Nikkor-S.C 50mm f1.4 L39 Review作例 ニッコール銘玉神オールドレンズ 5cm ライカL39
Nikkor-S.C 50mm f1.4 L39 Review作例 ニッコール銘玉神オールドレンズ 5cm ライカL39。ドイツ製ショットガラスの真相は?レンズ構成はZeissのSonnar9割コピーで写りはガウスの様に繊細で滲みを伴うエモい描写で、最短撮影距離は0.5mとライカのレンジファインダーL39マウントにしては相当寄れるオールドレンズだ。
Nikkor-S.C 50mm f1.4 L39に使用されているドイツ製のショットガラスとは
Schott(ショット社)はCarl Zeiss傘下のガラスを製造する企業で、ショット社がある地名Jenaから別名イエナガラスとも呼ばれる。ショット社は世界最大のガラス製造メーカーで世界中のカメラメーカーにレンズを供給している。ライカも戦前からCarl Zeissのショット社のガラスを使用していて現在も一部使用している。Nikkor-S.C 50mm f1.4とH.C 5cm f2が、このショット社のガラスを使用している個体(ロット)があるとの噂は昔からあり、その真相を探ってみた。
ドイツ製ショットガラスを使用したNikkor-S.C 50mm f1.5とf1.4 L39
日本光学(現Nikon,ニコン)は1949年5月~1950年4月にかけてSonnar 50mm f1.5コピーの光学を模倣したNikkor-S.C f1.5沈胴型を約800本製造。ショット製のガラスを使用していたと思われる。ライカLとニコンSマウントは約半々。特許権を所有していたCarl Zeissから警告がありf1.4へ変更した。実際にf1.4の明るさを実現していたかどうかは不明。
1950年5月からシリアルナンバー5005から始まるロットのf1.4固定鏡胴の製造を開始。2000本以上。こちらもショットガラスを使用していたと思われる。銘盤には「Nippon Kougaku Tokyo」と記載。フレアが少ない。レンズの重量は278g。
国産ガラスを使用したNikkor-S.C 50mm f1.4 L39オールドレンズ
年月~シリアル3220から始まるJapan銘の国産ガラスを使用した個体の製造が開始された。銘盤はTokyo表記から「Nippon Kougaku Japan」に変更された。ショットガラスを使用した個体に比べてフレアの発生が多い。軽量化されて231gとの情報があるが、実際に測ったところ同じく280g位だった。この辺は要調査。
Nikkor-S.C 50mm f1.4 L39 オールドレンズ外観Review
真鍮製は軽合金やアルミ鏡胴と比べると重いが高級感と存在感があっていい。ただ、重量280gは筆者にとっては許容できる上限MAX。
マウントアダプターが88gあるので足すと368g。そこそこのサイズ感。全然つらくないしいいんだよ。でも基本スナップなので軽い方がいい。
滲みやコントラストが低いのは前玉の小傷の影響もあるかな。
ここまで傷がつく位、どんな素材の何でどうやって拭いたのだろう。わかる人いますか?筆者全然わからん。スチールウールで磨いたのか?なぜ?
やすりで磨いたのか?なぜ?
後玉はまぁまぁきれい。
外観もきれい。ヘリコイドをマクロ側へ回していくと、レンジファインダーで距離計連動する箇所で一旦止まり、そこからさらに回って最短撮影距離0.5m位まで寄れる。
Nikkor-S.C 50mm f1.4 L39オールドレンズの作例Review
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7CⅡ。APS-Cモードにクロップしてた。解除し忘れ。写りエグい。柔らかくてなめらかで線が細く優しい描写。
クリエイティブルック(ボディ内のプリセット)変えてどれと相性いいかテスト。
何枚か撮っていて気付いた。蝶さんトゲに刺さって動けない。助けてあげればよかった。
なんかすげーかわいそう。でも自然の摂理か。食物連鎖ってやつ。
HC 50mm f2もゾナーコピーだが、キレキレシャープなゾナーっぽくなくて、滲みや開放の緩さがガウスっぽいとレビューされていることが多かったが、まんまその通りだった。
絞るとニコンっぽい真面目な写りでコントラストも高い。
ガウスとゾナーの中間みたいな感じ。f1.4ということもあるが、無理した開放の明るさの収差がエモい。
ゾナーっぽいトーンの豊かさは「ない」。ビシバシとシャドウはすぐ潰れ気味になる。ド逆光テストだけどね。
順光ならしっかり丁寧に描く。滲みもいいよね。
サイド光。白壁の照り返しと滲みがよき。
開放はゾナーと期待するな。f1.7をf1.4として売ってるぞ。要するに無理してf値を設定してる。そこがいいんだけどね。現行レンズしか使わない人にはわからない世界。
空の深い青がいい。
滲みまくるよ。ゾナーだけど、ガウスのズミルックスの代わりとしても。
でもね、レタッチいらずのライカと比較すると、やはりライカはライカだよ。正直レンズの性能はツァイスの方が上かもしれないが、描く世界観が好き。あるよね、そういうの。
観音像と月。周辺減光は若干ある。
絞るとコントラストがしっかり付く。いかに開放が眠い画かわかる。まぁ俺らはそれが好きで古いレンズで遊ぶんだけどね。
このレンズの世界観も好きだけど、ツァイスのゾナーコピーなのにライカのガウスっぽいという迷路。
秋の枯れた木が朝の白い月を抱く。
モノクロの方がいいかも。時代柄もね。
フレアーもゴーストも発生する。このレンズポートレートもガンガンいけると思う。
FL。
寄って遊ぶ。
ただのその辺の寺の庭の植木。(「の」が多い)
画になる。じゃじゃ馬というかクセ玉好きにはいい。
障子の張り替えをする師走のとある日。
被写体後ろの逆光当たってる木々の収差がフランスFOCAのOplarexっぽくて唸った。FOCAはメーカーではなく貴族が工場建ててレンズ作ったと。おとぎ話かよ。
FL。そうか、コントラスト低すぎるとかシャドウ潰れやすいとか思ったらレンズごとにボディ内の設定変えればいいのか。
光を狙うよね。
紅葉も見納めか。特にどこにも行ってないけど別にその辺で充分な人。
同じくゾナーコピー、ロシアのJupiterの方が玉ボケは美しい。ジュピターの方が忠実にゾナーの写りをコピーしてる感じ。
絞っても美しい場合がある。
ゴーストも取り入れてみる。筆者はオールドレンズ好きな割にあまりゴーストを多用しないの気付いてた?被写体よりゴースト意識してゴースト縛りになると変な写真が増えるので実はゴーストはあまり好きではないのだ。
結構いい写り。ゾナーコピーなのに写りはゾナーではないという矛盾。
ゴースト内のコントラスト低下しにくいという発見。
やるのうお主。もうゾナーのことは忘れよう。好きになった人が元カノと同じ名前でつい思い出してしまうがいつの間にかその違和感が消えた感覚に近い?(近くない)
滲み過ぎという噂もある。滲みが眩しい。でも天津飯の太陽拳よりは眩しくない。(天津飯の太陽拳くらったことない)
やっぱモノクロだね。
この作例見るとゾナーっぽいなと思う。
玉ボケも滲んじゃってさ。この辺がやはりライカの計算された表現としての滲みとは違うなと思う。
そんな訳で初試写レビューでした。
まとめ
ゾナーコピーだがゾナーとは違う写りの不思議なレンズだった。硝材もコーティングも違うので当然と言えば当然だが、作例を見ての通りかなり面白い個性的な写りのオールドレンズだ。ちなみにNikkor-S.C 50mm f1.4 L39は、ニコンFマウントもあるが、写りが全然違う。H.C f2も同じく。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。