Fujinon 55mm f2.2 review作例 M42マウント バブルボケが出る富士フィルムおすすめオールドレンズ
Fujinon 55mm f2.2 review作例 M42マウント バブルボケが出る富士フィルムおすすめオールドレンズ。評判通り収差が激しくエモさ爆発でエルノスターに近い写りだった。
Fujinon 55mm f2.2とは
fujinon(フジノン)55mmF2.2とはフジフイルムの35ミリ判カメラ「フジカAX」用の標準レンズで、フジカのエントリークラス用のセットレンズである本レンズはコスト軽減した結果、他メーカーとは一線を画す独特なレンズ構成と写りを実現した。
Tessarと同じ4枚構成だが貼り合わせ面はなく、テッサーより明るいF2.2を実現した。独自路線を貫いたレンズ構成のフジノンの後ボケはやや硬めでバブルボケやエルノスター型レンズのような独特な後ボケが持ち味だ。
レンズ構成はエルノスター型を反転させたようなレンズ構成でUnarやSpeedicに近く、もはや富士フイルム独自のフジノン型ではないかと考える専門家もいる。
Fujinon 55mm f2.2 AXマウントとM42マウントの違い
Fujinon 55mm f2.2は富士独自のAXマウントとM42マウントの個体があり、レンズ鏡胴の作りや写りも違う。
AXマウントの個体の発色はビビットで虹ゴーストが発生しやすい。個性があって面白いレンズだが富士フィルム独自のAXマウントを採用している為アダプターの選択肢が少ない。
メジャーで汎用性の高いM42マウントを採用したバージョンもあるが、M42マウントを採用した個体はプラスチック鏡胴で耐久性に問題があり、鏡胴に亀裂が入っている個体が多い。また、ピントリングがラバー素材なのでこちらも経年劣化によりひび割れていることが多い。M42バージョンのレンズの描写は柔らかく発色は地味めで虹ゴーストは発生しにくい。
Fujinon 55mm f2.2のレンズ構成
下記画像は左が前玉側で右が後玉側。そう、左右反転して通常とは逆。
エルノスターの反転型のようにも見えるが、
上野由日路氏によるとUnarかSpeedicに近いと考えているようだ。
筆者は単純に見た感じがUnarに一番近いと思った。上野氏もM42MountSpiral氏もフジノン55/2.2はUnarのレンズ構成に近いと結論づけている。
最後にもう一度フジノン。で、通常とは左右逆ね。
やっぱちょっと無理あるか。で、海外では変形Elmar型や、独自のFujinon型と見られているようだ。ダブルガウス型の数の多さや特許などもそうだが、人間が勝手に決めたカテゴリーなので正解はないと思う。とはいえ、このテーマを様々な角度から分析している記事、Fujinon 55mm f2.2のレンズ構成の謎(上野由日路)は面白かった。
画像転用元:レンズホリック上野由日路
Fujinon 55mm f2.2のスペック
- レンズ構成:4群4枚フジノン型(UnarやSpeedicに近い)
- 最短撮影距離:0.60m
- 絞り値:f2.2~f16
- 絞り羽根枚数:5枚
- フィルター径:49mm
- マウント:M42マウント
- 重量:実測値147g
- 中古相場:10000~25000円(2023年11月時点)
Fujinon 55mm f2.2 M42マウントの突起について
Fujinon 55mm F2.2はフジカSTシリーズ(1970年~)のレンズで元々M42マウントを採用していたが、1972年9月に発売されたフジカST-801以降は独自のSTマウントに切り替え、独自機構である爪が付きが誕生した。この爪がある個体をM42マウントアダプターに装着して使用する為にはこの爪を削る必要がある。筆者が購入した個体は幸運にもこの突起はなかったのでそのまま装着できた。
Fujinon 55mm f2.2 M42マウントの外観
M42の個体は実測値147gと軽くレンズはプラスチック鏡胴でピントリングは安っぽいラバーでひび割れている個体が多い。レンズの状態もカビやクモリ玉が多い。
幸運にも筆者は状態のいい個体を入手できた。カラフルでポップなデザインでレンズというよりよくできた最強のおもちゃっぽい。
見た目おもちゃで数千円で買えるオールドレンズの写りはいかに。
Fujinon 55mm f2.2の作例
撮影機材カメラはSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳで、レンズの素性を探る為クリエイティブルックはNT、基本jpeg撮って出し。評判通り写りはすごかった。
いつもの公園で試写。レンズはプラスチック鏡胴で本当にレンズなのかと思う位軽くて作りもしょぼいが写りはワンダーでノスタルジーでエモさ爆発。
オールドレンズのテイスティングをして味わう至福の瞬間。
フジノン55/2.2は発色よくポップでキャピキャピした画を叩き出すイメージがあったが、実際に試写してみるとM42は発色は抑え目でコテコテ感はあまり感じない。
黒とオレンジの発色とコントラストがイケてる。ボケモンスターの称号も与えたい雰囲気。
艶がある。ボケで魅せられるレンズは大好き。クセ玉?筆者にとっては正統派。
ハイライトの滲みもいい。ん?そうだ、バブルボケ試そう。
バブルボケ割とゴリゴリ出ます。
しっとりなめらかポヨヨン。
朝露狙ったので見事にナチュラルにハマった。自作自演でスポイトの水滴使うの好きじゃないというか面倒。
お気づきだろうか。そう、ボケがエルノスターっぽい。
まとめ
fujinon 55mm f2.2 M42マウントの写りは個性があってクセ玉オールドレンズ要素満載。M42の個体はプラスチック製のラバーリングとプラ鏡胴のひび割れ、レンズ内のクモリやカビなどが発生している個体が多いことは覚えておいてほしい。状態がいい個体に出会えれば幸運だ。
どちらにせよ2023年時点では1~2.5万円で入手可能なので、その写りを堪能すべく、状態はさておき試しに買ってみて写りを楽しんだらリリースしてもいいと思う。筆者もそんなつもりで根気強く探していたところ、幸運にも状態がいい個体に巡り会った。
むしろわかりやすいクセ玉過ぎて、オールドレンズ沼のゴールは見たくないという反射神経が働く。最近の筆者は滲みやシャドウの諧調の豊富さ、焦点距離にもよるが、50mm付近の標準画角ならある意味無限大の表現があるので、その中で面白いクセ玉候補としてはコスパの高さも含めオールドレンズ初心者から上級者まで楽しめる選択肢になるはずだ。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。