Industar-61L/Z 50mm f2.8 review作例 六芒星ボケが楽しいロシア製マクロオールドレンズ
Industar-61L/Z 50mm f2.8 review作例 六芒星ボケが楽しいロシア製マクロオールドレンズ。ライカL39マウントオールドレンズ。
Industar-61L/Z 50mm f2.8とは
Industar61L/Z50mmF2.8は六芒星ダビデの星形ボケで有名なロシア製オールドレンズだ。f5.6~8付近まで絞ると絞り羽根の形状が星形になる為、ボケに点光源を配置すると絞り羽根の形状がそのまま反映され六芒星ボケとなる。レンズ構成は3群4枚のTessar型で最短撮影距離は0.3mで最大撮影倍率1/3.5とマクロ級の性能を誇る。
Industar-61L/Z 50mm f2.8の写りの特徴
インダスター61LZ50/2.8MCは星ボケで有名なのでキワモノ、クセ玉というイメージが先行しがちだが、実際には写りは非常にシャープで結像は鋭く各収差は適切に補正されていて、絞ると星形のボケが発生すること以外は現代のレンズに匹敵するほどの高性能レンズである。インダスター61LZはロシアのモスクワ近郊のリトカリノにあるリトカリノ光学ガラス工場(LZOS)で1972年から製造が開始された。
Industar-61L/Z 50mm f2.8MC 星ボケにならない個体の見分け方
インダスター61は様々なバージョンが存在して星形以外の形状の個体も存在する。六芒星ボケを期待して購入してもダビデの星ではなく六角形のボケが出て驚かないように購入前に星ボケが出るか確認する必要がある。では、どうやって星形ボケが出るレンズを見極めたらいいのだろうか。その違いを解説する。
六芒星ボケが出る個体の条件
- シリアルナンバーが8で始まる1980年代の製造(9もOK)
- 銘盤のレンズ名表記がアルファベットではなくキリル文字
- ピントリング∞の右側に記載されている最短撮影距離が「M0.3」
- レンズ名がIndustar-61 L/Z 50mm f2.8 MCで間違いないか確認する
- 絞り羽根の形が六芒星になるか確認する
極論、絞りの形状が六芒星になっているか必ず確認しよう。
Industar-61L/Z 50mm f2.8のスペック
- レンズ名:Industar-61L/Z 50mm f2.8 MC
- 製造:ロシアLZOS(リトカリノ光学ガラス工場)
- 焦点距離:50mm
- 絞り値:f2.8~f16
- レンズ構成:3群4枚Tessar型
- 最短撮影距離:0.3m
- 最大撮影倍率:1/3.5(約1/3)
- フィルター径:49mm
- 重量:215g(実測値)
Industar-61L/Z 50mm f2.8MC レンズの外観
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ、レンズはコシナフォクトレンダーNOKTON 58mm f1.4SLⅡ。f5.6位まで絞って撮影。
ピントリングの無限遠表記の右側の最短撮影距離表記が「M 0.3」で左側のメートル表記が6の場合は80年代以降に製造された個体である可能性が高い。
結構ご活躍してきた様子。
経年劣化感はそれなりにある。百戦錬磨かよ。愛用されてきたんだな。以前の持ち主はどんな被写体をどんな想いで撮っていたのだろうか。
紫色のコーティングが施されている。
f5.6~f8付近に絞るとこのように絞り羽根が星形というか六芒星(ダビデの星)の形となる為、点光源も絞り羽根の形として映し出される。
Industar-61L/Z 50mm f2.8の作例
玉ボケの輪郭は美しい。
星形ボケはこんな感じ。
マクロの確認で寄ってみる。かなり解像力は高い。
タオルの繊維もしっかり結像。
マルチコーティングが施されていて逆光に強く発色もいい。周辺減光は若干あり。
渋い色も表現してくれる。
モノクロの白と黒のコントラストもいい。エレガント。若干樽巻き収差があるように思える。
星ボケが出るということでクセ玉感を期待すると肩透かしをくらう。この通り正統派レンズ。
ボケは硬めで優雅でゴージャスな雰囲気。
至って正統派。
どういう目的で選ぶべきなのだろうこのオールドレンズは。
クセがないというクセがある。
正統派レンズは難しい。綺麗に写るがそれ以上の何かを求めたくなる。
白い雲の立体感がいい。青と白と緑のシンプルなコントラストが素敵。
花壇のチューリップもこの通り。なるほどTessarの完成系と考えると納得。Carl Zeiss JenaのTessarはマルチコーティング化されなかった。
モノクロもイケてる。
地味過ぎず誇張し過ぎず、通好みのレンズかもしれない。薄っすら滲みも秀逸。
コッテリとあっさりの中間。
まとめ
Industar-61L/Z 50mm f2.8MCは六芒星ボケが出る高性能Tessarと考えると写りがイメージしやすいかと思う。絞ってダビデの星ボケを演出するのもいいし、開放でMC化されたTessarの写りを堪能するのもいい。
星ボケが出る本オールドレンズを購入する場合は必ずL/Z、キリル文字、80年代製造、そして絞った時の絞り羽根の形状が六芒星になるか確認しよう。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。