Sonnarとは 天才レンズ設計士ルートリッヒベルテレがエルノスターを元に開発したレンズ構成名 Carl Zeiss
Sonnarとは、当時Carl Zeissに在籍していた天才レンズ設計士ルートリッヒベルテレが、自身がエルネマンに在籍していた時に開発したErnostarを元に開発したレンズ構成でありレンズ名でもある。
ベルテレは1930年からSonnarの開発に取り掛かり、翌1931年に5cm f2を発表し、翌1932年にF1.5を発表した。ゾナーは初代コンタックス用の5cm f2とf1.5でほぼ完成していて、多少の変更はあったものの、ほぼそのままの形で受け継がれてきた。
Sonnar50mmF2のコピーレンズ ロシア製Jupiter-8
Sonnarは前群の球面収差とは逆向きの球面収差を後群で敢えて発生させて、互いの収差を毒を以て毒を制すで相殺している。イヤホンのノイズキャンセリングの発想に近い。ゾナーは3群という少ないレンズ群で張り合わせを多用し、空気に触れるガラス面は僅か6面。これにより内面反射を抑えられた為、無駄なゴーストやフレアの発生が抑えられた。
ゾナーは非常に繊細でピーキーな特注のF1カーのような設計で、少しでもいじると全体のバランスが崩れてしまう。ガウスはコーティング技術の発達や新硝材の開発などにより徐々に改善されたきて多くの派生型があるが、ゾナーは誕生と同時に完成していた。
ゾナーの解像力はガウスより低いが、ガウスよりもコントラストが高く、フレアやゴースト、グルグルボケなどの発生も抑えられている。これだけ聞くとつまらないオールドレンズだと思われてしまうかもしれないが、玉ボケの形や輪郭が美しく、ボケ方がガウスとは全く異なり、芸術的で美しいボケの表現ができる。
ゾナーは明るく、収差も適切に補正されていた為、大人気を博した。当時のleitzはDauble Gaussで明るいレンズの活路を見出そうとしていたが、ハイスピードレンズはZeissのゾナーの方が性能がよく、独り勝ち状態だった。
Sonnar85mmF2のコピーレンズロシア製Jupeter-9
当時ダブルガウスはゾナーに勝てなかった理由は、コーティング技術の未発達と、ガウスの良さを活かせる硝材がなかった為だ。時代は移り変わり、昨今はガウスが主流となった。
近年、ミラーレスカメラの台頭により、残存収差があるオールドレンズが見直され、再評価されつつある。これによりライカのSummaritやSummar、Summiluxなどのダブルガウス型オールドレンズが一部の若手カメラマンたちによって蘇り、SNSや書籍や作品として人気を集めている。
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