レンズはマクロスイターよりピントリングの操作性がいいので個人的には本レンズの方が好き。ピントリング3回転は大変だった。本レンズは1回転未満。シネマは業務用(プロ用)でガッツリ高価で庶民には手が出なかった。写真はまだ趣味のレベルを超えていなかったのでそこまでコストをかけられなかった。そこを突いた。
ケルン唯一のスチル用レンズということもあり色んな意味で貴重なオールドレンズ。製造本数もスイター全体で17640本で本レンズは5785本なので物理的にも希少。Switarが気になった方はチェックしてみたらいかがだろうか。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。