Sankyo Koki KOMURA 135mm f3.5 L39 前期型 レビュー作例 中望遠おすすめオールドレンズ
Sankyo Koki KOMURA 135mm f3.5 L39 前期型 レビュー作例 中望遠おすすめオールドレンズ 三協光機。本レンズはスペック的に廉価版だが作りは高級感がある。コムラー135/3.5L後期のモデル違いと2本所有している。
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5 L39 前期のスペック
- 製造メーカー:三協光機
- マウント:ライカL39スクリューマウント
- レンズ構成:3群4枚Ernostar型
- 絞り羽根枚数:16枚
- 最短撮影距離:1.5m
- フィルター径:49mm
- 重量:532g
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5 L39 前期の他のバージョン
F3.5の他に通常版のF2.8、高性能版のF2.5、F2.3があり、さらに高性能なF2も存在する。コムラーの中望遠レンズは135mm以外にも105mm(F3.5, F2.8, F2.5, F2)や100mm(F2.8, F2.5, F1.8)、85mm、80mmが存在してF2より明るいレンズは価格が高騰していて海外でも人気が高い。Komura 100mm f1.8のレビュー作例はこちら。
Komura 135mm f3.5 L39 前期型レンズ外観レビュー
Sony α7CⅡにPENTAX Macro Takumar 50mm f4 M42を装着して撮影。最近物撮りはこのマクロタクマー1本。レビューしなきゃ。
当時主にプロ向け広告撮影用として人気が高かったコムラーのレンズ。中判も人気が高かった。その割に安価であちこちで重宝されたらしい。
シリアルナンバーは210803で6桁21万番台。もう1本所有している個体は2234703で7桁223万番台、SANKYO KOHKI JAPAN Komura 135mm f3.5とレンズ名も微妙に違う。
前玉に薄っすらクモリあり。
使い込まれた感が隠れた銘玉感を物語る。いいレンズじゃなきゃヘビロテしないからね。
持った感じ真鍮製なので非常に精度が高く堅牢度も高い。
135mmにしては小型で4枚玉なのに実測値532gでズシリと重い。コスト度外視した高級感がたまらない。
絞り羽根は豪華16枚。この時代ここまでこだわった作りのレンズは国内で他にある?薄っすら油染みあり。
L39、ライカL、ライカスクリュー、LTM(ライカスレッドマウント)など呼び方は複数あるが形状は同じ。
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5L 前期のレンズ構成は初期エルノスター型
一般的にf値でレンズのグレードが決まるが、例えばLeicaやZeissは違う。全てハイクオリティかつ高品質レンズで、そこに優劣はない。ただ、使用する素材が高価になったりレンズの枚数が増えればコストがかさむということは事実だ。
今回レビューしているモデルは、コムラーの同シリーズの中で最もグレードの低いF3.5だ。レンズ構成は張り合わせなし4群4枚のエルノスター型。レンズ構成エルノスター型はレンズ史に残る天才レンズ設計者ルードヴィッヒ・ベルテレで23才の時に設計した。コムラー135mmF3.5のレンズ構成はまさに古典的な1923年の初代エルノスター型である。ここに希少性があり、マニア心をくすぐる要素がある。
エルノスターはSonnarへ進化する。開発された時にすでに完成形であったゾナーは各国で数多く製造された。しかしエルノスター型の製造は少ない。コムラーの135mmの多くはテレゾナー型で、トリプレット型は前期、初期エルノスター型はF3.5の後期に生産された。
各メーカー共に「135mmに外れなし」と言われるように焦点距離135mmは安価で後ボケも美しく安定した写りのレンズが多い。しかしその反面135mmは個性が出しづらい焦点距離。コムラー135mmF3.5は独特の個性を持ったレンズ。その理由は本レンズが安定したゾナー型やガウス型ではなく、発展途上だったエルノスター型のレンズ構成を採用している為だ。とは言ってもゾナーはエルノスターを元に設計したレンズ構成で、設計士も同一でベルテレだが。
参考文献:LensHolic上野由日路
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5L 前期の作例
撮影機材はSonyのフルサイズミラーレスカメラα7Ⅳ。クリエイティブルックはNT。河津桜。今回使用したオールドレンズは135mmと中望遠だけあってボケは大きくとろける。
クリエイティブルックはSH。背景にロウバイの黄色を配置。これはSHかな。
虹ゴーストも合わせてみる。
四隅は若干ケラれる。多分ヒヨドリさん。ロウバイを撮影していたら「ピ~ョ!ピ~~ョ!」と呼ばれた。
ヒヨドリさんは2羽いた。鳴き声を和訳すると、「うんめ~!河津桜の花の蜜超うんめ~!サイコ~!脳汁出まくりブヒョー!フガフガ!うまうま!」と言っていた。
あなた首柔らかいですね。そう吸うか。
鳥さんは広い視野を確保する為に頭の両側に目が付いているので花の蜜を吸う時は勘かなぁと思ったら結構がっつり前を見ていた。視野広いのね君たち。
素敵な時間をありがとうヒヨドリさん。
引きで。コマフレアの淡いベールが画面全体を優しく包み込む。
撮影に集中して目が疲れてベンチに座りフッと一息。しかし気付くとシャッターを切っている。モノクロでしっとり。
雨上がりでしっとりと濡れた地面と落ち葉。
色合いもニュートラルで目に優しいエルノスター型中望遠オールドレンズKomura135mm/f3.5でした。
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5L 前期の写りの特徴まとめ
Sankyo Koki Tokyo KOMURA- 135mm f3.5L 前期はレンズ構成4枚でコストを抑えていてf3.5という暗さなどスペック的にも価格的にも廉価版で安価な中望遠オールドレンズだ。しかし、写りを見ると明るさがF3.5で暗いとは感じなかったし、レンズ構成が張り合わせなしの4枚なのでヌケも良くボケ量も大きく独特なゴーストやニュートラルな発色と薄っすら滲み淡い描写でまさにエルノスター型の写りをしっかり堪能できた。もっと明るいレンズは高額だが欲しいと思わせる写りだった。
まとめ
私はオールドレンズの過渡期に消えていったエルノスター型のオールドレンズは大好きだ。エルノスター型はPentacon Prakticar 50mm F2.4やエルノスターの発展型であるMeyer Optik gorlitz Primoplan 58mm F1.9などを保有していて写りもとても気に入っている。
中望遠のオールドレンズは安価で優秀なクセノタール型が多いが、個性のあるエルノスター型の中望遠オールドレンズも選択肢に入れても面白いと思う。安価で玉数も流通量も多いので状態のいい個体を見極めたい。
今回は以上。本日も素敵なオールドレンズライフをお過ごしください。