Canon 28mm f2.8 LTM(L39)Review作例 当時世界最速28mmキヤノンの広角神オールドレンズ
Canon 28mm f2.8 LTM(L39)Review作例 当時世界最速28mmキヤノンの広角神オールドレンズ。
Canon Lens 28mm f2.8 LTM(L39)のスペックReview
- 発売年月:1957年(昭和32年)6月
- 発売時価格:33,000円
- レンズ構成:4群6枚トポゴン型の思想を取り入れた変形ダブルガウス型
- 絞り羽根枚数:6枚
- 最小絞り:f22
- 最短撮影距離:1.0m
- フィルター径:40mm
- 最大径:48mm x 20mm
- 質量:160g(実測値120g)
Canon Lens 28mm f2.8 LTM(L39)のレンズ構成Review
キャノンカメラミュージアムによるとレンズ構成は4群6枚ダブルガウスだが、レンズ構成を見ると厳密には4群4枚のトポゴンの前群と後群を分割したように見える。もしくはオルソメター型。しかし、空気間隔を用いている訳ではないのでオルソメターとも違う。トポゴンガウスとでも呼ぼうか?
画像転用元:canonrangefinder.org
本レンズの1年前にLeitzが発表したSummaron 28mm f5.6 L(赤ズマロン)とレンズ構成が似ていて、こちらもダブルガウスとのことだが、こちらは空気間隔を設けているのでオルソメターに酷似しているように見える。赤ズマロンの方がレンズ分厚い。分厚いレンズは良く写るイメージがある。ゾナーとか。
オルソメター型レンズ構成はこちら。いや~、やっぱり赤ズマロンはオルソメター型の思想を取り入れたダブルガウスかな。
ライカより明るいレンズを製造していた戦後の世界No1キヤノン
こう比べると同じ時代にキヤノンは赤ズマロンが発売される4年前にセレナー28mm f3.5Lを発表しているので、ライカが時代遅れに見えてしまうかもしれないが、そもそもライカは明るさを追及することに戦前から無関心だったというか、開放から全開で高性能を発揮するスタンスでレンズを設計、発表、発売していた。
これに対して日本の各メーカーは、レンズの収差は構わず、明るさを追及して熾烈な競争を繰り広げていた。正直Canon28/2.8は歪曲収差もボチボチあるし、かといって筆者は赤ズマロンを持っていないので比較した訳ではないが、戦前から戦後赤ズマロンが発表されるまで製造されていたHektor 28mm f6.3も歪曲収差はある。
ドイツは一度レンズを設計したらロングセラーとなれば10年~数十年かけて製造される。後の時代からレンズ構成は随時見直すこともあるが、基本設計は変えずに30年以上のロングセラーとなったエルマー50/3.5も然りだ。
Canon Lens 28mm f2.8 LTMの描写Review
開放で周辺減光あり周辺画質は結像が甘い。描写は柔らかく優しい描き方だがその反面コントラストはやや高めに見える。逆光には強いようだ。同じくNikonのトポゴン型広角オールドレンズW-Nikkor C 2.5cm(25mm) f4の写りに近い。
同じくキャノンのトポゴン変形型Canon lens 25mm f3.5 LTMは高描写なのでその写りとは少し違うように見える。同じくロシアのトポゴン型Orion-15 28mm f6は開放がf6で無理のないスペックということもあり開放からシャープな写りを見せる。オリオンは収差もかなり完璧に補正されていて65gと軽いのでやはり優秀だなと思う。f6だけどね。
キャノン28mmf2.8LTMはオリオン同様にシャドウの暗部が急にストンと落ちる傾向があるように見える。是非とも入手して試写したいと思った。写りはYouTubeのMatt Osborneの動画が参考になった。
補足として以下のレンズ情報も記述しておく。
Canon Serenar 28mm f3.5 LTM レンズ
キヤノンはレンズ製造の初期に広角レンジファインダーレンズを革新した。1951年10月に発売されたSerenar 28mm f3.5も同様。最初のNikon 28mm、Nikkor f3.5は1年後に導入された。Leitz Hektor 28mm f6.3は第二次世界大戦前に製造されたが、f6.3と大変暗かった。Canon 28mm f3.5 Lのレンズ構成は4群6枚。
Canon 28mm f3.5 は1960年中盤までキヤノン製品に残り、1956年にCanon 28mm f2.8 を発表した後も生産を続け、M39スクリューマウントバージョンで合計10,278本を販売した。Contaxマウントでさらに342本のレンズが搭載されている。
キヤノンは1956年4月に、より高速で軽量な新しい28mm f2.8を発表した。このレンズは、1975年にキヤノン距離計レンズの製造が終了するまでキヤノンの生産ラインナップに残った。 そのコンパクトで優れたデザインと明るい開放値により、このレンズは多くの写真愛好家たちのお気に入りとなった。
Canon 7Sレンジファインダーカメラの生産終了後も製造が継続された理由は想像できるでしょう。Canon 28mm f2.8のレンズ構成は4群6枚トポゴン変形型。
参考文献:https://www.canonrangefinder.org/Canon_35mm.htm
で、買った。上記は購入前に執筆した文章で、下記からは購入後に執筆した文章だ。
Canon Lens 28mm f2.8 LTMのレンズ外観Review
…で、買ったよ。ヤシコンPlanar50mmF1.4でCanon28/2.8Lを物撮り。ヤシコンプラナーハイライトが結構滲む。
メッチャ小さい。1957年当時世界最速28mmレンズ。50mm f0.95ドリームレンズといい、キヤノンは明るさにこだわっていたのかな。値段もべらぼうに高かったみたいだし。しかしキャノンのレンズはよくクモルなぜクモルと皆口を揃えて言う。なぜ?キャノンさん。
例のごとく絞り羽根が完全に開き切らないキヤノンのライカL用レンズ。
外観かっこいい。歪曲収差は気になることはあるが、今から70年前の28mmという広角レンズでF2.8をこのレンズの小ささで実現してる時点で驚愕だが。このレンズを使用して活躍してきたプロカメラマンも大勢いる。
最短撮影距離が1.0mだが、ヘリコイド付きマクロアダプターを装着すれば体感で30cm位まで寄れるから特に気にならない。
しかしヤシコンプラナーのふわふわ具合が気になる。
Canon Lens 28mm f2.8 LTMの作例Review
この日はSony α7Ⅳとお別れの儀式だった。ありがとう相棒。達者でな。次の持ち主にたくさん使ってもらえよ。
新宿南口。好きなんだよな。道路反対側はサザンテラス口。滲みと周辺の結像の甘さがエモい。予想通りいいレンズだ。
警備員の後ろ姿を超絶かっこよく撮ってあげた。ありがとうは?(どういたしまして)
ガードレールと途切れる影。俺の人生かよ。(どうした)
敢えて開放で様子を探る。やはり歪曲するな。まぁこういう写りでかっこいいってことで。絵画っぽい感じでね。
雑踏がエモい。化学物質を大量に含んだ排気ガスを毎日大量に吸ってラリんないのかな皆と思った田舎人。
人工的な建造物もエモい。過去の建築物は現在文化遺産になっている物もあるが、現代の建造物も未来文化遺産になる可能性はもちろんある。そう考えると過去も現在も未来もゴチャ混ぜ。
時間という概念はこの宇宙に存在しないという学者もいる。しかし、時間軸があった方が人間は働く。税収を得て富を得たい支配層がいる。まぁ、レモン社新宿店のビルを開放で。1Fレモンサワー。足して2で割るとレモンシャワーになります。(だから?)
人類は人類は働くために神に創られた生物。宇宙の遠い星からやってきた二ビル星人とホモサピエンスの遺伝子組み換えハイブリッド。そう、神は単なる創造主であり全知全能ではない。絞りで。3階から下を見下ろし試写してる時と、下から3階を見上げて試写してる自分が脳内の記憶の時間軸で交錯する。
同じ景色でも人によって見え方が違う。日常という名の非日常。
非日常という名の日常。
絞ってみる。やはりクラシックレンズは開放がいい。
被写体おじーさんスパーク。ナイス侵入。
割烹着とマスクのハイライトが滲む。俺は死んでも、生まれ変わってもこの時代に生きたことを忘れない。人類という基地外社会に生きていることを。地球は宇宙からやってきた人類の牢獄。
脳内森山大道モード突入。いい感じ。要はノールック、ピント合わせない。ただ、この時はパンフォーカスではなく咄嗟に開放のまま。
路地裏が大好き。たくさんの人生がゴロゴロ転がってる。俺もその一人。
エレベーターが満員だから階段で。エモい傘発見。なぜそうなった?俺の人生みたいだな。よう、友よ。(どうした俺)
で、まぁA7C2を買いました。やっぱり軽いカメラと軽いレンズが一番。そうするとより一層軽いレンズを使いたくなる。
Canon Lens 28mm f2.8 LTMで撮影した写りの感想Review
写りの感想は、シチュエーションにもよるが開放は周辺画像が非常に甘く、滲みもあるので好みが分かれるところ。使いにくいと感じたら1段絞ってf4で撮影した方がいいかもしれない。開放f2.8はもっと明るさが欲しい(シャッタースピードを稼ぎたい)など必要に応じて。
明るい日中の屋外は今度はf4かf5.6で撮影した方がいいかもしれない。そう考えるとf4かf3.5のスペックのレンズをf2.8と謳って発売したのかなと感じた。まぁ筆者は滲みも他収差も好きなので楽しんじゃうけど。(歪曲だけは…)
10分程の試写タイムだったが、最近それで全然満足。毎日都内で少しずつ撮っていきたい。自分、やっぱ都内(23区)好きだ。DNAかな。勝手に流れてくる呟き詩と登場人物は無関係です。ではまた。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。
P.S
そうか、この日でα7Ⅳとお別れだったんだと思い出したら涙腺が緩んだ。機材は愛着湧くよな。まだまだ使えるのに自分の勝手で買い替えるのは女をやり捨てするのと一緒かなとふと考えてしまい、今ある機材は壊れるまで使いたいと少し思った。レンズを集めるのもやめたい。そんなにいっぱい愛人いらないと思った。その例え全然違うと思う。でも、カメラに悪いことしたなと思ってしまった。ごめん。そう、私は変人です。では。