Kodak Ektar 44mm F3.5 Revew作例 NEX改 マウント改造オールドレンズ コダックの銘玉
Kodak Ektar 44mm F3.5 Revew作例 NEX改 マウント改造オールドレンズ コダックの銘玉。レンズ構成はシンプルなTessar型で、描写の特徴は近接(マクロ側)で滲み、トーンの出方がいい、無限遠からマクロ側まで高描写だが優しい味わいのあるオールドレンズらしい描写。非常に小型軽量でスナップや日常の撮影に使いやすい万能オールドレンズ。マクロ側で芸術的な絵画のような描き方をする時がある。
Kodak Ektar 44mm F3.5とは
コダックは自社製の高性能カメラに搭載するレンズにのみ「エクター」の称号を与えていた。エクター44mm F3.5は、1951年に発売された35mmフィルム用カメラSignet35に搭載されていた標準レンズで、当時からよく写るレンズとして定評があった。シグネット35は愛嬌のあるかわいらしいデザイン(ルックス)から「ミッキーマウス」の愛称で親しまれてきた。コダック製のエクターは様々なカメラに供給されてきたが、シグネット35のエクター44mmF3.5は「エクターらしいエクター」と評判だった。
ただし、エクター44/3.5をミラーレスカメラなどで使用する場合、レンズはカメラと一体型なのでレンズをカメラから取り外してマウントを改造する必要がある。もしくはすでにマウント改造済みの個体を探すといい。
参考文献:デジカメWatch 澤村徹 , オールドレンズとカメラ
Kodak Ektar 44mm f3.5 NEX改のレンズの外観Review
非常に小さくマウントを改造した個体でもレンズの重量は実測値で194g。レンズ本体と改造マウント込みでも手乗り文鳥くらい小さい。なんといっても最短撮影距離が実測で23cmとマクロレンズ並の機動力がありがたい。
Kodak Ektar 44mm f3.5 NEX改のスペック
- 製造メーカー:Eastman Kodak U.S.A.
- 製造年:1951~58年
- レンズ構成:3群4枚Tessar型
- 最小絞り値:f22
- 絞り羽根:6枚
- 最短撮影距離:23cm(実測値)
- 重量:194g(レンズと改造マウント合計)
Kodak Ektar 44mm f3.5 NEX改の描写の特徴
レンズ構成はシンプルなTessar型で、描写の特徴はピント面はシャープで近接(マクロ側)でエモい滲み、コントラストの付き方もよく、暗部のトーンの出方がいい。無限遠からマクロ側まで高描写だが優しい味わいのあるオールドレンズらしい描写。Ektarらしい色ノリのよさが健在で黄色や緑、赤の発色も絶妙でエモい。中央部の解像力は高くシャープでF5.6位まで絞るとかなり鋭い描写になる。
最短撮影距離が実測で約23cmとマクロレンズの代替としても活躍してくれる点が非常にありがたい。レンズは非常に小型軽量でスナップや日常の撮影に使いやすい万能オールドレンズ。
Kodak Ektar 44mm f3.5 NEX改の作例Review
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ、レンズの素性を確認する為に基本jpeg撮って出し未加工、クリエイティブルックは基本NT。
約23cmまで寄れるので近接も楽しめる。レンズも小ぶりで軽量なので取り回しがしやすく44mmという焦点距離も使いやすくスナップに最適なオールドレンズだ。
輝度が高い被写体の輪郭に滲みが見られる。エクターは滲みを期待しているので滲みを確認して思わず頬が緩む。
古めかしい昭和レトロな雰囲気に仕上がる。淡い発色と周辺の結像の甘さがエモい雰囲気を醸し出す。シャドウの描き方もいい。
f3.5だがマクロ端は背景ボケは大きくとろける。ヘリコイドアダプターの恩恵。
中々遊べるレンズだ。
無限遠もいい雰囲気。
山が好きだ。
神社も好きだ。
木々のトンネル。
別荘地のようだ。
質感の表現に長けている。エクターは軍用としても供給されていたので写りは確かなのだ。
日本の美しい風景に見とれる。
玉ボケが発生しやすい。グルグルボケの傾向あり。枯れたひまわりがとてもセクシーだった。
青空と白い雲と黒いカラスさん。平和だ。周辺減光あり。
周辺部の描写は捨ててるところが潔いし好みだ。
時としてこのような立体感がある描写に圧倒される。
線路はいい。想像でどこか知らない土地に連れていってくれる。
踏切の遮断機の信号。鳴っている最中のように描いてくれた。硬い質感の表現もいい。絡まる蔦がなんともかわいい。
時に柔らかく、時に硬く、忠実に最低限の情報を必要なだけ表現してくれる。
何気ない日常が一番幸せ。今を大事にしよう。
クリエイティブルックSTかな。確かこの時一通りボディ内プリセットを一通り試した記憶がある。
これはクリエイティブルックINかな。
距離を変えながら撮影。
暗部を狙うスリリングな撮影も楽しい。きっちりシャドウを描いてくれる。
緑のみかん。色のコントラストで目の保養になる。
前ボケ後ボケ共にボケ感がいい。絵画的。
マクロ端はこんな感じ。機動力ある。本来の性能を超えたマクロ側でここまで寄っても中央部のピント面の雄しべの質感はしっかりしている。後ボケも凄まじい。銘玉。
立体感がよい。絵画っぽい。
花を撮るのも楽しいレンズだ。
マクロ域で楽しめるのは意外な収穫だった。
作例は以上。
Kodak Ektar 44mm f3.5 NEX改で実写した写りの特徴感想Reviewまとめ
- 最短撮影距離23cmとマクロレンズ並に寄れる
- ピント面はシャープで質感の表現力が高く立体感がある
- 開放でハイライトが滲む
- トーンの出方がいい
- 周辺部の結像が甘く作風に活かせる
- 開放f3.5だがボケの描き方が美しい
- 環境によりボケが暴れて油絵の様な描写になることがある
- マクロ側でボケが大きくとろける
- 線は細めで思ったより優しい雰囲気
- 若干周辺減光あり
- 被写体は花との相性もいい
- 発色は地味めだが拾う色はきっちり拾って忠実に描いてくれる
- 点光源に敏感に反応して玉ボケが発生しやすい
- グルグルボケの兆候あり
- 逆光態勢は強めでゴーストやフレアーは発生しにくい
まとめ
Ektar 50mm f1.9や滲む銘玉Ektar 47mm f2と比べるとEktar 44mm f3.5はf値が控えめで地味な存在だが、「Ektar」の称号通り素晴らしい描写のおすすめオールドレンズだ。
開放から高描写でハイライトの滲みがアクセントになりボケも絵画的で美しい。こうやって写りを見るとやはりさすがキングオブエクターと呼ばれるだけのことはある。この隠れた銘玉はおすすめできるオールドレンズだが、ド派手なオールドレンズらしい収差を楽しむ感じの描写ではないので若干玄人向けかもしれない。
今回のレビューは以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。