Som Berthiot 50mm f2.8 L改 Review作例 シネマオールドレンズ Royer SavoyⅡ

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 Review作例 シネマオールドレンズ Royer SavoyⅡ

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 Review作例 シネマオールドレンズ Royer SavoyⅡ。結論「低彩度、軟調、フレアーの3拍子」で全然写らない。でも好き。写らないレンズを楽しめるともはや無敵。やばい、結局レンズなんてどれでもいいじゃないかと改めて気付く。本末転倒だが笑

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

Som Berthiotとは

Som BerthioはアンジェニューやKinoPtikと並ぶフランス製シネレンズの3大メーカーのうちの1つ。

Som Berthiotの前身Somは1838年に設立され、当時の従業員数は13人だった。Somは「Societed d oputique et de mecanique」の略称。1913年に老舗の眼鏡屋Berthiotを母体としてSomと合併して1000人規模の企業になった。同社は広告で宣伝する手法をあまり好まず経営していた。

Som Berthiotは、当初は映画業界向けのレンズを中心に事業を展開していた。当時のフランス映画は世界的な影響力を持っていて、Som Berthiotのレンズはその成功に一役買っていた。特にサイレント映画の時代には、映像の美しさと表現力を高める為にSom Berthiotのレンズが積極的に使用された。この時代のSom Berthiotのレンズは、クリアな画質と独自のアーティスティックな描写で称賛されている。

1930年代には、サウンド映画の台頭に伴い映画用レンズの需要が変化したが、Som Berthiotはその技術と製品ラインを適応させ、映画産業における重要な供給者の1つとしての地位を守った。同社のレンズは、豊かな色彩や高い解像度、優れた光学特性が映画製作者から認められ支持を獲得し続けた。

1950年代に入ると、Som Berthiotは新たな市場への進出を果たした。写真用のレンズの製造に参入し、中判カメラや35mmカメラ向けのレンズを提供した。これらのレンズは、その優れた光学性能と精密な製造品質で写真家たちに愛用され、プロフェッショナルからアマチュアまで幅広い層に支持された。

この頃の同社の主力製品は、暗箱カメラ、BOXカメラ、蛇腹カメラ、二眼レフカメラで、マウントはLeica、Contax、M42、Exakta、レクタフレックスなどが存在する。

Som Berthiotの成功は、製品の技術的な優位性だけではなく、独自のデザインや芸術性にも根ざしていた。同社のレンズは、単なる光学機器以上のものとして、芸術的な表現を追求する映画製作者や写真家にとって欠かせないツールとなった。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

1964年、Focaと合併してSOPELEM(Société d'Optique Précision ELEctronique et Mécanique)となった。

1970年代以降、Som Berthiotは次第に経営上の困難に直面した。日本の新興光学メーカーや技術の発展により競争が激化し、従来の市場での競争力が低下していった。結果として、Som Berthiotは事業を縮小せざるを得なくなり、一部の製品ラインは他社に買収され、生産が終了した製品もあった。

1980年、SFIMに吸収合併された。

1990年代には、Som Berthiotの歴史的なブランド名はほぼ姿を消し、その光学機器はコレクターや愛好家の間で珍重されるようになった。特に、映画や写真の歴史に興味を持つ人々にとって、Som Berthiotの製品は貴重な遺産であり、その製品の一つ一つが技術的な進化や芸術的な探求を象徴している。

1999年SAGEMに買収された。SAGEMは第二次世界大戦にライカのコピー製品を製造していた。2004年、SNECMA(航空機エンジン製造メーカー)と合併してSAFRANとなった。

現在、Som Berthiotの製品はオークションや専門店などで入手可能だが、希少性や歴史的価値から高額な取引になることもある。同社のレンズや光学機器は、その優れた品質と芸術的な遺産によって、今日でも世界中のコレクターや写真家にとって価値あるアイテムとして位置付けられている。

AngulorやFlorなどライカLマウントやコンタックスCマウントのレンズは製造本数が少なく高価で取引されることもある。その一方でシネマレンズは流通量が多く中古価格も手頃だ。例えばCマウントのCinor 25mm f1.4は3~5万円程度で、DマウントCinor B(例12.5mm f1.9)は数千円~1万円程度。

ちなみに、本レンズが装着されていたカメラSavoyは、1957-1961年にかけて製造された35mmフィルムカメラで、Royerは設立者の名前で正式な社名はSITO(Societe IIIIndustrielle de Technique Optique)だが、 一般に設立者の名前で表記されていることが多い。

Som Berthiotのレンズシリーズ

  • Angulor
  • Aquilor
  • Cinor (Pan Cinor, Servo Cinor, Tele Cinor)
  • Eurygraphe
  • Flor
  • Lytar(Florの廉価版)
  • Olor
  • Olor 2b
  • Périgraphe
  • Téléobjectif

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観Review

撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7CⅡとレンズはVISOFLEX Elmar 65mm f3.5 Makroだがフレアーばちばち。もちろん味として捉えるが。人間の眼も眩しい時見えにくくなるもんね。自然。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

見てわかる通り拭き傷がかなりひどい。何で拭いた?やすりか?あ、昔研磨みたいな感じでレンズの取れない汚れを落としたのかな?

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

百戦錬磨ってほどでもないか?結構使い込んできたんだなと思う。コーティングも剝がれかけていそう。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

最短撮影距離は実測74cm位。からのヘリコイド付きマクロアダプターを装着して37cm位が限度。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

正面から。カメラボディからクリ抜いたレンズなのでFlorやCinorなどのレンズ銘の表記はない。シリアルのK47…は元西武ライオンズの工藤公康を思い出す。工藤のK、三振のKと背番号47。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

購入時マウントはNEX改だったがバラして焦点工房のマクロアダプターを装着して使用。どっちでもいい。最短撮影距離も変化なかった。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

だから見た目は悪い。というか汚れがひどい。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

なんと後玉もクモってる。買いたくないでしょ、使いたくないでしょ。それがチャンスなんだよ。人と違う写りをする魔法のレンズ。本当そうだよ。没個性。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

チリの混入も結構ある。戦後なのでコーティングは施されているはずだが、剥がれたか?洗浄したのか?

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

カメラに装着すると結構イケてるでしょ。被写体のカメラはα7CⅡ。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

手前の回す部品を動かすとカチャカチャ音が鳴るけど。ご愛敬。あまり細かいこと気にすると楽しめないからね。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

とりあえず外観レビューはこんな感じ。ボディに装着した収まり感とか見た目はいいでしょ。

 

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

記念すべきSom Berthiot沼の1本目。(頼むからやめてくれ)

Som Berthiot 50mm f2.8 L改のレンズ外観

Som Berthiot 50mm f2.8 L改の作例Review

Sonyのフルサイズミラーレスカメラα7CⅡでレンズの素性を探る為、NTかBWで撮影してノーレタッチでjpeg撮って出し。


一発目。なんじゃこりゃ。惚れた。ベールのようなフレアーが画面全体を覆い、低彩度で軟調、現行レンズと真逆の描写。たまらん、このシネマチックで絵画的描写。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

じゃあモノクロで諧調豊富かというと、別にそうでもない。レンズに多少の傷とくもりがあるのでその影響もあるか。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

そもそもレンズ構成がトリプレットのようだ。じゃあこういう写りになるわな。NOCTO TAMA PRICO 75mm f2Meyer Trioplan 100mm f2.8などがトリプレットだ。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

カラーの彩度が低すぎてモノクロにしてもあまり変わらない。ダメな人はダメだろうな。晴れてるけど曇りに見える。世界が変わる。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

永遠に見ていられるシネマ調のオールドレンズ。このレンズはシネレンズではないが、完全にベルチオの映画用レンズの個性が出ている。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

NTとモノクロで見比べてほしい。写真じゃないな、絵画だな。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

映画撮りたくなるぞ。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

光源の拾い方がエモい。わかる人いるかなぁ笑 彩度が低いからこそのハイライトが際立つし、逆も然り。エモー。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

シャドウは落ちやすい。例えば同時期のライカとは違う。全然違う。本レンズの約20年戦前になるが、似たスペックのHektor 50mm f2.5、戦後のSummicron 50mm f2と比較してみても一目瞭然。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

写らないレンズを楽しめるともはや無敵。やばい、結局レンズなんてどれでもいいじゃないかと気付く。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

自分のテンションが上がるレンズが一番いい。あと、引き寄せ。釣り師がかっこつけてた。画になるよね。彩度が低いと人間もよく見えないから逆にいい。スナップするなら軟調レンズかな。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

子供の足が動くのが動物みたいでかわいくて。ママと公園でお昼ご飯楽しいな。って感じ。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

ワンコと見つめ合う。

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

フランスのシネレンズの雄、Som Berthiot初試写でした。同じスペックでも色々種類があるので、Som Berthiot沼にハマろうと思う。(病気)

Som Berthiot 50mm f2.8 L改 作例

Som Berthiot 50mm f2.8 L改で試写した感想と写りの特徴Review

  • 軟調
  • 低彩度
  • 全然写らない
  • シャドウは潰れやすくハイライトは飛びやすい
  • ベールのようなフレアはキズやクモリの影響かトリプレットの特性か
  • 好き嫌いが真っ二つに分かれそうな変態レンズ
  • カメラボディに装着した外観はかっこいい
  • シネレンズ沼にハマりそうだ

まとめ

キズやクモリの影響もあるかと思うが、ベルチオは噂通り軟調な写りでエモかった。Leitzで終わるつもりだったのにシネレンズに手を出したばっかりにSom Berthiot沼にハマりそうだ。誰か助けてくれないか?今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。

参考文献:https://galerie-photo.com/berthiot-anastigmats-en.html

世界のライカLマウントオールド一覧:https://camerapedia.fandom.com/wiki/39mm_screw_lenses

http://www.syarakuse.sakura.ne.jp/SOMBERTHIOTEX/somberthiot.html

 

 

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