QUINON 50mm F2 Review作例 ダブルガウスSteinheil Münchenシュタインハイルミュンヘン
QUINON 50mm F2 Review作例 ダブルガウスSteinheil Münchenシュタインハイルミュンヘン
Quinonはガウス型のPaxetteマウントとゾナー型のライカLマウントの違い
シュタインハイルミュンヘンのQuinon 50mm f2は2種類存在する。名前は一緒だが中身も写りも中古価格も全くの別物だ。
1つ目は有名なSonnar型ライカLマウントのQuinon 50mm f2。Sonnar型ライカLのQuinonは色ノリがよく安定した写りで中古価格は20~30万円と高価だ。
2つ目はDouble Gause型Paxette(パクセッテ)マウントのQuinon 50mm f2。ガウス型パクセッテのQuinonは残存収差が顕著で線は細く開放で僅かに滲みが見られ虹ゴーストやグルグルボケも発生するクセ玉で中古価格は6~8万円。
QUINON 50mm F2 PAXETTEマウント ダブルガウス型のスペック
- 光学レンズ構成:4群6枚ダブルガウス型
- マウント:PAXETTE
- 絞り値:開放最大F2~絞り最小F16
- 最短撮影距離:1m
- 絞り羽根枚数:12枚
- フィルター径:40.5mm
- 重量:147g (L改180g実測値)
QUINONの発音読み方 Steinheil München シュタインハイルミュンヘン
Steinheil Münchenシュタインハイルミュンヘンの「Quinon」の発音、読み方は、
- 英語読み:クゥィノン
- ドイツ語読み:キ(小さい「フィ」)ノン
日本語は母音の数が5つと非常に少ないので和製英語読みになるがQUINONドイツのはドイツ製のレンズなので「キノン」でいいかと思う。
QUINON 50mm F2 PAXETTEを購入した経緯
購入したいと思った動機はオールドレンズライター澤村徹さんの書籍の作例を見て写りが気に入り状態が良さそうでライカMマウントに改造した個体にタイミング良く出会ったので購入した。Flexon(PancolarやBiotarの祖先)50mmF2とキノン50mmF2の描写が似ていると思った。Flexonは後のPancolarでフレクソンは玉数が少ないのか見つからなかったのでPancolar 50mm f2を購入した。どうやらパンカラー50/2は途中で光学の見直しがあったようだ。
QUINON 50mm F2 PAXETTEの外観レビュー
撮影機材カメラはSony α7Ⅳ、撮影機材レンズはCanada Leitz Elmar 65mm f3.5 Makro VisoFlex。シュタインハイルのキノンはライカMマウント改造品で焦点工房のヘリコイドを装着してα7Cボディに装着。F8かな。
こじんまりしていてかわいい。屋内の冬早朝弱い太陽光で白のレースカーテン越しでもこのように画面全体にフレアーが発生。
この位のサイズ感ならバッグにしのばせておける。佇まいがいい。
正面から。こちらも画面全体にフレアーが発生。古いレンズは絞るとこんな感じのフレアーが発生することがよくある。とりあえず無視で。
スペック紹介してから作例を紹介する。個性がいい塩梅に爆発しててエモい写りだった。
QUINON 50mm F2 PAXETTEの作例Review jpeg撮って出し エモい画像
撮影機材はSony αⅣ。レンズの素性を探る為、jpeg撮って出し。初夏の朝市一発目。夏で太陽の位置は高いが虹ゴースト発生。シャドウも持ち上げない未加工。一旦持ち上げたがやはり見え過ぎると興ざめなので持ち上げない。
滲み、ざわつき。若干オーバーインフなのでピントは無限の向こう側。で、無限遠位置の確遠ができた。こうやって新しく仕入れたオールドレンズのティスティングが楽しい。
好きなんだな、こういう描写。やはり昔の対象型ダブルガウスは繊細でいい。
モノクロもいい。シャドウに目がいく。舐めるようにシャドウの奥を見つめる。飛び気味のハイライトとシャドウの奥を目で探っているだけで酒の肴になる。
やばいエモい。時間も時空も超えてどこだここは。
すごい。なんだこの世界観。多分この写真はクリエイティブルックSHかIN。右側の電柱は樽型の歪曲収差ではなく単に傾いているだけかと。いい味。
神社のモノクロもハマる。像面湾曲の影響か周辺の像を結ばないざわつきがたまらない。そもそもこの周辺の繊細なざわつきに惚れた。
絞ると現実に戻る。多分3段絞ってf5.6。周辺はちょうどいいくらいに若干甘い。
烏。カラスさんの羽根の仕組みはそうなってるのね、初めて見た。よくできてるのね。手前の手すりのボケと周辺の木々のボケ具合が絶妙。今思うとよくMFで追えるよな。違う意味の瞳AF。
言葉がいらなくなってきた。
f5.6
異世界、異次元、異空間。
いつの間にかモノクロにハマってた。カラーに戻る。現世へ帰る。発色は淡いので筆者の作風に合う。時にCarl Zeissの発色がいいマルチコートのレンズも使いたくなる時もある。
レンズが泣いている。そう見える。繊細。このレンズは銘玉だ。確信した。
導かれる。
すごいレンズだ。Quinon50/2のダブルガウス型Paxette。
いつも呼ばれる。神社仏閣自身に。
そして想う。どうしてこうなってしまったのだろう…。と。
無になれる瞬間が好き。しめ縄の力強さ。コントラストもしっかり効くところは効く。玉ボケの輪郭は甘い。グルグルボケの兆候あり。
割と高速でグルグルする。非点収差。グルグルボケレンズなのかパクセッテマウントのキノン50/2は。
榊。立体感。やはり後ボケにグルグルの兆候あり。
奉納された御神酒。
モノクロとカラー、どちらがお好き?このレンズの場合私はモノクロの方が好き。
素敵。やっぱ笑顔がいいね。
しばしご先祖たちと魂の談話。
かっこいい面構え。青梅 金刀比羅神社。そして周辺ハイライトの滲みが秀逸。
君はあの時何を思い何を見た?
あの土地にはどんな人が住んでいるのだろう。
モノクロとカラー、異世界に入り込めるのはモノクロかもしれない。
提灯。ここでどんな祭りが行われ、どんな若い男女が恋に落ちたのだろう。
郷愁に浸る。
神社の関係者の方で駆け足であちこち駆け回り儀式をしていた。背中の汗がかっこいい。
ご苦労様です。いつもありがとうございます。
お祭りが見たい。
玉ボケもいい感じ。
おとぎ話の世界のように不思議な空間だった。
祠だ。
やはりモノクロがハマる。ドキッと、ゾクッとする。
モノクロは異世界への扉。
公園のグラウンドで走る男子。
この道なき道を進んだらどうなるのだろうか。人の気配、足跡はある。
青梅商店街の通りへ出て現世へ戻る。
現世と異世界を繋ぐ扉(ゲート)がここにはある。
花はいい。穏やか。今回一番寄った写真がこれ。もっと寄ってかじつきたい。
私は…。何と戦っていたのだろう。
ひまわりが笑っている。
太陽光を体中いっぱいに浴びて嬉しそうに笑っている。
自分も笑おう。心から。いつからだろう、うまく笑えなくなったのは…。
QUINON 50mm F2 PAXETTE ダブルガウス型を試写した感想レビュー
Quinon 50mm f2 Paxetteは思った通り良かったし筆者お気に入りのおすすめオールドレンズだ。描写の特徴は開放でふんわり優しい描写と滲み、逆光時に画面全体を覆うノスタルジックなフレアー、周辺部の結像の甘さが心地よい。
グルグルボケ、ピント面の立体感、質感の表現、発色は地味だが赤の発色が濃い、諧調が豊かなのでモノクロがハマる。発色はレンズがコンパクトな点も素晴らしい。ライカLスクリューマウント(LTM,L39)のキノンはゾナー型で堅実できっちり写り価格も高価だが、パクセッテマウントのキノンはダブルガウス型でクセ玉で安価。その通り。
ゾナー型ライカLマウントのQuinonは高価だが、今回レビューしたダブルガウス型のパクセッテのキノンはコスパが高いレンズだ。しかし、こうなるとゾナー型キノンも欲しくなる(沼)。
シュタインハイル ダブルガウス型 Quinon 50mm f2 Paxetteマウントの写りの特徴まとめ
- グルグルボケ
- ゴースト
- アウトフォーカスの滲み
- 立体感
- 周辺のざわつくボケ
- 全体的にあっさりした発色で地味だが赤の発色がいい
- 玉ボケが発生しやすく周辺はレモン型になってグルグル流れる
- モノクロの表現が秀逸
まとめ
やはりガウス型のキノン50/2の写りはよかった。筆者お気に入りオールドレンズの仲間入りを果たした。発色が地味なのに残存収差が派手で個性を生かした作品づくりができそうなオールドレンズだ。
優等生であるゾナー型のキノンの中古価格の3分の1程度で入手可能なのでガウス型のキノンはクセ玉好きにとってはコストパフォーマンスが高くお買い得。今回はマクロ側で被写体にかじりついた作例がないので次回はマクロ端で被写体にかじりつきたい。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。