コシナフォクトレンダーでオールドレンズらしい収差が残ったおすすめのクセ玉は?
フォクトレンダーで残存収差が強いクセ玉はどれか?調べてみた。結論化から言うとHeliar Classic 50mm F1.5レンズがコシナフォクトレンダー随一のクセ玉だ。Classicシリーズは敢えて球面収差を残しつつオールドレンズらしさを演出している。
収差を残したクセ玉ClassicシリーズはNoktonとHeliarがある
いわゆるクセ玉とは収差が強く残ったオールドレンズのことだ。敢えて収差を残したコシナフォクトレンダーのレンズはClassicシリーズで、NOKTONとHELIARがある。
当然アポランターなどの高描写を第一優先にしたレンズより解像度は落ちるが、ヘリアークラシックは少し古いが比較的最近のレンズだし、ノクトンクラシックは現行レンズだ。
よって、新品を購入すれば光学はきれいな状態なので、印刷で引き伸ばしてもゴミが映り込んだりすることはないし、クセのあるボケや滲み、ゴーストやフレアなどオールドレンズらしい収差も楽しむことができる。
では、ノクトンとヘリアーの違いやその中でもどう違うのか解説する。
オールドレンズらしい収差が残るノクトンクラシックとヘリアークラシックの違い
ノクトンクラシックとヘリアークラシックはそもそもレンズ構成が違う。ヘリアーはトリプレットの発展型で3群5枚。ノクトンは左右対称のダブルガウス型で35mmは7群8枚、40mmは6群7枚。厳密に言うと35mmの方が左右対称性が強い。詳しくはこの後少し掘り下げる。
ヘリアー型レンズ構成をわかりやすく簡単に解説
ノクトンとヘリアーの違いはレンズ構成だ。ヘリアーはフォクトレンダーの伝統的なレンズ構成で、起源は1900年まで遡る。ヘリアーは1900年にハンス・ハルティングが設計した。新種ガラスを使用しクック・トリプレット3群3枚のうち前群後群を張り合わせにした3群5枚というレンズ構成。豊麗な描写で有名になった。営業写真館では家宝のように大切に扱われ、袱紗に包んで家族にも触らせなかった写真師がいたという逸話もある。
ノクトンとはわかりやすく簡単に解説
ノクトン(Nokton)とは、フォクトレンダーのレンズの名称で、Noktは「夜」を意味する。開放F値がF1.5以上に明るいダブルガウス型大口径レンズに用いられる。最初にNOKTON名のレンズが誕生したのは1951年、ドイツ旧フォクトレンダーのレンジファインダー機「プロミネント」用の標準レンズとして発売された「NOKTON50mmF1.5」だ。レンズの設計者は天才「アルブレヒト・ウィルヘルム・トロニエ」だ。大口径のノクトン50mmF1.5の描写は繊細で柔らかく生命感があり暖かく優れた描写をするレンズとして人気があった。
ノクトンには複数の特許が存在する。例えば「U.S.P.2646721」は硝材5種を使った5群7枚構成で、画角直径45度に渡り非点収差、像面湾曲、歪曲収差とも良好に補正されていた。「U.S.P.2662447」は硝材8種を使って一眼レフカメラのミラー動作スペースを取るためにバックフォーカスを長く取った6群8枚構成で、レクタフレックスにレクタフレックス・ノクトン(Rectaflex-Nokton)50mmF1.5として供給された。
後にコシナから発売されたライカマウント用のレンズと区別する為に、オリジナルのノクトンは「プロミネントノクトン、オリジナルノクトン、ノクトンオリジナル」と称される。コシナフォクトレンダーが発売しているノクトンとオリジナルノクトンはレンズ構成は別物だ。
ノクトンクラシック35mmF1.4と40mmF1.4の違い
NOKTON Classic 35mm F1.4と40mmの違いはこちらで詳しく解説している。結論を言うと「NOKTON Classic 35mm F1.4は40mmより収差が強いクセ玉」だ。40mmはclassicシリーズ初で様子見の残存収差。評判が良かったので次のclassicシリーズの35mmはもう少し収差を残して冒険した。よって35mmの方がクセが強い。HPレンズを見ればわかるがレンズ構成も少し違う。コシナフォクトレンダーの担当の方から教えて頂いたので間違いない。
コシナフォクトレンダーで一番のクセ玉はHELIAR Classic 50mm F1.5
誰もが口を揃えて言う。HELIAR Classic 50mm F1.5はクセ玉だ。HELIAR Classic 50mm F1.5は、いい意味でオールドレンズのあらゆる収差を残したオールドレンズテイスト満載の現行レンズ。ヘリアーの明るさの限界はF2.8。それを大きく超えた無理のある設計の為、あらゆる収差が残る。もちろん意図的に収差を残している。収差を愛する人間からしたら「よくぞやってくれたコシナさん!ありがとう!」的な。
HELIAR Classic 75mm F1.8
HELIAR Classic 75mm F1.8はHELIAR Classic 50mm F1.5に次ぐクセ玉だ。どちらも生産販売を終了しているので厳密に言うと現行品とは言えないかもしれないが新しいので中古で探せば比較的状態のいい個体が多い。
アイキャッチ画像転用元:コシナフォクトレンダー
まとめ
コシナフォクトレンダーのクセ玉順位
- HELIAR Classic 50mm F1.5
- HELIAR Classic 75mm F1.8
- NOKTON Classic 35mm F1.4
- NOKTON Classic 40mm F1.4
- NOKTON Classic 58mmF1.4
加筆になるが、次点というか3番目はノクトン58mmF1.4だ。このレンズは東京光学(トプコン)の「RE auto Topcol 58mm F1.4」の設計図を参考に現代版として復刻させたレンズなので必然的に収差が残る(収差を残す)設計となっている。筆者も保有していて味わい深い写りをする。コシナフォクトレンダー製オールドレンズテイストの現行レンズを選ぶ時の参考にしてみてほしい。
追記:後日(2024年8月)購入したHeliar 40mm f2.8はクセ玉感はあまりなくシネレンズに近い描写でモノクロが超絶かっこよくて気に入った。好みは変わる。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。